高級腕時計「ロレックス」の相場が上昇傾向にあります。世界的に需要の高いロレックスの中でも、人気の高いモデルは株価のように日々相場が変動しています。その要因はどこにあるのでしょうか。
売るタイミングで数十万円の違いも?
ロレックスといえば、時計に詳しくない人でも名前くらいは知っている人気高級時計の代名詞です。そんなロレックスを正規店ではなく並行店(2次流通:正規店を通さない新品を販売する)や中古店で売り買いする場合、株価のように売買相場が日々上下していることは、あまり知られていないかもしれません。
高級時計のオンラインマーケットプレイス「クロノ24」には、世界100カ国以上から新品や中古の腕時計が出品されています。腕時計の売買に特化した「メルカリ」のようなサイトといえばわかりやすいでしょう。
そのクロノ24では、時計の価格を日々の売買データから独自の指数で算出し、価値を見える化(販売価格をもとに、価格水準の変化を測定する際に用いられるラスパイレス式計算法)しています。それによると、ロレックス全モデルの直近3カ月の価格指数は上昇傾向にあります。
例えば、大人気クロノグラフ「デイトナ」は10.3%、3針ウォッチの「デイトジャスト41」は6.25%の価格上昇を示しています。
腕時計買取店の査定員に聞いたところ、「毎日、株価のように数千円から数万円の単位で買い取り相場が変動しています。どこで売るかというより、いつ売るかによって価格が上下します。特にデイトナは、売るタイミングで数十万円の差がつくこともあります」とのことでした。
相互関税の影響は?
ロレックス相場はさまざまな要因で上昇しますが、一番大きな影響を受けると考えられるのが定価の上昇です。
コロナ禍以降、外出できず旅行に行けないかわりに、腕時計を買い漁る富裕層(投機目的)が増えたといわれています。腕時計メーカーは急激に訪れた需要拡大や物価高を背景に、年に数回の価格改定を実施。その度に数%から10%程度、定価が上昇していきました。
直近の話でいえば、トランプ政権がスイスに対して39%の相互関税を課しました。スイスの時計メーカーがアメリカでの販売価格を上げざるを得なくなれば、内外価格差を生じさせないため、世界規模で定価を改定する可能性は高くなります。
そうなると、2次流通といわれる並行店での販売価格も上昇しますし、中古品としての買い取り価格も上がります。
コロナ禍によって供給が制限された2021年から2022年にかけては、腕時計相場が異常なくらいに高騰し、コロナ禍による時計バブルとも呼ばれました。極端にいえば50万円の時計が100万円に上がったような感覚で、もともと100万円だったモデルが300万円くらいに高騰したケースもありました。
相場の上昇は2022年春頃(3月くらい)をピークに徐々に落ち着き、価格は下落していきましたが、それでも、コロナ禍以前よりは3割から5割くらい高いまま推移しているのが現状です。しかも、ここ最近は再び上昇傾向にあります。
コロナ禍の相場上昇は異常でした。ただ今後も、ロレックスの相場がコロナ前の水準に戻ることはなさそうです。一度上がってしまった価格が下がることは、ほぼないと断言していいでしょう。
そのほかにも、円安による経済的要因、富裕層の増加による需要拡大、投資対象としての過剰な争奪戦など、複数の要因が重なり合って、相場の上昇に拍車をかけています。不透明ではあるものの、世界的に人気のあるロレックスの相場は、今後も上昇していくとみて間違いないでしょう。
高級時計は“今が一番安い”という言い方があります。そのくらい、価格がじわじわと上がっているんです。当然、ロレックスも例外ではありません。それどころか、価格上昇を続ける高級時計の象徴的な存在がロレックスなのです。購入を検討しているのなら、できるだけ早く決断するのが吉といえるかもしれません。
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ロレックスの年間生産本数は120万本以上ともいわれています。最大のライバルと称されるオメガでさえも60万本程度ですから、ロレックスは高級時計界隈でも突出した大量生産体制を整えているのですが、それでも、供給が需要に追いついていないわけです。人気の高さをうかがわせますね




