海を1カ月漂流してアザラシに攻撃された跡が残る中でも中身は無傷。爆破テロの現場でも内容物を完璧に保護した──。
米国発のプロテクションギアブランド「Pelican(ペリカン)」の製品は、そんな伝説を持つ“壊れないケース”として知られ、カメラマンやミリタリーファンなどの愛用者がグローバルに多く存在する。
一方で近年は旅行やアウトドアレジャーといったプロの現場以外のシーンでもファンを増やしているとのこと。正規販売代理店として、5年前から「PELICAN DEALER 大阪心斎橋」を運営してきたステラトレード社の川端美奈氏に話を聞いた。
過酷なプロの現場で採用されるプロテクターケース
ペリカンはスキューバダイビングインストラクターのデイブ・パーカーによって創業された、耐久性・防水性・防塵性に優れたプレミアム保護ケースブランドだ。
デーブ氏が自宅ガレージで、ダイビング用フロートの製造と雑誌のメールオーダーによる販売を1976年に開始し、その後、「防水ケース・ライト」へ製造品目を拡大。セイバーライトやプロテクターケースといったシリーズで、世界で11の製造拠点と23のオフィスを持つグローバルブランドへと成長を遂げた(2023年現在)。
世界有数の過酷な海域を1カ月漂流しても完璧な防水性を保持し、内部の機材が無傷で戻ってきたり、爆破テロ事件で大破した装甲車から発見されたペリカン製ケースの内容物が無傷だったり。
圧倒的な保護性能を物語る伝説級の逸話も多いようで、その耐久性はプロの現場で実証済み。米軍や米連邦捜査局の標準装備として採用され、プロのカメラマンなどからも支持を得ている。
「最大の特徴は車に轢かれても壊れないと言われるケースの頑丈さ。海外の航空会社などで荷物の預け入れを利用した際、旅行ケースや収納物が破損するリスクも考えられますが、ペリカンケースの外側に多少の傷がついたとしても、中身を全く問題ない状態で保護できます」とは、川端氏。
ペリカンの販売店契約書を正式に締結し、アフターサービスなどを提供する日本国内の正規販売店は約10店舗。「PELICAN DEALER 大阪心斎橋」は、ペリカンケースを中心に現行商品のほぼ全て揃えた数少ない実店舗のひとつだ。
「大阪だけではなく全国からお客様が来店されます。旅行がてらキャリーケースを買い換えるも少なくないですね。日本ではダイバー、高価なカメラ機材やドローンといった精密機器を扱う方々、サバゲー愛好者などミリタリー用品のひとつとしても人気があります」
使い手に寄り添うラインナップとカスタマイズ
ペリカンケースにはペリカンの代名詞的存在で無骨なデザインの「プロテクター」と、より軽量でトラベル用途での使い心地や持ち運びのしやすさを追求した「エアー」の主に2つのシリーズが存在する。
「それぞれシリーズごとに形状やデザインなどは大きく違い、プロフェッショナルケースの「プロテクター」と、軽量化された「エアケース」の適度な耐久性とリーズナブルな価格の「ボルト」というシリーズ もあります。もともとはピストルケースとして開発されたシリーズで、「ボルト」のロングケースは、日本ではサバゲー好きの間で愛用者が多いです。楽器を入れるケースとして購入されたこともありました」
米国で大型の銃器を入れるのに使われるロングケースから、小物を入れるマイクロケース、ウォレットケースまで存在するペリカンケースだが、いずれも頑丈さや防水・防塵といった性能を備えているという。
「同じ1510サイズで比べると「エアケース」は3.9キロ、「プロテクターケース」は5.4キロと1.5倍の重量があり、使い心地も変わりますが、性能・機能に大差はありません。とくに好みは分かれるのはラッチ部分ですね。「プロテクター」のラッチは硬く頑丈な使用感ですが、「エアケース」は全てボタンをプッシュして軽く持ち上げるだけで、女性も簡単に開閉しやすいラッチになっています」
「プロテクター」の場合は別途用意した南京錠などで鍵をするしかなく、ハンドルもデフォルトのみの用意だが、「エアーケース」は鍵付きのラッチに変更可能。ラッチのカラーバリエーションも豊富で、純正アクセサリーとして長さを数段階で調整できるハンドルも選べるなど、アレンジとカスタマイズの幅が広い。
また、普通のキャリーケースなどと異なり収納ポケットなどがないこともペリカンケース共通の特徴。収納物がケースの中で動いて破損しないように、付属のウレタン素材のクッションフォームなどの緩衝材による破損対策が必須だ。
トラベル用途で収納力などを重視する場合も、パッド付きディバイダーや純正のトレックパックディバイダーといった、別売りアクセサリーでカスタマイズできる。
「純正のトレックパックは厚さ約1.1cmの硬質パネルをカットし、入れたい機材の大きさなどに合わせて、自分好みに仕切りを作るという仕組みです。ただ、1回切ってしまうと後から変更できません。特定の機材用ではなく、収納物を入れ替えながら柔軟に使いやすいように、弊社ではマジックテープで仕切りを調節できるディバイダーも開発・販売しています」
高価な一生モノだからこそ購入前のプロダクト体験が大事
頑丈なポリプロピレン素材のペリカンケースだが、アスファルト上で転がすときのローラー音が気になる人も多いようで、ノイズ軽減ホイールもオススメのオプションだ。
「PELICAN DEALER 大阪心斎橋」ではペリカンケースへのロゴプリントの相談も受け付けており、今年8月末には1120、1150サイズのケースを店舗限定のカラフルなオリジナルカラー8色で発売。女性客も増加し、「エアケース」と合わせて同店の売り上げを牽引しているという。
充実したサービスネットワークを築き、各地域のニーズに対応した豊富な製品展開もブランドの強み。日帰りレジャーから長期のアウトドア遠征まで、機能性だけでなく日常シーンでの実用性とデザインを持つ多彩なラインナップが存在する。
米国企業がペリカンケースをベースにコラボして開発したスピーカーは、最近日本に輸入された最新商品のひとつ。長くアメリカのみでの販売だったペリカン製のタンブラーも今年は初上陸した。
「カラーバリエーションも豊富で、新色のケースと合わせるお客様も増えています。飲み口がストローとシッパーの両対応で、24時間の保冷と7時間の保温が効く、容量650mlのタンブラーがとくに人気です」
自動車などの一般的なドリンクホルダーに入る形状で、自転車のドリンクホルダーやバックパックのベルトに取り付けて利用する人もいるそうだ。
なお、1535サイズの「エアーケース」の価格は緩衝材のウレタンフォーム付きで7万7000円。一般的なキャリーケースに比べるとやや高価な印象だが、耐久性は折り紙付きなので、末永くヘビーに使い続けられるだろう。
「オンライン販売もありますが、各シリーズでサイズの種類が多く、色合いなども実物で確認できるので、お店へ足を運んで良かったという声はとても多いです。収納したい機材などを直接お持ちいただければ、さまざまなサイズやシリーズを展示製品で試すことができます」
ダイバーやカメラマンなど、プロフェッショナルを中心に長く支持されてきたペリカン。カラーバリエーションやアクセサリー、アイテムカテゴリを拡充させながら、より多くの人に使いやすいラインナップを持つブランドとして、今後も認知が広がっていきそうだ。











