ランボルギーニの新型ハイパフォーマンスEV(HPEV)モデル「テメラリオ」に、ついに乗ることができた。テメラリオは大人気モデルだった「ウラカン」の後継機種。つまり、フラッグシップのプラグインハイブリッド車(PHEV)「レヴエルト」の次となる立ち位置で、「ベビーランボ」の愛称を引き継ぐことになる。
とはいえ、「Fuoriclasse(フォオリクラッセ)=規格外」を標榜する最新ランボだけに、そのパフォーマンスはただものではないはず。その走りをここで紹介する。
まずは大好きだったウラカンの話から
ウラカンは大好きなモデルだった。コンパクトなボディのリアミッドに搭載する自然吸気 5.2リッターV型10気筒エンジンのパワーとフィーリング、それにドライバーにとっての視界の良さが相まって、サーキットでも公道でも、満足できる走りが楽しめたからだ。
ウラカンに最初に乗ったのは、もう11年も前になる2014年9月のこと。1万4,000台が生産された「ガヤルド」の後継としてデビューしたばかりの「610-4クーペ」で、「ESPERIENZA」と題された富士スピードウェイでの試乗会だった。日本だけでなくアジアから数多くの報道陣が参加していて、先導の「アヴェンタドール」に続いてストレートでは250km/hオーバーの世界を体験するとともに、後半で連続するコーナーでのコントロールのしやすさに感動したものだ。
2015年2月には米コロラド州の雪のサーキットで開催された「ウインターアカデミア」に参加。610-4にはインストラクター役のF1パイロットが同乗してくれ、雪上ドリフトをみっちりと仕込まれた。
2019年7月は富士で640PSの強化版「EVO」に試乗。同じ年の12月には本社のあるイタリア・サンタアガタから高速と一般道で雪のアルプスに向かう「クリスマスドライブ」に参加し、EVOのクーペとスパイダーで雪道&アイスバーンの走行を体験。世界10カ国から集まったジャーナリストたちと極寒の中、サンタの格好をしてオープンモデルをドライブしたのを思い出した。
2020年にはレースモデルに近い「STO」に富士で試乗。2022年7月にはウラカン最終型の「テクニカ」にスペイン・バレンシアのサーキットや一般道で乗った。
2023年5月に最後に乗ったウラカンは、オフローダーの「ウラカンステラート」。アメリカ・パームススプリングに近い砂漠の中のサーキット「チャックワラバレー・レースウェイ」には、コース途中から砂漠に降り立つコースが設けられていて、専用装着されたBSタイヤ(デューラーAT002)で砂煙を巻き上げながらウラカンを走らせるという貴重な体験ができた。
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2023年5月、オフローダーのウラカンステラートに米パームススプリングに近い砂漠の中のサーキット「チャックワラバレー・レースウェイ」で試乗。コース途中から砂漠に降り立つコースが設けられていて、専用装着されたBSタイヤ(デューラーAT002)で砂煙を巻き上げながらウラカンを走らせるという貴重な体験ができた
“規格外”の秘密とは
全てが規格外、とするテメラリオの秘密は、プラグインハイブリッドパワートレインの主役である、サンタアガタ・ボロネーゼが全くオリジナルで開発した(これまでのようなアウディとの共同開発ではない)L411型4.0リッターV8ツインターボエンジンにある。
9,000~9,750回転で800PS、4,000~7,000回転で730Nmを発生、リッターあたり200PSという高性能・高回転エンジンのクランクシャフトは、レーシングエンジンにも採用される180度のフラットプレーンタイプ。点火時期が均等である(エンジンヘッドに点火順が書かれている)ため、独特のサウンドを発生する。コンロッドは軽量のチタン製。Vバンク内の2基の大型ターボチャージャーの最大ブースト圧は2.5バールまで上げられるという。
剥き出しのエンジン右側に直列に並んでいるのは、高Gに耐えられるスカベンジングオイルポンプとウォーターポンプで、カバーはこちら側だけ開けられる仕組みに。ほとんどレーシングモデルに近い仕上がりだ。
前出のウラカンV10エンジンと比べると、最大出力は640PSから800PSへと25%、最大トルクは600Nmから730Nmへと21%、最大回転数は8,500から10,000へと17%、リッターあたりの出力は123PSから200PSへと62%、それぞれアップを果たしている。
これをサポートするのが小型・軽量・大パワー密度を誇る3基のアキシャルフラックス電気モーターで、フロントアクスル左右に1基ずつ、リアのエンジンと8速DCTの間に1基を搭載する。4輪を駆動するこれらの組み合わせによって、システム最大出力は920PSまで引き上げられるとともに、ウラカン比で50%のCO2排出量削減に成功している。
バッテリーパックは総容量3.8kWhのリチウムイオンタイプをセンタートンネル内に搭載。家庭用交流電流や前輪の回生ブレーキのほか、V8エンジンから直接充電することもできる。
1万回転まで回してみた
試乗にはノーマルのテメラリオと25kg軽量版の「アレジェリータ・パッケージ」が用意され、それぞれでコースを3周ずつ走ることに。「Citta」(チッタ)、「Strada」(ストラーダ)、「Sport」(スポルト)、「Corsa」(コルサ)の4つのドライブモード(ステアリング左側の赤いダイヤルをひねって変更)のうち、1周目が「スポルト」、2周目がハイスピードの「コルサ」、3周目の後半はクールダウン、という走行パターンだった。
また今回は、いつものような先導車に続くカルガモ走行ではなく、助手席にインストラクター(筆者の担当は河村直樹氏)が同乗し、車間を取りつつそれぞれのペースで走るという方式だ。
ヘルメットを被ってもルーフに当たらない程度に高さが確保されたコックピットに乗り込み、いつものように+パドルを1度引くと、眼前のメーターに現れる「E」の表示とともに「チッタ」モードでスタート地点へ静々と移動。「スポーツ」モードに入れると背後でV8ターボが「ブォン!」と目覚める。
広報さんから「1万回転まで是非、回してみてください」とのお言葉を授かっていたので、ターン2で110km/hから650m先のブレーキングポイントを目指してストレートをフルスロットル。このモードはデフォルトでシフトアップするので、アクセルを踏み続けるていると、1万回転では185km/hで4速へ、250km/hで一瞬5速へシフトアップし、265km/hでフルブレーキ。この間、たったの8.7秒しか経っていない。
「コルサ」モードでパドルシフトを試した後、3周目の同じストレートでは、河村さんから「ここで一発、パフォーマンスに入れてみますか」との提案が。「コルサ」のままステアリング右側の「EV」ダイヤルを回し、システム全開放=920PSのフルパワー「パフォーマンス」モードに入れた。同じストレートへの侵入速度が90km/h程度で遅かったし、回転系の針の上昇が早すぎて1万回転のちょっと手前(9,500~9,700回転)でシフトアップしているのも関わらず、最初と同じ265km/hまではわずか8.4秒ほどで到達。切れ味がさらに上がったことに気付かされた。
半電動ランボのエンジンサウンドは?
通常のスーパーカーなら7,000回転あたりでシフトしてしまうのだが、テメラリオは1万回転を許容する。「スポーツ」モード以上でそこまでのエンジンサウンドを言葉で表してみると、「ヴォォォオオオン!」(大文字が7,000から上)というように、回転数が上がるにつれて4ストロークエンジンの2次と4次の倍音と吸気音がミックスされて音量が増し、さらに高い位置に配されたテールパイプが発する高周波が加わって、V10とは異なるサウンドになっていることに気がつく。そこにフラットプレーン型のクランクシャフトが発生する微妙な振動も加わって、ドライバーの全身に伝わってくるのだ。
筆者は1990年代にカワサキのリッターバイク「ZZ-R1100」を所有していたのだが、まさにその音とフィーリングを思い出した。そういえば、リアタイヤ剥き出しのデザインも、スーパー・バイクからインスピレーションを得たというチェントロスティーレ(ランボのデザイン部門)を率いるミーティア・ボルケルト氏の言葉通りだ。
感性を刺激する走りと音、デザインは、最高速度やサーキットタイムなどでとんでもない数値を標榜する最新スーパーEVマシンでは絶対に真似のできないところだ。そのランボの決意をしっかりと表明する試乗会だった気がする。












































