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「同じ“実家の相続”なのに」400万円の税負担と1,800万円の非課税利益の違いはなぜ? 賢く相続した人が知っていたコト

SEP. 26, 2025 11:00
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親から相続した実家をどうするか――。使わないまま放置すれば管理負担が増し、固定資産税もかかります。

その一方で、売却して現金化しようとすると譲渡所得税が重くのしかかることもあります。こうした状況に対応するために設けられたのが「空き家特例」です。本稿では、不動産の専門家の立場から、この特例の仕組みや活用のポイントを整理してご紹介します。

空き家特例とは?

正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。相続により取得した実家を一定の条件で売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。

例えば、相続した古い実家を2,000万円で売却した場合、通常なら譲渡益に約20%(所得税15%+住民税5%)が課されます。しかし空き家特例を使えば、3,000万円まで控除され、課税対象額がゼロになり、税金は一切かからないという強力なメリットがあります。

適用条件のポイント

この特例は誰でも利用できるわけではなく、要件が細かく定められています。以下の条件をすべて満たす必要があります。

空き家特例の主な適用要件

  • 被相続人が相続開始時に1人で居住していた住宅であること(賃貸併用住宅や二世帯住宅の一部は対象外)
  • 建築が昭和56年5月31日以前であること(旧耐震基準の建物が対象)
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 売却にあたり、建物を解体して土地として売るか、耐震リフォームを実施し基準に適合した建物として売ること

これらの要件を1つでも満たさなければ特例は使えません。特に「期限」と「耐震要件」でつまずくケースが多いため、早めの判断が重要です。

  • 実際の空き家特例の効果「売却益が一定額以下なら完全に非課税となり、大きな節税効果が期待できます」

    実際の空き家特例の効果「売却益が一定額以下なら完全に非課税となり、大きな節税効果が期待できます」

実務上の留意点

特例を適用するには、耐震基準適合証明書や解体証明書などの書類を売却時に用意する必要があります。また、相続人が複数いる場合は、誰が売却するのか、代金をどう分けるのかを合意形成しなければなりません。遺産分割が長引いて売却期限の要件である3年以内を過ぎてしまうと、せっかくの特例が適用されなくなります。

事例紹介

(1)高齢の母親が暮らしていた地方の実家を相続した姉妹が協議を重ね、解体して土地として売却。譲渡益は1,800万円でしたが、空き家特例を適用し税金はゼロとなり、実質的に負担なく現金化できました。

(2)兄弟が実家の処分について合意できず協議が長期化。その間に3年の期限を迎え、結果的に通常課税で400万円以上の税負担が発生しました。相続財産の分け方や意思統一がいかに重要かを示す事例です。

空き家問題と税制の位置づけ

「空き家特例」は単なる節税策ではなく、社会問題化している老朽化した管理不十分な空き家の増加を抑制する政策でもあります。適切に市場に流通させ、放置による老朽化、治安悪化を防ぎ、地震対策も促進することが狙いです。

制度を賢く活用して円滑な資産承継に

空き家特例は、相続した実家を売却する際に非常に有効な税制優遇策です。しかし、期限・要件・書類準備などクリアすべき条件が多く、専門知識がなければ適用できないリスクもあります。

相続した不動産の売却を検討する際は、税理士や司法書士、不動産コンサルタントに早めに相談し、適切な手続きを進めることが肝心です。

長年ご両親が暮らしてきた思い出の家を手放すのは寂しいことですし、倉庫代わりに空き家を保有しておきたい気持ちも分からなくはありませんが、税金上もこれからの管理負担の重さも考えると、冷静に判断することも必要でしょう。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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