ビットコインの価値はいったいどこまで上がるのか、GAFAMが支配するビジネスとWeb3の決定的な違いとは? この記事では、これからの資産形成やビジネスに新たな視点を与える一冊『デジタル資産とWeb3』(小田玄紀/アスコム)から一部を抜粋して紹介します。
今回のテーマは『ビットコインはすでに世界トップクラスの金融資産/資産のデジタル化は止まらない』
ビットコインはすでに世界トップクラスの金融資産
1位が金(ゴールド)、2位がアップル、3位がマイクロソフト、4位がエヌビディア、5位アルファベット(グーグル)、6位アマゾン、7位に銀(シルバー)、8位にサウジアラムコ、9位メタ(フェイスブック)と続き、10位にビットコイン。
これが何のランキングかお分かりでしょうか?
これは、CompaniesMarketCap社による主要な金融資産の時価総額ランキングです(2025年3月20日時点)。10位にランクされたビットコインは時価総額1.5兆ドルで、メタの株式とほぼ同等となっています。ちなみに暗号資産のイーサリアムは2400億ドルで50位につけています。
時価総額の算出根拠の違いなどはありますが、この金額を見る限りはビットコインとイーサリアムはれっきとした資産としての地位を築いていることがわかります。
また、CoinMarketCap社のデータ(2025年3月20日)では、世界全体での暗号資産の市場規模は約409兆円です。日本の上場企業株式の時価総額が957兆円(2025年2月末時点)なので、その半分近くになります。24時間の取引額も約20兆円に達し、日本の株式市場(日本取引所グループ)の1日の平均取引高5兆円(2023年度)をはるかに上回ります。
こうした大きな数字を並べられてもピンとこない方もいるでしょう。ただ、ビットコインが2009年1月に生成され、翌2010年に初めてピザ2枚の購入に使われたときは1BTC=0.6円ほどでした。それが15年ほどで一時1BTC=1700万円に至ったのですから、その間の成長率は実に2800万倍です。すさまじい速度で価値を高めてきたことがわかります。
しかし一方で、疑問も湧いてきます。
本当に今後数十年以上、価値が維持あるいは向上するのでしょうか?
一時のバブルで終わる危険はないのでしょうか?
資産のデジタル化は止まらない
正直に言えば、未来のことは誰にもわかりません。ただビットコインなどの暗号資産に関しては、「資産のデジタル化」という観点では今後も価値を高めていくはずです。
私にも、明日、明後日の値動きは予想できませんが、5年ほどのタームではある程度の予測は立ちます。2030年頃には1BTC=5000万円~1億円ほどの価格になるだろうという見解を持つ専門家やアナリストも少なくありません。有識者のもとはいえ、あくまで予測は予測でしかありませんが、各々が説得力のあるロジック推論を立てているため、期待はできます。
とても現実的には思えないかもしれません。しかし金に替わるデジタル資産として役割を確立し始めたことを考えれば、荒唐無稽な話ではないのです。
アメリカの財務省は、「ビットコインは分散型金融における価値の保存に使われるもので、デジタルゴールドのようだ」との見解を報告しています。FRBのパウエル議長も「ビットコインの競合は金」と述べているように、金に近しいものであるという視点はビットコインの価値の理解において重要です。
そもそも資産というのは経済的な価値があるものの総称です。
その中で、とりわけ金の価値が高いのはなぜでしょうか。様々な要因があるので、ここではザックリとした説明にとどめますが、まず埋蔵量が決まっていて希少価値があるからです。それから、アクセサリーや電子機器、はたまた投資と用途が多彩であること。そして誰もが売買しやすく換金性が高いこと。紀元前からの歴史があること。企業の業績や地政学的リスクに価格が左右されにくいこと、などが挙げられます。加えていうなら、金という実物がちゃんと現実にある、ということも信用に足る理由でしょう。
金も最初からいまほどの値が付いていたわけではありません。1995年から2024年の30年間だけを切り取っても、1グラム約1200円から約1万2000円へと、実に10倍もの値上がりをしています。この間に様々な経済不安や金融危機が起きるたび、安全資産としての金の価値が高まってきたのです。
その金と同じ役割を、デジタル資産であるビットコインが担おうとしている、まさに分水嶺がいまです。
ここで、装飾品や電子機器などに利用できる金と、ほとんど実際的な利用方法のなビットコインでは価値が違う、と考える人もいると思います。たしかに、ビットコインは決済手段としての機能はほぼ果たしていません。しかし金も産業利用されるのはごく一部であって、価値の大部分は安全資産の面にあります。個人で金塊を持っていても何の役にも立たないのに保有しているのは、安全資産だからです。
同じように、ビットコインが安全資産だという認識が広がれば、国や機関投資家が大量にポートフォリオに組み込み、簡単には売却しなくなるでしょう。そうなれば金に比肩するほどの価値になり、ある程度は値動きも安定するはずです。だからいまアメリカが大号令をかけている意味は極めて大きいのです。
ビットコインは、人間がプログラムしたデータですから、金塊を手にするような安心感はないかもしれません。ですがブロックチェーンという仕組みの発明によって、そのデータが唯一無二で間違いのないものだと証明できるようになっているため、現金や現物に劣らないとする見方もあります。
考えてみれば、私たちも現金をそのまま金庫に入れていることはほぼなく、大部分は銀行などに預けています。株や外貨への投資もスマートフォンひとつでできるようになりました。
日常生活でも電子マネーの利用が当たり前になり、キャッシュレス化はどんどん進んでいます。日本円の現物を持ち歩かず、貯蓄も円だけでなくドル建ての投資信託などに変えている人が増えてきました。NFTという形でアートや権利をデジタルの形で所有することもできます。
電子化の壁も国境も軽々と越えていく世代にとっては、デジタル化されたものの存在感は日増しに強まっており、これから「デジタル資産」の時代になっていくことは自然なことなのです。
このように書くと、同じデジタルでも大手企業や金融機関が管理しているものとビットコインでは、信用度がまるで違うと思われるはずです。たしかにビットコインの場合は特定の管理者が存在しません。その代わりにブロックチェーンというシステムに信用があり、システムへの理解や信用度で評価が大きく変わります。
『デジタル資産とWeb3』(小田玄紀/アスコム)
ビットコインの価値はいったいどこまで上がるのか、GAFAMが支配するビジネスとWeb3の決定的な違いとは?これからの資産形成やビジネスに新たな視点を与えるビジネスパーソン必読の一冊!『怪しい? 危ない? よくわからない? みんな「インターネットに乗り遅れた人たち」が言ってたことです。同じ失敗をしないために、本書を読みましょう』(山口周さん推薦)


