ホンダが発売した軽BEV「N-ONE e:」は「40代~50代の女性(+20代女性)」がメインターゲットとのことだが、「エンジンのホンダ」が大好きな往年のファンたちのことは、あまり視野に入れていないのだろうか? ホンダファンにもオススメできるクルマなのかどうか、試乗して確かめてきた。
背高ワゴンを見慣れた目には新鮮な見た目
「N-ONE e:」のベースモデルは、ガソリンエンジン搭載の軽自動車「N-ONE」だ。ホンダが日本国内で販売する乗用BEVとしては、残念ながら販売終了となってしまった「ホンダe」に続く2番目のモデルとなる。ちなみに、ホンダの軽商用BEVとしては「N-VAV e:」という選択肢がある。
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N-ONE e:のボディサイズは全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,545mm。ベースとなっているICE(内燃機関搭載)のN-ONEと全く同じサイズを実現している。ボディカラーは訴求色の「チアフルグリーン」
四角くて背の高い最近の軽スーパーハイトワゴンを見慣れた目に映るN-ONE e:のエクステリアは、背が低くて小さくて、2BOX車らしくてとっても好ましい。丸い2眼のフロントフェイスには給電口があり、樹脂のグリル部分は、廃棄されたホンダ車のバンパーのリサイクル素材を粉砕したもので整形していいて、近くで見るとさまざまな色が混ざった粒が入っているのが視認できる。そういえば、N-VAN e:もこれだったなということを思い出した。
搭載する電動パワートレインは最高出力64PS(軽自動車枠の上限馬力)、最大トルク162Nmを発生するフロント駆動用モーターと、容量29.6kWhのリチウムイオンバッテリーの組み合わせ。一充電の走行可能距離は295kmを実現している。1トンをわずかに超える1,030kgのコンパクトなボディを電気の力でどう走らせるのか。早速、スタートしてみよう。
走らせてみると…意外にもホンダ車!
N-ONE e:のグレードは2種類。アルミホイールや9インチホンダコネクトナビ、皮巻きステアリングホイール、急速充電機能などを標準装備する上級版「e: L」は319.88万円、鉄チンホイールとディスプレイなしのシンプルな室内で構成されたスタンダード版「e: G」は269.94万円となる。今回は前者に試乗した。
コックピットメーター右下の赤い電源ボタンを押してシステムを起動し、フラットなダッシュボード下に配置されたボタン式のシフトセレクターで「D」を押してやれば、N-ONE e:はするすると街中に滑り出す。
BEV車によくあるドライブモードボタンや回生をコントロールするシフトパドルなど余計なものは全くないので、運転に集中できるのがいい。あるのは、アクセルペダルのみで加減速と完全停止までが行える「シングルペダルコントロール」ボタンだけ。これを押すと「オートマチックブレーキホールドからシングルペダルコントロールに切り替わりました」の文字表示が出て、ペダルの表示部分が緑色に変わる。街中ではこれが一番だ。
アクセルから足を離すと、メーターにブレーキランプが点灯する様子が表示される。後続車にブレーキングしていることをきちんと伝えているのがわかるのは、安心材料だ。シングルペダルでの減速は上手で、すぐに慣れて、狙った位置に停車できるようになる。
加速のレベルもかなりのもの。信号からのゼロスタートだと、制限速度までなら簡単に普通車をぶっちぎれるほどだ。一方の高速では、タイトなコーナーでも低重心をいかして、大きなロールを見せることなく出口に鼻先が向いていく。ホンダ車らしいな、という走りが味わえた。
ひとつだけ気になったのは、バックする時。R(リバース)操作だけがD、N、Pのようなボタンではなくレバーを引くタイプなので、急な操作の時に一瞬戸惑った。そこだけ間違わないように操作方法を変えた、という理屈はわかるのだけれど。
ホンダZを思い出すかも?
もう1台の「e: G」グレードは、「朝、子供を保育園に送った後、職場に通勤し、仕事が終わると子供を迎えに行って、帰りにスーパーで買い物をして自宅に戻る」といったようなクルマの使い方で、20~30kmの同じルートを毎日走る多くの女性(当然、男性もいるけれど)を意識した仕様となっている。マイカーには「高価なナビや“墓石”のように見える(笑)大きなディスプレイは不要」との意見を取り入れた結果だ。
なるほど、それもよくわかる。しかし、先ほどのような走りを堪能してみると、40代~50代の女性(+20代女性)だけがターゲットというのはもったいない、と思ったのも確かだ。往年のホンダファンにも、ぜひ注目してみてほしい。
そんな走り屋ユーザーには、N-ONE e:用の純正アクセサリーを装着することをオススメしたい。実物を見ていただこう。
デカールタイプのボディストライプやテールゲートスポイラー、ブラック塗装のアルミホイール、インテリアのカーボン調パネルなどで“武装”したスポーティースタイルのN-ONE e:は、昔の軽スポーツモデル(ホンダZなど)を彷彿させて、なかなかカッコいい。インテリアはすっきりとしていてシンプルだが、ちょっと前の「女性向け」とされたモデルのようなファンシーな雰囲気は皆無なので、安心して乗り込める。なんなら「無限」仕様も準備されているのだ。








































