ホンダがSUVの「CR-V」を日本で発売する。このクルマは通算6世代目となるホンダのロングセラーモデルだが、日本ではこれまで、販売が終了したり再び販売が始まったりと紆余曲折を経てきた経緯がある。今回はCR-Vの歴史を振り返りつつ、日本発売の背景について考えてみたい。
クリエイティブムーバーとして人気に
ホンダCR-Vの初代モデルは1995年に誕生した。当時のホンダは、CR-Vを含むSUVや「オデッセイ」「ステップワゴン」などのミニバンを「クリエイティブムーバー」(生活創造車)と呼んでいた。
ほかの自動車メーカーは、4輪駆動車を「レクリエイショナル・ヴィークル」(RV)と表現して売り出していたころだ。それまで主流だった4ドアセダンやハッチバック車とは違う新たな選択肢として、例えば三菱自動車工業「パジェロ」やいすゞ自動車「ビッグホーン」などが人気を集めた。
そうした4輪駆動のRVを持たないホンダは、4ドアセダンやハッチバック車を基に、より日常での乗用領域を重視する新種としてクリエイティブムーバーを開発し、一気に注目を集めたのである。
SUVやミニバンは、もともと米国で生まれ育った車種だ。基になっていたのはトラックなどの商用車で、武骨な、それでいて丈夫で長持ちする実用車が中心だった。
それらに対し、見かけや使い勝手は似ていても、ホンダのクリエイティブムーバーは、普段の暮らしのなかでより快適な乗用車として喜ばれた。
大型化、そして日本で販売終了
CR-Vは日本ではもちろんのこと、SUVの本家といえる米国でも販売台数を伸ばし、米国の消費者の期待に応えるモデルチェンジを重ねていくことになる。
ミニバンのオデッセイは、道路や交通環境の異なる日本と米国で住み分けを行った。具体的には、より寸法の大きなミニバンを「USオデッセイ」として別立てとし、それを逆に日本に輸入して、「ラグレイト」という上級ミニバンとして販売した経緯がある。
CR-Vもモデルチェンジごとに車体が大型化していって、ことに3代目からは車幅が1.8mを超える大きさとなった。
初代から3ナンバー車ではあったものの、それでも5ナンバーに近い身近さから日本でも人気を博したCR-Vが、大型化により一回り車格が違うクルマになっていった。CR-Vが4代目にフルモデルチェンジしてしばらく経つと、ホンダは国内向けとして新たなSUV「ヴェゼル」を発売するのである。
ヴェゼルも3ナンバー車ではあるが、車幅は1.8mを切り、全長は4.3m前後という寸法で、CR-Vの初代や2代目を愛用した人たちの買い替え意欲を促す価値を打ち出して人気となった。あまりの売れ行きのよさに、トヨタ自動車が3年後に「C-HR」という競合車種を新設したほどだ。
こうした経緯があり、ホンダはCR-Vが5代目に切り替わる際に、日本での販売を一旦は中止したのだが、北米での発売から2年後に日本での販売を再開した。CR-Vの初代や2代目を愛用した人たちにはヴェゼルが行きわたった一方で、より大きなSUVを求める消費者が増加し、輸入車を含め日本でその手のクルマの販売が伸びていたからだ。
「シビック」がベースとなっていることもあり、5代目CR-Vは「走り」が魅力的なSUVという価値を提供した。CR-Vとしては初となるハイブリッド車をラインアップしたのも5代目からだ。
6代目CR-Vが日本上陸! なぜ?
ホンダが2026年2月に日本で発売する6代目CR-Vは、2022年にフルモデルチェンジして登場したクルマだ。北米や中国などで以前から売っていたクルマを、日本市場に3年ほど遅れて投入する格好となった。
6代目CR-Vをすぐに日本で発売しなかったのは、「ZR-V」というヴェゼルより一回り大きなSUVをすでに売っていたからだ。
ZR-Vのサイズは4代目CR-Vに近い。ホンダは5代目CR-Vを日本で売っていたものの、やはり、サイズが大きすぎると考えたのだろうか。ZR-Vを国内最上級SUVと位置付けた。
しかしながら、米国からは6代目CR-Vの情報が聞こえてくるし、2024年には燃料電池車(FCEV)のプラグインハイブリッド車「e-FCEV」のCR-Vが6代目の車体で日本に入ってくるに至り、歴代CR-V愛用者からは「(FCEVではない)CR-Vも導入してほしい」との要望が出たようだ。
こうした紆余曲折を経て、ホンダは6代目CR-Vの日本導入を決めた。動力はハイブリッド(e:HEV)のみ。ただし、e-FCEVも併売する。
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ホンダが2026年2月に発売する6代目「CR-V」。グレードは「RS」と「RS BLACK EDITION」の2種類(写真は「RS BLACK EDITION」)。パワートレインはハイブリッドの「e:HEV」のみ。駆動方式は2輪駆動(FF)と4輪駆動(4WD)から選べる。先行予約の受け付けは2025年12月15日に始まる
海外にはほかに、ガソリンエンジン車とプラグインハイブリッド車(PHEV)の選択肢もあるという。日本市場は電気自動車(EV)を含め、充電を必要とする車種の伸びがまだ十分でなく、PHEVの導入は見送られたのではないか。
日本仕様のCR-Vはタイの工場で生産する。タイも日本同様、クルマは左側通行で右ハンドルだ。製造後の輸送の点でも遠すぎず、好都合だろう。




























