太陽光発電が可能なのであれば、ソーラーパネル付きの電気自動車(EV)も作れるのでは? さまざまなプレイヤーが取り組むソーラーパネルEVの世界に、ついに日産自動車が参入する……かもしれない。同社が「ジャパンモビリティショー2025」(JMS2025)に出展する「Ao-Solar Extender」という新技術を一足お先にチェックしてきた。
駐車したらソーラーパネルの面積が2倍に!
日産が「数年先の未来」を見据えて開発中の「Ao-Solar Extender」。「青空」と「ソーラーパネル」に「エクステンダー」(エクステンドは伸ばすという意味)を掛け合わせた名称から、どんなシステムなのかが何となく想像できる。EVの走行距離をエクステンドするために太陽光を活用するという趣向だ。
担当者によれば、「Ao-Solar Extender」開発にあたってこだわっているポイントは3つあるという。
まずは性能だ。走行中はルーフ上のソーラーパネル1枚で発電するが、駐車して発電モードに切り替わると、ルーフに格納されているソーラーパネルが伸びて2枚になる。つまり、発電モードが起動すると、走行モード中と比べて2倍の面積で発電が可能となるのだ。
同システムを装着するとEVの充電の手間が減らせる。「Ao-Solar Extender」を装着したサクラ(あおぞらサクラ)と未装着のサクラの実走データを基に年間のSOCシミュレーションを算出したところ、あおぞらサクラの充電回数を大幅に減らすことができたそうだ。現在は年間走行距離3,000km相当の発電量を目指して開発を進めているという。
発電モード中はフロントのギリギリまでソーラーパネルが伸びて日よけの役目も果たしてくれるので、真夏の炎天下でも車内が暑くなりにくいという副次的な効果も得られるという。
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年間のSOCシミュレーション。緑の線はサクラの年間における電池残量(SOC)の動きを示す。図上部の通常版「サクラ」は走行することで電池が減少し、何度も充電を繰り返している。一方で図下部の「あおぞらサクラ」は、なかなか電池が減らず、充電をしない「充電フリー」期間が増加している
EVは「災害時の非常用電源」としての役割にも期待される乗り物だが、基本的には充電した電気を使い切ってしまったら蓄電池としては使えなくなる。その点、「Ao-Solar Extender」を装着していれば、天気にもよるが電気を作り出すことができるので、いざという時にも心強い。
カッコ悪いオプションなら装着したくないが…
2つ目のこだわりポイントはデザイン。どんなに性能がよくても、カッコいい(あるいはかわいい)デザイン、つまりは“買ってもらえる”見た目でなければ売れないとの考えから、日産は「Ao-Solar Extender」の意匠にもこだわっている。
同社がJMS2025に出展するのは試作2号車だが、試作1号車と見比べるとデザインの違いは一目瞭然だ。
試作1号車の「Ao-Solar Extender」は高さがあり、ルーフ部分の四隅で支えるスタイル。いかにも「載せている感」が強い。一方の試作2号車では、「Ao-Solar Extender」の高さを変更し、ルーフにかぶせるようなデザインに変えた。「Ao-Solar Extender」の前面から後ろにかけて走るラインをボディサイドと専用設計のホイールにも採用することで、車体としての一体感を高め、スタイリッシュに仕上げている。
価格には期待できる?
性能よし、デザインよしとなれば、気になるのは価格だ。まさにここが、最後のこだわりポイントとなる。
担当者は「まだ開発中の段階」と前置きした上で、価格については「他社が提供しているソーラーオプションの価格と性能」や「電気代や設置工事代」も踏まえつつ、「いくらならどれくらいで元が取れるのか」や「補助金対象の可否」も考慮し、JMS2025でユーザーの声も聞きながら検討していきたいと話していた。
「Ao-Solar Extender」で使うソーラーパネルのセルは、発電効率20%程度のごく一般的なものを採用している。かつて日産が、シャープとともにNEDOプロジェクトで開発した「eNV200」のように、人工衛星にも使われるような超高効率なセルではない。この点を踏まえると、「お求めやすいお値段」になる可能性もそれなりにあると思うのだが……。さて、いくらになるのだろうか。


















