ホンダの新型「プレリュード」で芦ノ湖スカイラインを走行中、某駐車場で休憩していると、ドライブで来ていた某国産車ディーラーのベテラン社員の方が「プレリュードですか、カッコいいですね」と声をかけてきた。同氏から受けた質問は、「あれ? サンルーフは付いていないんですか?」というもの。「プレリュードだったら当然、付いているはず」と思っていた様子なのだ。この質問を持ち帰って、ホンダの開発陣に聞いてみた。
走りとスタイリングを突き詰めた結果…
調べてみると、プレリュードの歴代モデルにはサンルーフ装着車の設定があった。ベテランカーディーラー氏が新型を見て、サンルーフがないことを不思議がったのには理由があったのだ。同氏の疑問を受けてホンダ開発陣も、「昔のイメージだと必ずサンルーフが付いていたものなので、それで質問されたのかもしれませんね」との見解を示していた。
新型プレリュードの開発中にも「サンルーフが必要なのでは」という話が出たという。ただ、サンルーフを付けると、新型が目指す走りとスタイリングを実現できないという理由から、サンルーフは不要という結論に達したそうだ。
まず走りの面で言うと、サンルーフを付けた場合、屋根が重くなってしまう。クルマは低重心な方が走行面でプラスだ。サンルーフを付けると10数kgの重量増になってしまうし、重心を上の方に移動させてしまうという弊害もある。今回の新型プレリュードは「走りに振って」作ったので、サンルーフを付けられなかった、というのが開発陣の説明だ。
スタイリングの面で言うと、サンルーフを付けると全高が高くなってしまうし、さらにいえば、車内の頭上スペースが狭くなってしまうというネガな影響もあるそうだ。
往年のクルマ好きからすれば「プレリュードと名乗るならサンルーフは欲しいな」という思いがあるかもしれないが、ホンダ開発陣としては、新型プレリュードで目指したい姿を追求した結果、サンルーフなしという結論に至ったとのことだ。
ちなみに、サンルーフどころではなく、屋根を幌にしたオープンカーバージョンがあっても面白いのでは? とも聞いてみたところ、ホンダの技術者は「私たちも好きですし、いろいろなアイデアがあって、開発中は好き勝手なことを言ったりもしました。ただ、今回はボディも合わせて走りを突き詰めてきたので、オープンカーにしてしまうと、どうしても走りの面が犠牲になってしまうんです」と話していた。

























