住宅ローンの借り換えは、毎月の返済額を大幅に減らすために有効な手段です。しかし、いつ、どのローンに借り換えるべき? 悩む方が多いのが現実です。今回は、最新の市場動向と事例をもとに、高所得者だからこそ活用したい借り換えの極意を紹介します。
2025年10月 最新の金利情報
2025年10月時点における、住宅ローン金利の最新の動向を簡潔に解説します。
変動金利のほうが低い状況が続く
ネットバンクを中心とした変動金利は0.7%程度であり、固定金利より低くなっています。メガバンクの変動金利もネットバンクと同程度です。
一方の固定金利に関しては、フラット35は1.8%程度で推移しています。メガバンクの10年固定は2%を突破し、上昇傾向にあります。
固定金利は上昇の可能性あり
固定金利は物価の上昇を踏まえ、2025年内に追加の利上げが実施される可能性もゼロではありません。長期金利が上昇するため、それに連動して固定金利がさらに上昇する可能性もあります。
借り換えに適したタイミングとは?
住宅ローンの借り換えを検討するのによいタイミングを3つ解説しましょう。
固定金利特約が終了するとき
住宅ローンでは、最初の一定期間は固定金利の特約があり、その後変動金利へと自動的に移行するタイプがあります。固定金利が終了するタイミングは、借り換えを検討するのに適したタイミングです。
特に移行後の変動金利が固定金利より高くなる場合、借り換えを検討するのがおすすめです。
転職を考えているとき
住宅ローンの借り換えでは、勤続年数を審査基準の1つとしています。よって勤続年数が短いと審査の通過が難しくなるため、転職直後の借り換えは不利です。
転職を検討しているときは、住宅ローンの借り換えも検討するにもよいタイミングです。自営業やフリーランスなど会社員以外の道を目指す場合も、借り換えを検討するとよいでしょう。
条件がよい住宅ローンが見つかったとき
金利情勢や金融機関のサービスは常に変化しています。契約時より低いローン、団信(団体信用生命保険)の補償内容が充実しているローンが登場することもあります。
定期的に複数の金融機関の住宅ローンを比較検討して、借り換えのチャンスを狙うのもよいでしょう。
借り換えがお得になる条件
借り換えで有利になるかを判断するには、以下、3つの条件がそろうかどうかが重要です。
金利差が年1%以上あるか
借り換え前のローンと借り換え後のローンの金利差が、年率1%以上あるとお得になる可能性が高いです。金利が大幅に減少することで、毎月の返済金額が減り、返済する総額も減らせます。
金利差が0.2%などそれほど大きくない場合、借り換えのための諸経費で相殺され、結果的にあまりお得にならない場合があります。かかる時間と手間も無視できません。
残りの返済期間が10年以上あるか
借り換えがお得になるもう1つの条件は、残りの返済期間が長いことです。残りの期間が5年など短いと、借り換えても大きな効果は生まれず、手数料でかえって損をしてしまうかもしれません。
残高が1,000万円以上あるか
借入残高がまだまだ多い場合、借り換えによるメリットを享受しやすくなります。返済の残高が1,000万円以上あると、金利が低くなることによるインパクトが大きく、総返済額の減少につながります。
成功事例に学ぶ! 借り換えるタイミングの具体例
環境の変化によって、住宅ローンを借り換えて成功したケースを3つ紹介します。
教育費の負担に備えるため
40代の会社員Aさんの家計では、子ども3人の教育費が年々上昇しています。固定金利で借りた住宅ローンの返済負担が苦しくなっていました。
そこで金利の低い変動金利のローンへの借り換えを検討することに。金利が年1%低いローンに借り換えることで、諸経費を考慮しても総返済額を200万円以上減少させることに成功しました。
年収ダウンに対応するため
会社員のBさんは年収がダウンし、ローン負担が重くなりました。そこで金利2.85%の商品から、1.75%の商品への借り換えを実行。
諸経費を差し引いても、およそ500万円以上の負担削減につながりました。毎月の返済額も1万5,000円以上減り、ボーナス返済額もおさえることができました。
不動産投資ローンへの借り換え
首都圏の中古マンションを所有しているCさんは、ライフステージが変わったことを理由に引っ越しをしたため、部屋が空室になりました。フラット35を利用していたこともあり、高い金利が気になる状況でした。
そこで部屋を賃貸に出し、住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えを実行。金利はやや上がったものの、賃料収入が見込めるため、毎月の収支は黒字になっています。

