サントリーはカクテルとそれを生み出すバーテンダーの魅力に焦点を当てた「サントリー ザ・バーテンダーアワード2025」を、10月28日に都内で開催した。書類審査とセミファイナルを経て選出された8名のバーテンダーが腕を競ったファイナル大会では、神奈川・N-BARの若林将太さんの「鳳鳴」が栄冠に輝いた。
審査員を唸らす趣向を凝らした創作カクテル
「サントリー ザ・バーテンダーアワード」は、前身である「サントリー ザ・カクテルアワード」が昨年、節目の30回を迎えたことから今年はコンセプトを刷新して開催した。
2025ファイナル大会は、ファーストステージ「創作カクテル審査」とセカンドステージ「Yatte Minahare審査」の2部構成で実施された。
「創作カクテル審査」は、それぞれのバーテンダーが「あなたが世界に伝えたい日本発のカクテル」をテーマに創作したカクテルのプレゼンテーションを実施。審査員が随時審査をし、上位3名が2ndステージに進出する。
なお、創作カクテルには、サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」、サントリージャパニーズクラフトジンウオッカ「HAKU〈白〉」、サントリーリキュール「KANÁDE〈奏〉」、SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」から1品以上を使用しなければならない。
審査の結果、神奈川・客船 飛鳥Ⅱの土田勇人さん、大阪・Cocktail Bar Hedonistの島直右、神奈川・N-BARの若林将太さんの3名が「Yatte Minahare審査」に進出した。
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若林さんの「鳳鳴」は、「碧Ao」に、桜の香りと茶葉の彩りを重ねた1杯だ。鳳凰は古来より平和と繁栄の象徴であり、その声は吉報を告げるとされる。「鳳鳴」は日本から世界へ、希望と祝福を力強く響かせるカクテルとして創作
実際の接客シーンを模したセカンドステージ
「Yatte Minahare審査」は、実際のバーでの接客を想定し、「新しい一歩を踏み出すお客様への1杯」をテーマにカクテルを創作。カクテルの完成度はもちろん、バーテンダーに欠かせないホスピタリティである即興力と想像力も審査の対象となる。1人あたりの持ち時間は15分で、超過した場合には減点される。
最初に登場した若林さんに与えられたテーマは、「仕事で独立する背中を押してくれる1杯」だ。ベースの「HAKU〈白〉」を花束の包み紙に見立て、五福が訪れるといわれる梅の花のイメージで梅酒を合わせる。心を癒すが花言葉のクランベリー、苦味で味を引き締めるオレンジビターと酸味のライムジュースで味を整え、最後に情熱のバラを加えた。
島さんは「海外赴任をする背中を押してくれる1杯」をテーマに試技をスタート。日本らしいカクテルとして、お米のウオッカである「HAKU〈白〉」をベースに、白桃のリキュールでフルーティーさとフレッシュレモンでサッパリ感を加える。ヨーグルトと炭酸水を合わせ、新しい挑戦を応援する純白のカクテル「雪化粧」を作り上げた。
土田さんへのオーダーは、「恋人にプロポーズする背中を押してくれる1杯」。テキーラをベースに、プロポーズが成功して桜が咲くことを願って桜のリキュール、オレンジの皮から作られるビターリキュールでほろ苦さを合わせて、味を引き締める。最後に、花を添えるイメージで赤いクランベリージュースで華やかさと柔らかさを加えれば、「セレブレーション」の完成だ。
「サントリー ザ・バーテンダーアワード2025」優勝者が決定!舞台上で何を語る?
3人が最高のパフォーマンスを終えると、舞台は表彰式へと移る。
サントリーHOSグローバル推進部 部長の奥田秀朗さんの乾杯挨拶の後、5名の審査員たちがそれぞれ講評を述べていく。
「サントリー ザ・カクテルアワード2024」に輝き、今回は審査員として参加した森﨑和哉さん。今回の創作カクテルが日本を代表するカクテルとしてふさわしいかという観点で、「世界へ伝えたい日本発のカクテルというテーマで、本当に素晴らしい作品がそろったと思います。それは視覚的に日本情緒を表すだけにとどまらず、精神性や背景にもすごく意味のある作品が出揃ったと思います」と述べた。
一般財団法人 カクテル文化振興会 理事長の岸久さんは、「今回の創作カクテルに求められたのは、オリジナリティーはありつつも、味の観点で言えば甘さとアルコール感のバランスに尽きると思います。海外のバーで飲んでも、基本的には万国共通で、おいしいものはおいしいと感じます。そのラインを守っていくことが、今後世界に発信していく日本のカクテルの基礎になるものだと痛感しました。本日のファイナリストの皆さんにその思いを託し、今後も頑張っていただきたい」と大会を統括した。
講評を終えると、サントリー 執行役員 スピリッツ本部長の塚原大輔さんが登壇。神奈川・N-BARの若林さんが「サントリー ザ・バーテンダーアワード2025」を制したと発表された。
優勝者となった若林さんは、大会を振り返って「栄養ある賞をいただけることを本当に嬉しく思います。ファイナルは緊張しましたし、強敵揃いの中での戦いでしたが、自分の伝えたいことは伝えられたのかなと思います」とコメント。
ついで、「今回の受賞に甘んじることなく、日々精進を兼ねて、より良いバーテンダーになれるように研鑽し、より多くのお客様に居心地のいい空間を提供していきたい」と決意を語った。
表彰式後に若林さんに優勝のポイントを伺うと、「Yatte Minahare審査で与えられた独立祝いというテーマは、他の2人の海外への転勤や女性からのプロポーズと比べればやりやすいテーマでした。そこはラッキーもあったと思います」と話してくれた。












