アウディの主力ミッドサイズSUV「Q5」が新型にフルモデルチェンジした。注目したいのはディーゼルエンジン搭載のマイルドハイブリッド車(MHEV)だ。ディーゼルエンジン車はだんだん少なくなってきているが、MHEVとなるとさらに選択肢が少ない。乗り味や燃費を試乗でチェックしてきた。
歴代Q5を振り返る
Q5のデビューは2009年。アウディのラインアップでは比較的、新しいクルマだ。試乗の際に話を聞いたアウディAG認定トレーナーの森岡史雄氏によると、都会的なデザインとSUVの走破性を兼ね備えた初代Q5は瞬く間に同社の中核モデルとなり、グローバルで160万台が売れたという。
2017年には2世代目のQ5が登場。途中からスポーツバックのボディタイプが追加されたり、日本では初めてTDI(ディーゼルエンジン)モデルが販売されたりとニュースが多いモデルで、セールスは110万台に達している。
そして今回の3代目は、これまでのコンセプトを引き継ぐ形で上質さや洗練をアピール。最初から2つのボディが選べて、パワートレインはマイルドハイブリッドシステムを組み込んだ2.0L直列4気筒のガソリンおよびディーゼル、3.0LのV型6気筒ガソリンから選択可能だ。客層としては、比較的若いファミリーやアクティブ世代をターゲット年齢層に設定してアピールしたいという。製造はメキシコのサンホセチアパス工場だ。
300台限定のTDIモデルに試乗
試乗したのは、新型の導入に合わせて発売となった300台限定モデルの「edition one」(エディションワン)。ベースとなっているのは、ディーゼルエンジンを搭載する「Q5 TDI クワトロ150kW アドバンスト」(788万円)だ。これに「Sラインパッケージ」「ライティングパッケージ」「テクノロジーパッケージ プロ」「ダークAudirings&ブラックスタイリングパッケージ」やスペシャルカラーのアルミホイール、マグネシウムグレーのパーツなど131万円相当のオプションがついて、価格は919万円となっていた。
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新型「Q5」の日本導入に合わせてアウディが300台限定で発売した「edition one」(エディションワン)。試乗車のボディカラーは濃紺に近い「ナバーラブルーメタリックカラー」。ベースモデルはディーゼルエンジン搭載の「Q5 TDI クワトロ150kW アドバンスト」だ
新世代の内燃機関搭載車(ICE)用に開発した「PPC」(プレミアムプラットフォームコンパッション)をアウディのSUVとして初採用した新型Q5のボディサイズは、全長4,715mm、全幅1,900mm、全高1655mm、ホイールベースは2,820mm。先代に比べて35mm長く、10mm低く、ホイールベースは5mm短い。このサイズ感、ライバルとなるメルセデス・ベンツ「GLC」やBMW「X3」なども含め、“この手”のSUVを求めるユーザー層にピタリとハマる大きさだ。
搭載するのは、最高出力150kW(204PS)/3,800~4,200rpm、最大トルク400Nm/1,750~3,250rpmを発生する2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジンに、18kW/230Nmを発生するモーターをトランスミッションの後方に取り付けた48Vマイルドハイブリッドシステム(MHEVプラステクノロジー)。7速Sトロニックトランスミッション(デュアルクラッチ式)を介して四輪を駆動するアウディ伝統のクワトロ方式を採用する。後部アクスル上に搭載するちょっと大きめのバッテリー(1.7kWh)は水冷式だ。
存在感のあるフロントグリルや大きめのエアインレット、リアの2本出しマフラーなど、見た目はICEらしさがプンプン。8種類から模様を選択できる前後のデジタルライトシグニチャーや、ハザードスイッチを押すとリアライト外側に表示される赤い三角停止板のようなコミュニケーションライトは、「Q6」ですでに採用している技術だ。
今回のQ5では、ハイマウントストップランプをリアガラスに反射させることで視認性・安全性をより高めた新機軸「リアウインドウプロジェクションライト」を採用している。ライトにこだわるアウディらしい試みだ。ただ、国産車のそれのように、眩しすぎなければいいのだが……。
ディーゼルハイブリッドって、走って楽しいの?
TDI(ディーゼルエンジン)、ハイブリッド、クワトロの組み合わせは、筆者が2013年に現地で取材したルマン24時間レースの優勝車「R18 e-tronクワトロ」を思い起こさせてくれて、ちょっと懐かしい気分になる。
そんな当時のことを思い出しながら運転席に乗り込むと、目の前に広がる「アウディMMIパノラマディプレイ」を装備したコックピットは相変わらず新鮮だ。とはいえ、各モデルで採用が始まったので、だいぶ見慣れてもきた。助手席前にある3つ目のモニターは、Q5ではオプション扱いになっているそうだ。
スターターを押して発進すると、2トン超え(2,040kg)のボディがスッと動き出す感じにまずは感心する。トランミッションの後ろにモーターがあるので、ギアがつながる前にモーターの力で車体を押し出しているようだ。また、アクセルの踏み方にもよるのだが、低速のままならちょっとの距離をモーターだけで走らせることもできる。
ターボディーゼルの過給ラグのせいで、アクセルの踏み始めでもたつく感があった先代のネガポイントは、モーターがそれを補完するという今回のMHV採用で上手に解消。スイスイと加速して車速を乗せた後のクルージング中は、ガラガラというディーゼルエンジン特有の音が車内に侵入するのを効果的に抑えていて(車外ではさすがにわかる)、ロングドライブのお供として連れて行きたくなる。ちなみに0-100km/h加速タイムは7.4秒で、なかなか速い。
ハンドリングはどうかと思って、ちょっと荒れた路面のワインディングがある箱根の裏道に侵入。ロックtoロックが半周少なくなったプログレッシブステアリングと、それにうまく協調するブレーキトルクベクタリング、回生による摩擦レスブレーキ(最大回生力は25kW)と組み合わせた統合型ブレーキ制御システム(iBRS)のチューニングが高いレベルでマッチしていて、自慢のクワトロ4WDシステムも相まって、SUVでもさすがはアウディ、という走りを披露してくれる。
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少し荒れた路面のワインディングを走行するTDIベースのQ5エディションワン。ディーゼルエンジンの音量は室内では静かだが、車外では結構響く。音質は「ガラガラ」というよりも「ビイーン」という目の詰まった感じだ
足回りは通常のスチールスプリングを使用しているのだが、ダンパーにはオイルの抵抗力を利用して路面状況に応じて減衰力を自動調整する「FSD」(Frequency-selective damper system)サスペンションを新たに採用し、ストローク量の多いセッティングにすることができたのだとか。ひび割れていたり、つなぎめが大きく出っ張っていたりする路面を気持ちよく通過できたのは、そのおかげ。さらなる乗り心地を求める御仁なら、オプションのエアサスを装着する手がある。
MHVによる16.8km/Lの燃費(WLTCモード)と68Lの燃料タンク(航続距離は単純計算で1,140km強)、軽油使用という取り合わせは、なかなか魅力的。ディーゼルエンジンのハイブリッドモデルというのは意外と貴重な存在なのだ。




































