スバルが生産を予定する「トレイルシーカー」は、たくさんの荷物を積んで長い距離を走れる電気自動車(BEV)だ。こういうBEVを待ち望んでいたスバリストは、けっこう多いのではないだろうか? どんなクルマなのか、「ジャパンモビリティショー2025」(JMS2025)の事前説明会で聞いてきた。
トレイルシーカーとソルテラ、どう違う?
スバルとトヨタ自動車はBEVを共同開発しており、2026年末までにSUV4車種をラインアップする予定。トレイルシーカーは共同開発BEVの2車種目にあたる。スバル「ソルテラ」(トヨタ版の車名は「bZ4X」)のリアオーバーハング(後輪より後ろの部分)を伸ばし、ワゴンのようなスタイルにして、ルーフレールを全グレード標準装備として積載能力を高めた実用的なBEVだ。生産工場はスバルの矢島工場(群馬県)で生産開始は2026年春ごろとなる見通し。スバルにとっては初の自社生産BEVとなる。
ソルテラのボディサイズは全長4,690mm、全幅1,860mm、全高1,650mm。派生車種のトレイルシーカーは同4,875mm/1,860mm/1,675mmで、全長が185mm伸びている。その分、積載能力が高まっていると考えていい。
動力性能も違う。ソルテラのAWD(4輪駆動)は計2基のモーターを積んでいて、最高出力はフロントモーターが167kW、リアモーターが88kW(システム最大出力252kW)なのだが、トレイルシーカーのAWDはフロント167kW、リア167kW(同280kW)で馬力が増している。その結果、ゼロヒャク加速(停止状態から100km/hまでの加速に要する時間)はソルテラAWDが5.1秒、トレイルシーカーAWDが4.5秒と速くなっている。
トレイルシーカーのバッテリー容量はソルテラと同じ74.7kWhだ。先日の改良でソルテラの航続距離は大幅に伸び、FWD(前輪駆動モデル)は改良前の567kmから746kmへと劇的に長くなったばかり。トレイルシーカーの航続距離は今のところ非公表だが、全長が伸びたり、ルーフレールが付いたり、AWDに関しては出力が上ったりして電費が悪くなっているとしても、FWDで700kmあたりは軽く実現してくるのではないだろうか。
トレイルシーカーは前後の視界にもこだわったそうで、ソルテラにはないヘッドライトのクリーナーやリアワイパーなどを追加している。グレードは標準タイプと上級タイプの2種類。上級タイプにはハーマンカードンのオーディオとシートベンチレーションが付くそうだ。
「後ろから見るとアウトバックじゃん、という声もあります」。JMS2025の事前説明会で話を聞いたスバルの技術者がこう認めるように、トレイルシーカーは「電気のアウトバック」といった感じのキャラクターだ。たくさんの荷物を積んで長い距離を走る。こんなスバリストたちのクルマの使い方に、ぴったりとフィットしそうなBEVである。荷室についてはスバルがワゴンで培った知見を活用し、アウトバック並みの容量を確保すべく開発を進めたという。
トレイルシーカーはスバルらしく使えるBEVであり、アウトバックから乗り換えるのにも最適な1台となりそうだ。




























