公明党の与党離脱など一悶着ありましたが、10月21日に日本で初の女性首相が誕生し、高市内閣が発足しました。株式市場は高市内閣の発足を好感し、日経平均は50,000円を突破しました。今後、高市政権下でどのような銘柄が注目されるのでしょうか? 高市銘柄を過去の高市氏の言動から探ります。
日本初の女性首相による高市内閣が10月21日に発足
10月4日の自民党総裁選で女性の高市早苗氏が勝利し、日本初の女性首相の誕生が確実視されました。ただし公明党が与党離脱を表明。自民・公明の両党でも少数与党のため、野党による政権交代の可能性も生じ高市政権の発足が危ぶまれる事態となりました。しかし大阪を地盤とする維新の会と自民党は連立に合意し、10月21日に日本初の女性首相による高市内閣が発足しました。
日経平均が50,000円台に
高市政権の発足を株式市場は好感し、株式市場は上昇しました。政権が発足した21日には、日経平均が節目価格50,000円目前に迫ることに。ただし50,000円には到達せず、高市政権発足とともに材料出尽くしで売られています。
しかし、政権発足後も48,000~49,000円台を維持し、10月27日には50,000円を突破。アベノミクスに続く、サナエノミクスの展開も期待されており、高市政権の発足を株式市場は歓迎ムードです。
株価上昇はインフレ加速のシグナルの可能性も
高市氏は金融緩和を重視する、ハト派の立ち位置の政治家とされています。利上げを模索する日銀とは逆のスタンスです。
高市政権の発足前から為替市場では円安が進んでおり、ドル/円は8月以来の150円を回復しました。足元では米価格の上昇などインフレが進んでいますが、円安は物価高の要因の一つです。株式市場はインフレとともに上昇する傾向があり、高市政権の発足による株式市場の上昇は、インフレ加速のシグナルとなる可能性も否定できません。このため、株価上昇を手放しでは喜べない面もあります。
安全保障政策重視の高市氏、防衛銘柄中心に高市銘柄を探る
高市氏は以前から、国家安全保障に注力してきた政治家として知られています。2022年には岸田内閣で経済安全保障担当大臣に就任しています。防衛面や経済面から安全保障政策に注力しており、今後上昇が期待される高市銘柄として防衛銘柄は外せません。以下に高市銘柄となる可能性がある銘柄を取り上げました。
三菱重工業<7011>、川崎重工業<7012>、IHI<7013>
やはり防衛銘柄といえば重工3銘柄です。昨年から大きく株価が上昇している重工3銘柄ですが、米トランプ政権による防衛費拡大圧力に加え高市政権の誕生もあり、株価上昇が後押しされる可能性もあります。また防衛大臣に、人気のある小泉進次郎氏が就任した部分も注目点です。
NEC<6701>、三菱電機<6503>
防衛銘柄というと護衛艦や戦闘機のイメージがありますが、通信システムなどにも予算の多くが投じられています。防衛省の発注ランキング上位には防衛装備品を受注する企業が並ぶ中で、NECと三菱電機もその中に名前を連ねています。NECは通信システム、三菱電機はレーダーシステムを得意としており、日本の防衛インフラを支えている銘柄です。
日本製のドローンや防犯カメラにも注目
高市氏は日本製のドローンや防犯カメラの重要性を訴えてきた政治家でもあります。海外製ドローンは製造国と対立が生じた時の代替リスクがあり、また海外製防犯カメラにはバックドアのリスクがあります。
国内ドローンメーカーとしてはTerra Drone<278A>があり、国内防犯カメラメーカーとしてはパナソニックHD<6752>があげられます。
高市政権の発足で直接防衛に関係する銘柄だけではなく、経済安全保障の観点から関連銘柄が注目される可能性もあります。
日経平均は上昇を続けるのか
かつての民主党政権下で、日経平均は10,000円を前後する状態が続きました。高市政権発足で日経平均は50,000円を突破し、隔世の感があります。高市政権発足を好感した株式市場ですが、高市氏はかつて金融所得課税30%を主張したこともあり、投資家に対し厳しい意見を持つ一面も有しています。
まずは株式市場から好感された高市政権の発足ですが、株式市場が高市政権を今後どのように評価していくのか、その行方が注目されます。


