新しいことを始めようとしたのに、三日坊主になってしまって続かなかったとき、「どうして自分は続かないんだろう」と思ってしまうことがあるかもしれません。しかしそれは新しいことを始めることへの意志が弱いからではなく、「脳の初期設定」が原因なのだそう。
そこで本記事では、世界中の心理学や行動経済学、脳科学の研究結果をもとに、仕事や勉強、コミュニケーション、メンタル、そして健康といった分野で役立つ100の習慣化テクニックをまとめた『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(堀田秀吾著)から、一部を抜粋・編集して紹介します。
今回は重要な決断を鈍らせる、「『ステルス性ストレス』に注意する」です。
決断は「時間帯」を考慮するのがもっとも大切
ネゲヴ・ベン=グリオン大学のダンジガーらは、「体を使いつづけていると疲労するのと同じように、精神も疲れる」と説明し、決断する際にその疲れは顕著になると述べています。
彼らはイスラエルの刑務所で1年間に下された1,100件以上の仮釈放について分析し、1つのパターンを導き出しています。
それは、仮釈放の可否を左右するのは、受刑者の人種や民族的背景、犯罪の内容ではなく、「時間帯」だったというのです。
仮釈放が認められたのは全体の約3分の1だったのですが、認められる確率は1日のなかで時間帯によって大きなばらつきがあったそうです。
午前中の早い時間から審査された受刑者は、約65パーセントが仮釈放を認められたのに対し、時間が経つにつれて、その確率が0パーセントに近くなったそうです。
しかし、裁判官の食事休憩のあとは再び65パーセントに戻ったのです。
つまり、決断のプロである裁判官でさえ時間とともに精神的に疲労し、面倒だから「釈放を認めない」ーー判断力が低下することが示唆されたのです。
「決断疲れ」は、私たちが想像している以上に、判断を狂わせてしまいます。「決断疲れ」とは、自分でも気づかぬうちに蓄積され、行動に反映されてしまう「ステルス性ストレス」とも言えます。
重要なもの・重要でないもの・どちらでもないもので分ける
決断には、ざっくり分けるなら「その人にとって重要なもの」「重要ではないもの」「どちらでもない中間のもの」があるはずです。これを自分のなかで整理しておくことも、決断の質を低下させないテクニックです。
自分が決断する選択そのものに、「松」「竹」「梅」とランクづけすることで、決断との向き合い方を変えてしまうのも手です。
たとえば、自分の人生の豊かさに関わるものは「松」、どちらに転んでもいいものは「竹」、判断ミスをしてもあまり凹まないと思えるものは「梅」と分けてみる。
そうするだけで、選択を迫られた際のプレッシャーや疲労は変わってくるはずです。
決断しなくていいオートマチック化をとり入れる
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズはISSEY MIYAKEの黒タートルネックを常時着用していましたが、これは「今日何を着るか」という選択に時間をかけることを避け、ほかの重要な決定に集中するためだったと言われています。
自分にとって、本当に大切な選択以外に対しては、そもそも注意を注がないという方法もあるのです。
決断は午前中の早い時間もしくは休憩直後に行う。重要なものは何か整理する。オートマチック化をとり入れる
『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(堀田秀吾著/SBクリエイティブ株式会社 刊)
人生が変わるテクニック112個集めました
勉強・ダイエット・貯金・目標達成…は習慣化が10割
仕事、ダイエット、健康管理、勉強、目標達成…すべて成功のカギは「習慣化」にあります。
しかし間違った習慣を身につけてしまったらその代償は大きくなってしまいます。
何をどう習慣化すればいいか、そのために重要になるのが「エビデンス」です。
- もし「A」をしたら「B」をすると、あらかじめ決めておく
- 選択肢は必ず「3つ」用意しておく
- 常にポジティブな言葉を使う―つらさに対する耐性が高まる
- 52分間作業して、17分休憩する―生産性が高まるetc.
本書は、ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…などの研究機関において証明されたテクニックを112個紹介。
見開き図解入りでわかりやすい。気になったテクニックからはじめられ、情報収集のためにも役立ち、また読みものとしても楽しめる一冊です。
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