マンションリサーチは10月3日、「2025年9月住宅ローン金利と中古マンション市場」を発表した。
住宅ローン金利の高騰懸念が広がるなか、中古マンション市場では需要の冷え込みによる価格下落が懸念されている。実際、2024年初頭から、神奈川・千葉・埼玉の首都圏3県では、平均坪単価が緩やかに減少する動きが見られた。しかし、東京都は例外的に高い需要を維持し、価格上昇が続いている。
ところが、詳細な分析から、この「価格減少」は実態と異なることが判明した。中古マンションのデータを築年帯別(築浅・中堅・築古の3区分)に分けて見ると、いずれの区分でも坪単価は明確に減少しておらず、「高騰」または「横ばい」が継続している。物件の価値水準自体が下がったわけではないことがわかった。
同社によると、首都圏3県の平均坪単価が下落したように見える原因は、成約件数の構成比の変化にあるという。近年、価格が高騰した「築浅(2006年以降築)」の成約割合が低下する一方、比較的安価な「中堅~築古」の割合が増加している。これは、価格上昇によって築浅物件が手が届きにくくなった結果、購入しやすい築古物件へ需要がシフトした結果で、平均価格が低い築古物件の比重が増えたことにより、全体の平均坪単価が一見下落したように見えている。
また、金利高騰の懸念は、価格下落ではなく「金利がさらに上がる前に購入したい」という駆け込み需要を誘発している可能性が高いという。特に2024年以降、将来の金利負担増を避けたい層が市場を下支えし、手が届く築古物件への需要拡大を後押ししている。
結論として、首都圏の中古マンション市場は単純な下落局面ではなく、「築浅の高騰による代替需要の拡大」と「金利上昇前の駆け込み購入」という要因によって、実態としては堅調であることがわかった。今後、金利動向がさらに注目を集める中で、この代替需要の継続性や築古物件に対する評価の高まりがどこまで進むのかが、市場分析において大きな焦点になるという。
2025年8月の変動金利は、短期金利の据え置きに伴い、多くの銀行が金利を維持した。9月のDH住宅ローン指数(ダイヤモンド不動産研究所とホームローンドクターが共同で作成している住宅ローン金利の参考指標)は微減したものの、前年同月比では大幅な上昇傾向が継続している。
銀行側は慎重姿勢で、大きな金利改定を控える様子見段階にある。しかし、日銀総裁が賃金上昇圧力の継続に言及したことで年内利上げ観測は依然として強い。
10年固定金利は、日本国債10年利回りの上昇を受け、DH住宅ローン指数が小幅ながら上昇し、上昇局面が継続。銀行間では金利対応にばらつきが見られるが、日銀の利上げスタンスが変わらない限り、金利は徐々に上昇すると予測されている。国際情勢や国内景気の堅調さも相まって、日銀の政策判断次第で上昇圧力が継続する状況だ。
全期間固定金利もDH住宅ローン指数の上昇が続き、前年比で大幅に上昇している。変動金利との割高感はあるものの、将来の金利上昇リスクを避けたい層による借り換えが前年比5倍に増加するなど、利用者は徐々に増加傾向にある。
銀行の対応は混在しているが、フラット35は依然として有利な水準を維持している。今後の金利方向は、国内外の景気、金利、為替の動向に加え、日銀の政策判断が鍵となる。



