ホンダがSUVの「CR-V」を2026年2月に日本で発売する。2022年に日本では販売終了になっていたCR-Vを、なぜ今、復活させるのか。日本導入グレードは、なぜ「RS」のみなのか。ホンダがCR-Vに期待する日本での役割とは? 開発責任者に聞いた。
なぜ日本で販売をやめていた?
CR-Vは初代モデルが1995年に登場したホンダのロングセラーモデル。日本で2026年2月に発売予定のCR-Vは、通算6世代目となる現行型だ。グローバルでは2022年から販売しているモデルで、北米市場では累計94.7万台が売れているという。
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ホンダが日本に導入する「CR-V」は「RS」と「RS BLACK EDITION」の2グレード。パワートレインはハイブリッドの「e:HEV」のみ。駆動方式は2輪駆動(FF)と4輪駆動(4WD)から選べる(写真は「RS BLACK EDITION」、ボディカラーは「ブレイジングレッド・パール」)
日本では5代目(先代)CR-Vの販売が2022年8月に終了。その後、6代目の新型CR-Vを日本で発売することはなかった。というのも、そのタイミングでホンダは、日本で新型SUV「ZR-V」を発売し、このクルマに「CR-V」の「後釜」を託したからだ。CR-Vに比べボディサイズの小さいZR-Vは、日本の道路事情や市場環境にフィットするとの考えからバトンタッチを決めたという。ちなみに、日本における5代目CR-Vは、他メーカーの同格SUVに比べて販売が低迷していたそうだ。
CR-Vブランドにニーズあり
では、なぜ今、CR-Vを日本に再導入することにしたのだろうか。CR-V開発責任者の佐藤英質さんは、「この大きさ、それと、CR-Vというブランドにもニーズがありますので、このタイミングで改めて発売することにしました」とする。
日本におけるホンダのSUVラインアップは現在、小さい方から「WR-V」「ヴェゼル」「ZR-V」の3台体制となっている。既存のSUV3兄弟にとって、日本に復帰するCR-Vはさながら、“帰ってきた長男”といった感じの存在になるだろう。日本で売っているホンダのSUVの中で、最も大きくて最も高価なクルマはCR-Vということになる。
ZR-Vとの住み分けについて佐藤さんに聞くと、「CR-VはZR-Vに対して、全長で130mm、高さで60mm、幅で25mm、ホイールベースで45mm大きく、並べてみれば分かりやすいのですが、明らかにワンランク上のクルマとなります」とのこと。ホンダの最上級SUVとして、独自のポジションを確立できるかに注目だ。
ホンダの「プレミアムなイメージ」を牽引?
CR-Vの再導入には、ほかにも理由がある。「どちらかといえば戦略的なことなのですが、本音をいえば……」として佐藤さんが教えてくれたのが、以下の話だ。
「日本市場でのホンダは、軽自動車など『小さなクルマ』のメーカーというイメージになってきています(編集部注:ホンダの軽自動車、特に「N-BOX」は大人気で、かなり売れている)。(軽が売れることは)それはそれで嬉しいのですが、これからのBEV化(電気自動車が増える)、電動化に向けて、という視点で考えますと、(将来的に日本で販売するBEVなどの電動車両は)価格帯が上の方になります。CR-Vを日本に導入する背景には、そういうお客様をつなげておきたい、という思いもあります」
このコメントを自分なりに咀嚼してみると、こんな感じだ。
「ホンダ=小さなクルマのメーカー」というイメージが広がりすぎると、「ホンダは高価格帯のプレミアムなクルマも売っているメーカー」であるというイメージが薄れる。「ホンダのクルマ=高くても400万~500万円くらい?」というイメージが定着してしまえば、将来、ホンダが日本市場に新型のBEVを持ってきたときに、そのクルマはけっこう高価格になる(少なくとも、ホンダの現行ラインアップに入ると高く見える)はずなので、消費者が「ホンダであんなに高いクルマが出たって、買わないよね」となってしまう。これはマズい。
ホンダにはプレミアムなクルマがある、というイメージを維持したいという思いもあって、ホンダはタイで生産する「アコード」という上級なセダンを日本で販売していたりもする。CR-Vはアコード同様、ホンダでプレミアムなクルマを購入する(購入したい)消費者を「つなぎとめておく」という重要な役割を担うクルマになる。
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ホンダといえば「NSX」が終了になってしまったし、高級ブランド「アキュラ」は日本で売っていない。というわけで、日本に入ってくる「CR-V」は、日本市場でホンダのプレミアムなイメージをつないでいくという重大な使命を負うことになる
なぜRSグレードのみ?
CR-Vは世界で販売しているだけあって、パワートレインもグレードも種類が豊富にそろっている。なのになぜ、日本にはRSしか持ってこないのだろうか? ガソリンエンジン搭載で装備を簡素化した「廉価版」を用意する選択肢はなかったのだろうか? 佐藤さんの回答は以下の通りだ。
「販売のメインターゲット(50代でロイヤルティ高めのお客さん)のこともありますので、トップ・オブ・ザ・トップ、一番いいもの(RSグレード)を持ってこよう、という思いがありました。さらにいえば、CR-Vにはグローバルでいろいろな装備がありますが、ブラックエディションはラーメンでいうと『全部盛り』の状態です。それと、正直に言いますと、タイで生産して持ってくるクルマなので、船の『荷繰り』の問題もあり、あまりたくさんのグレードを展開したくない、という考えもありました」
ライバルとして「横目で見た」のはトヨタ自動車「ハリアー」であるとのことだが、おそらく消費者はトヨタの「RAV4」とも比べるはず。ただでさえ強いトヨタが2人がかりで来るのに対し、CR-Vがどのくらいの立ち回りを見せてくれるのかが楽しみだ。






















































