「レクサスは退屈だ」という一言が、美しいクルマの誕生につながった。それが、先ごろ初公開となった電気自動車(BEV)の「レクサスLFAコンセプト」だ。トヨタ「2000GT」のクラシカルな魅力も引き継ぎながら、随所に最新のBEVらしい先進性を備える同モデルの実物をチェックしてきた。
二度と退屈なクルマは作らない
市販スーパーカー「GR GT」の発表でトヨタの豊田章男会長は、開発の背景に「悔しさ」があったと語った。「レクサスLFAコンセプト」の開発にも、やっぱり「悔しさ」が関わっていると話すのは、トヨタ チーフブランディングオフィサー(CBO)のサイモン・ハンフリーズ氏だ。
「14年前の米ペブルビーチで章男さんは、『レクサスは退屈だ』と目の前で言われたんです。その屈辱が、『もう二度と退屈なクルマは作らない』という強い決意の源になりました」
そして、今年のペブルビーチに展示したのが「レクサス スポーツコンセプト」。このクルマ、「ジャパンモビリティショー2025」にも登場したもので、まさに「レクサスLFAコンセプト」そのものだ。詰めかけた観客の中に「レクサスはつまらない」といった人は誰一人いなかったという。
3台のコンセプトモデルがお披露目となった発表会(ウーブンシティにて開催)で筆者の隣にいたのは、ドイツ人のジャーナリストだった。「この3台のうち、どれが一番カッコいいと思う?」と尋ねると、「レクサスが一番だね。GR GTはちょっと“ビースト”っぽいからね」というお返事。クラシカルなエクステリアを持つスポーツカーへの評価基準は、やっぱり万国共通なのだ。
GR GTのオールアルミボディでBEV開発!
レクサスLFAコンセプトのボディサイズは全長4,690mm、全幅2,040mm、全高1,195mm、ホイールベースは2,725mm。ベースとするのはGR GTのオールアルミニウム骨格だ。スポーツカーとしての性能を極めたフォルムとしながらも、ノーズからリアへと流れる低く伸びやかなシルエットは「LFA」の造形美を継承しつつ、正統派クーペのプロポーションを描き出したとする。BEVパワートレインの詳細は未公表だ。
筆者が見たところ、長いボンネット左右のなだらかな盛り上がりやリアエンドに向かって収縮するボディラインは、会場にも展示されていた「2000GT」を彷彿させた。
一方で、三角形を上下に並べたフロントヘッドライト周りの造形やサイドウインドー後端のキュッと巻き上げるしつらえは、LFAの要素を引き継いでいる。
極め付けはリアセンター下部に取り付けられた逆三角形のストップランプで、これはLFAの後ろ姿を特徴付けていた3本出しマフラーをオマージュしたものだろう。
コックピットは没入型?
2座のコックピットは運転席側がホワイト、助手席側がグレーの配色。ヨーク型の異形ステアリングが目を引く。周囲には機械式のダイヤルやレバーが巧妙に配されていて、ステアリングから手を離すことなく各部が操作できる。その奥には3連のインフォテインメント画面が並び、各種データを表示する仕組みだ。
エクステリア同様、インテリアもシンプルで美しいデザインだ。そのミニマルな世界観が、特別な没入空間を作り出すという。
GR GTの取材でも話を聞いたデザイン担当者によると、「あちら(GR GT)はルマンのGT3カテゴリーなどで各社のレーシングカーと一緒に24時間走っても負けない四角い形状に。そしてこちら(レクサスLFAコンセプト)は、市販のポルシェやフェラーリ、マクラーレンと並んでも、デザイン的に“いい感じ“でそれらに伍することができるよう頑張って作っているんです」という。
ステージ上に美しいスポーツカー3台が並ぶ光景は、まさに“眼福”の一言。単純だけど、観ることができてよかった! というのが素直な感想だ。


























