ホンダの新型「プレリュード」は横から見た姿が印象的だ。特に、後ろにいくにしたがって低くなっていくルーフラインが強烈なインパクトを与えてくる。凹凸がなく、一筆書きで描いたようなクリーンなルーフラインを、ホンダはどのように実現したのか。開発陣に聞いてきた。
昔の技術も活用して作り上げたルーフライン
ホンダによれば、新型プレリュードはルーフに「レーザーブレーズ技術」を採用し、ルーフモールを廃止したことに加え、「ガラスプリントアンテナ」を採用することで、スムーズでクリーンなルーフラインを実現したのだという。
レーザーブレーズは溶接の技術だ。
クルマを生産する際、車体側面のアウトサイドパネルとルーフパネルを結合するにはスポット溶接を行うのが一般的。スポット溶接を行うと凹凸ができるので、それを隠すためにルーフモールというものを取り付ける。ただ、それだとモールの部分が盛り上がって結局は凹凸ができてしまうし、モールの部分とボディの色が違う、ということも起こってしまう。
ルーフモールをデザインにうまく使っているクルマはたくさんあるが、流麗なルーフラインを目指したプレリュードにとってみれば、モールは余計な要素になってしまう。
レーザーブレーズ技術はアウトサイトパネルとルーフパネルをレーザーで溶接し、均一に結合させる技術。これだと凹凸を作らず、屋根の両端を滑らかに仕上げることができる。スポット溶接+ルーフモールと比べると剛性も高まるという。
ガラスプリントアンテナはリアウィンドウにラジオのアンテナを印刷して入れ込む技術だ。かなり先進的な感じがするが、昔からあった技術なのだという。具体的には、リアウィンドウの曇りを解消するための「デフロスター」の熱線を入れる工程で、ラジオのアンテナをガラスの中にプリントする、という技術だというのだが、そんなことが可能なのかと驚いた次第だ。ポールアンテナやシャークフィンアンテナを使わずに済むので、凹凸のないルーフラインを作るのに役立つのは間違いない。
ガラスプリントアンテナが使われなくなったのは、クルマに「ノイズの発生源」が増えたからだ。昔のクルマに比べ、ハイブリッド車などはラジオに「ザー」っという雑音を発生させる要因が増えており、そのチューニングにコストがかかるため、同技術はあまり使われなくなった。ホンダでは最近、燃料電池自動車の「CR-V e:FCEV」でガラスプリントアンテナを採用しているが、その前となると「いつだかわからないくらい」(技術者談)であるとのこと。
目指す走りとスタイリングを実現するため、最新の技術から昔ながらの技術までを総動員して作った新型プレリュード。まさに、ホンダの技術の粋を集めた1台だ。








