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世界的投資家のジム・ロジャーズが警告「インデックス投資は必ずしもリスク分散にはならない」

OCT. 15, 2025 11:30
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トランプ関税、米中対立、円安・インフレ、株・商品市場……混乱する世界をどう読み、何に投資するべきか?

世界的投資家のジム・ロジャーズ氏にロングインタビューを敢行し、最新予測をまとめた『世界大激変 混乱する世界をどう読むか』(ジム・ロジャーズ著/花輪 陽子監修/アレックス・南レッドヘッド監修/東洋経済新報社)から一部を抜粋してご紹介します。

今回のテーマは『インデックス投資は必ずしもリスク分散にはならない』。

インデックス投資は必ずしもリスク分散にはならない

――日本株についてお聞きします。先ほど、少し前に日本株のETFをすべて売却したとのことでしたが、その理由を教えてください。

日本株のETFをすべて売ったのは事実だ。しかし、そのタイミングに関してはやや早すぎたと少しだけ後悔している。私が日本株をまとめて買い始めたのは東日本大震災の前後で、しばらくは保有していたが、当時の安倍政権が消費税の引き上げを決めたので、そのタイミングで売却した。2023年に日本株が大幅上昇する前に売却してしまったので、大きなリターンを得る機会は逃してしまった。

長らく低迷していた日本の株式市場が復活した理由は、アベノミクスによる政策転換の影響で、中央銀行である日銀がETFを買い始めたことが大きい。日銀によるETFの買い入れは2010年に始まり、2013年4月には「量的・質的緩和」が導入され、日銀によるETF保有残高を年間1兆円増やすことが決まった。そして、その後も買い入れ額は増加していった。

最近では、中国の株式市場が低迷したため、日本株に資金を移す動きもこれを後押しした。新NISAなど新たな非課税投資制度の導入が、初心者にとって、投資を始める魅力的なきっかけとなったこともあるだろう。こうした制度は多くの国で行われていることで、1万円を銀行に預けるより株式市場に投じるほうが得策だと考える若者が増えていくことはよい変化と言ってよい。

新NISAで投資を始めた人の多くが「オールカントリー」や「S&P500関連」などの世界株式インデックスを積み立て式で購入していると聞く。このような動きは、日本では新しい流れのように見えるかもしれないが、世界の主要国を見れば、これはどの国でも行われていることだ。

――ジムさんが指摘されているように、新NISAでは世界株式インデックスや米国インデックスにお金が流れています。両方のインデックス共にマグニフィセントセブン(アップルやアマゾン、エヌビディアなどの主要7銘柄)の割合が非常に高いのですが、このことをどう思われますか。

世界株式インデックスは、相場が上昇しているときにはもっとも効率的投資手法だと言えるが、一方で、ひとたび相場が崩れ始めれば、個別株と同じように急落することは避けられない。リーマンショック時には50%以上も下落したこともあり、その後、もとの水準に回復するまでに数年を要している。なので、こうした偏りへのリスクには注意が必要だ。

暴落時には、大きく買われていた株ほど大きく値を下げることになる。アップルやエヌビディアといった今回の上昇相場をけん引した銘柄は、50%程度の下落ではとどまらず、80%ほども下落することも考えなければならない。

同じ理由でインデックスも大きく値を下げることになる。投資家たちはインデックスへの投資でリスクを分散しているつもりかもしれないが、例えば、エヌビディアやアップル株はほとんどのインデックスに組み入れられている。そして、大きく上昇したインデックスほどそうした株を組み入れている割合が大きく、下落相場では大きく値を下げることになる。

バブルの最終局面ではよくあることだが、上昇し続ける銘柄がどんどん減っていき、一部の銘柄に資金が集中してしまう現象が顕著になる。それらの株はバリュエーションがどんどん上がり、株価が上がっていくので多くの人がその銘柄に投資するようになる。結果、そうした株はさらに上昇することになる。これがバブル相場を形成する市場のメカニズムなのだ。

それらの銘柄はマグニフィセントセブンの7銘柄でも、それ以外であっても大きく上昇するものの、暴落する相場では、いつもそうだが、もっとも大きく下がるのはそうした銘柄なのだ。

ITバブルが崩壊したとき、バブルをけん引したアマゾン株が、バブル崩壊前の株価に戻るまでには長い時間を要している。ITバブルより昔の話に遡ると、鉄道、ラジオ、テレビ関連株が過去のバブル相場のけん引役となったが、バブルが弾けると、それらの株はまっ先に崩壊し値を下げている。

マーケットでは、新しいものが出てくると、人々は熱狂し「今回は違う」と口をそろえて言う。80年代に起こった日本のバブルも、90年代後半のITバブルのときもそうだった。永遠に値が上がるというもっともらしい理論がつくられ流布されるのだ。

昨今のブームであるAI(人工知能)という産業に当てはめれば、何十年後にもAIは存在するかもしれないが、その価値は現在のそれとは大きく変わっていると考えるべきだろう。AI関連株に投資する際には、そうしたことを認識しておくべきだ。

『世界大激変 混乱する世界をどう読むか』(ジム・ロジャーズ著/花輪 陽子監修/アレックス・南レッドヘッド監修/東洋経済新報社)

トランプ関税、米中対立、円安・インフレ、株・商品市場……混乱する世界をどう読み、何に投資するべきか。世界的投資家にロングインタビュー、緊急出版!【本書の主な内容】トランプ関税が今後の国際社会に与える影響/空前のバブル相場の終わりはハードランディングしなない/「コモディティ・スーパーサイクル」の時代が到来する/金や銀を買うタイミングに遅すぎるということはない/アメリカが覇権の座を降りたとき、世界はどう変わるのか/中国はロシアと組んで強固なエネルギー安全保障を実現/投資先として注目するのは、ウズベキスタンとサウジアラビア/キャリア形成は従来の常識が通用しなくなる /移民政策を進めるには厳格な審査基準を設けるべき/投資で成功するために毎日続けるべきシンプルな習慣


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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