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スズキがぶち上げたクルマの「100kg軽量化」は実現可能? 開発の進捗状況は

SEP. 09, 2025 16:50
Text : 藤田真吾
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スズキはクルマの「100kg軽量化」という目標を掲げ、開発に取り組んでいる。ただでさえ小さくて軽い車種が多いスズキは、どうやって100kgもクルマを軽くするのだろうか? 風呂敷を広げ過ぎたのでは? 開発の進捗状況を聞いてきた。

  • スズキの技術戦略説明会2025

    スズキは9月9日に「技術戦略説明会2025」を開催。軽量化への取り組みなど技術開発の現状について説明した

軽量化は驚きの達成率!

スズキは2024年7月の「技術戦略説明会」で「100kg軽量化」という壮大な目標をぶち上げた。その後、「ジムニーノマド」など何車種かのスズキのクルマを取材する機会があり、その際には技術者に「100kgも軽くすることってできるんですか?」とそれとなく聞いてみたのだが、大概の人は「なかなか大変な目標で……(笑)」といった感じの反応だったことを覚えている。

  • スズキの技術戦略説明会2025

    軽量化に向けては「先人の知恵」を学ぶべく、車両重量の目標とする軽自動車の3代目「アルト」(発売は1988年)を徹底的に研究しているそうだ

  • スズキの技術戦略説明会2025

    写真は現行型「アルト」(2021年12月に発売となった9世代目)。技術の進化に伴い、安全性や快適性に関わるクルマの部品がどんどん増えていくなかで、「100kgの軽量化」を実現するのは至難の業だと思えるのだが……

ところが最新の発表によれば、100kgのうち「80kg」の軽量化についてはめどがたったそうだ。スズキ副社長で技術統括の加藤勝弘さんによれば、軽くできた80kgの内訳は「部品軽量化」が50kg、「構造進化」が20kg、「仕様」が10kg。クルマのレイアウトについてもゼロから見直し、いかに軽くできるかを探っているという。

  • スズキの技術戦略説明会2025

    すでに80kgの軽量化を達成!

では、どうやって軽くしたのか。技術説明会で紹介のあった具体的な施策は例えば以下のようなものだ。

  • ワイヤーハーネスのアルミ化、長さの短縮

  • 板金部品の超ハイテン化

  • 板金部品でのホットプレスの採用

  • 樹脂部品の製造工程における「発泡成形」の活用(樹脂部品を作る際に、あえて気泡をたくさん含ませることで重量を削減する技術)

クルマを軽くするヒントは「異業種交流」からも見つかったらしい。具体的には「家電メーカー」や「鉄道」関連の企業などと交流し、クルマを軽くすための気づきを得たそうだ。

家電メーカーとの交流の場には「アルト」を持ち込み、実物を見ながら意見交換を行った。家電メーカー側の第一声は、「電線、多すぎない?」だったとのこと。クルマ作りの現場では常識になっていることも、異業種の目から見れば非常識ということがある。そんな発見が、スズキの開発にも役立っているとのことだ。

残りの20kgは削れるのか!

80kgの軽量化にめどが立ったというのはスゴイと思うが、はたして残りの20kgは削り切れるのだろうか。階級制のスポーツをやっている人たちからは、「減量は最後の数グラムが大変」という苦労話をよく耳にする。クルマも同じなのでは……。

その点、技術説明会に登場したスズキ社長の鈴木俊宏さんら上層部は自信ありげな様子だった。残り20kgの削減に向け、具体的には「ボルト類」まで見直して、グラム単位のダイエットを実施するという。ボルトは「全部まとめると、1台あたり10kgくらい」(加藤さん)になるそうだが、その長さを適正化したり、樹脂でできた「クリップ」で代替するなどして軽くしていくという。

  • スズキの技術戦略説明会2025

    軽量化の成果を盛り込んだ軽自動車は2030年前後に発売となるようだ

先進の技術を使えば、ここから「30kgくらいは」削れるのではとも加藤さんは話していた。加藤さんによれば、「人の感性」というものを数値化してシミュレーションを実施するのは至難の業だそうだが、それが最新(ITやAIなどの)技術によって実現できれば、クルマの乗り心地にとって何が大事かを見極めて、クルマを軽くする道が開けるかもしれない、というような話だ。

クルマにとって「乗り心地」は重要な要素だ。クルマの開発には「NVH」という言葉がある。「N」はノイズ、「V」はバイブレーション(振動)、「H」はハーシュネス(段差を乗り越えるなどして路面からの入力があったときに感じる振動や騒音)を意味する。NVHを抑えるため、クルマには遮音材などいろいろなものを取り付ける。それらを適正化、要するに不要なモノは付けないという判断ができれば、クルマをもっと軽くできるというわけだ。この判断に、人の感性を入れ込んだシミュレーションが役に立つ。「まあ、心地いい振動だとか、心地いい音っていうのは、残してもいいのかなという風に思いますしね」というのが鈴木社長の考えでもある。

  • スズキの技術戦略説明会2025

    技術戦略説明会に登壇した鈴木社長

こうした軽量化に向けたいろいろな工夫を、なるべくコストをかけずにやらなければならないというのがスズキの宿命。とはいえ、取り組みは着実に進んでいるようだ。


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