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( Car ) 夢のクルマが大集結! JMS2025特集

日産が大型SUV「パトロール」を日本に導入する理由

NOV. 04, 2025 07:50
Text : 藤田真吾
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日産自動車が巨大なSUV「パトロール」の日本導入を決めた。国内での発売は2027年度前半の予定だ。なぜ日産はパトロールを日本市場に投入するのか。「ジャパンモビリティショー2025」(JMS2025)の会場で実物を見ながら担当者に話を聞いてきた。

  • 日産「パトロール」

    日産「パトロール」の日本発売が決定

“GT-R卒業”の喪失感を埋める存在?

日産は今回のJMS2025にて、「エルグランド」「パトロール」「アリア」の3台を「3つのフラッグシップモデル」と紹介した。同社では2025年8月、18年にわたり作り続けてきた高性能スポーツカー「GT-R」の生産を終了したばかり。長らくフラッグシップとして君臨してきたGT-Rの“卒業”を受けて、日産としては次なる「顔役」を必要としていた。そこで、パトロールを招集することになったわけだ。

  • 日産「パトロール」

    日産は「パトロール」を「顧客の感情に響くハートビートモデル」に位置付けている

パトロールは日産が1951年に生産を開始した歴史あるクルマだ。「砂漠の王様」(King of Desert)の異名をとるほどの走破性を誇り、特に中東地域で人気が高い。アメリカでは「アルマーダ」の車名で販売している。

日本では「サファリ」への改名を経ながら2007年まで販売が続いた。サファリはドラマ『西部警察』でも活躍したそうだ。2007年以降、日産は日本市場に大型SUVをラインアップしてこなかった。サファリが日本市場から撤退した理由としては、「燃費志向」なクルマ選びをする人が増えたことや、ミニバンの人気が拡大したことなどがあったという。

現行型パトロールは通算7世代目。2024年11月に中東で発売になったばかりの最新モデルだ。アメリカを含め販売エリアを拡大していく中で、右ハンドルを作って日本市場に導入しようという話になったという。「パトロールは日産が誇るべき技術が全て詰まったクルマ。どの市場でも、フラッグシップとして非常に好評な車種です。同じ体験を日本のお客様にも提供したいと思っています」と日産の説明員は話していた。

  • 日産「パトロール」

    日本に入ってくる「パトロール」は右ハンドルになる

SUV需要は増加の一途、超大型に確実なファン層あり

SUV人気が続いていることもパトロール導入の理由だ。特に、パトロールのような本格派で超大型のSUVには「定番として、なくならない」需要があると日産の説明員は指摘する。

「人よりも大きなクルマに乗りたい、たくさんのモノ、ヒトを運びたい、そういったニーズには確実にこたえられるクルマです。動力性能と快適性を高いレベルで共存させた、世界的に見ても非常に競争力のあるクルマだと自負しています」(日産説明員)

パトロールは3列シートの7人乗り。大家族であったり、子供が所属するスポーツチームの送り迎えに駆り出される父親、母親といった人たちが、人とは違うクルマで違いを見せたいと思った場合に、パトロールはかなり魅力的な選択肢に映るかもしれない。クルマの3列目シートは「緊急用」で大人が座ると窮屈な場合もあるが、パトロールの3列目は大人が座ることを前提にして作ってあるそうなので、居住性も悪くなさそうだ。

  • 日産「パトロール」

    日産「パトロール」のボディサイズは、日産ドバイのHPで確認したところによると全長5,350mm、ミラーを含めた全幅2,350mm、全高1,945mm。トヨタ自動車「ランドクルーザー300」よりも一回り大きく、キャデラック「エスカレード」とほぼ同等のサイズ感だ。JMS2025の展示車両は中東向けの「ミドルグレード」であるという

日本の道路・駐車場事情と日産パトロール

パトロールに日本で乗ったらかなり気分がよさそうではあるのだが、いかんせん、中東やアメリカと日本では道路事情も駐車場事情も異なる。はたして、日本でパトロールは普通に乗れるのだろうか?

「大柄なクルマなので、買える人、使える人は選ぶと思います。ただ、大きなショッピングモールやビルなどの駐車場には、高さ2.1m以下というのがけっこうあって、そこには入るようになっています」

大きなクルマなので、運転が難しいと感じる人もいそうだ。そのあたりについては先進技術でカバーするという。

「アラウンドビューモニターのような技術で、前方にカメラが備わっているグレードがあります。車内にある14.3インチのツインディスプレイの全画面で、クルマの周囲が確認できます。左右のピラーなどで隠れる死角や、狭い道、洗車機に入るときのクルマの側面など、『そこが見たい』というところを映像で見られるような技術です」

  • 日産「パトロール」
  • 日産「パトロール」
  • 日産「パトロール」

    車庫入れが難しそうなクルマだが、カメラ映像でドライバーをサポートしてくれるそうだ

乗る場所は選ぶが、行ける場所も増える。そんなクルマだと日産の説明員は話す。

「山道や林道、アウトドアパークなどではポテンシャルが非常に高いです。本当は、砂の上で走ってほしいんですけどね(笑)。開発中にドバイの砂漠でテスト走行を行ったんですが、波のように変化する砂を見ながら、どこを走ると滑りだすかを予測して走るのは、スノーボードで滑走しているような楽しさがあるんです」

海外市場と比べて、パトロールのライバルとなりうる巨大なSUVが少ないのが日本市場だ。キャデラックのエスカレードか、ランドローバー「ディフェンダー130」くらいしか、大きさでパトロールに比肩しうる(新車で買える)クルマは思い浮かばない。そんな中で登場するパトロールは、「国産の大型車に乗りたい」と思っている人にとってベストかつ唯一の選択肢になりそうだ。

気になるのは値段だが、日産ドバイのHPで確認してみると、価格は23.99万AED(UAEディルハム)~32.29万AEDとなっている。日本円に換算すると1,000万円強~1,350万円強といった感じだ。日産のフラッグシップ、GT-Rの後継者と考えれば高すぎることもないような気がするのだが、さて、どうだろうか。

  • 日産「パトロール」
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