私たちは毎日様々な判断をしながら生活しますが、判断ミスをしてしまうこともあります。仕事で判断ミスをしたときは、取り返しのつかない大事になってしまう可能性もあり、多くの人ができる限り仕事での判断ミスを減らしたいと思っているはずです。
そこで本記事では、医学博士で「脳の学校」代表を務める加藤俊徳氏の著書『仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣』から、一部を編集・抜粋してお届けします。
加藤氏によると、人は物事を判断をする際に4つの段階を踏んでおり、それぞれの段階で判断ミスが起こる「パターン」と「原因」が見えてくると言います。
睡眠中に夢を見ることの重要性とは?
皆さんはよく夢を見ますか?
私はよく夢を見る方です。まったくたわいのない断片的なものからしっかりとストーリーを持つものまでさまざまです。神様が出てきたかと思うと、この間はわけのわからない鳥が出てきたり。登場するキャラクターもじつに多様です。
私は「夢日記」をつけていて、印象深い夢は目が覚めたら忘れないうちにノートに書き記しているのですが、そうすると一見脈絡もなく、たわいもない夢に何かしらの理由や意外な意味があることに気づきます。
そういえば数日前に、神社にお参りして神様に祈ったばかりだったなとか、昨日テレビで恐竜の特集があり、そこに古代の鳥の始祖鳥を見て驚いたという具合に、起きているときの出来事や印象が、夢の中で形を変えて現れたというパターンがあります。
あるいは夢診断的な視点ですが、何かの比喩や象徴として現れているパターンもあるでしょう。
神様は絶対的な力を持った存在ですから、私自身が何か悩みや不安があって大きな力に頼りたいと思っているから出てきたのかもしれないし、人生の大きな転機で、それを無意識が察知して、夢で神様の姿になってそれを知らせるべく現れたのかもしれません。
予知夢的な夢もあります。数年前の夢日記を読み返してみると、現在の状況を予言しているようなストーリーの夢があることに驚くことも何度かあります。知っている異性が夢に出てきて、次の日から急に意識し始めるようになったというような経験は、皆さんもあるのではないでしょうか。
いずれにしても、眠りの中で繰り広げられる夢は、現実の私たちのさまざまな出来事やその印象、問題や悩みなどと関係があることは確かでしょう。
私の印象としては、夢は起きているときに体験したり、体感したものを再確認し、それらの情報をシャッフルし、さまざまものを新たに結びつけるような役割があるように思います。
起きているときは、理性や常識が働くので結びつかなかったけれど、夢の中では自由にそれらが結び付く。脳内で新たなネットワークが作られているのです。
これは脳の神経細胞が触手を伸ばしてネットワークを形成し、成長するというイメージが投影されているのかもしれません。
実際に睡眠中の脳は、そのような情報整理と情報の再構成を行っているということがさまざまな研究から立証されています。
いずれにしても、睡眠中に夢を見るのは、脳にとって非常に重要なことであるのは確かなことです。
レム睡眠とノンレム睡眠で脳は情報を整理し成長する
睡眠には、寝ている間に眼球が動いている「レム睡眠」と、動かない「ノンレム睡眠」の2種類があることはご存じだと思います。
レム睡眠は比較的浅い眠りとされています。その間、脳が起きている間に取り込んださまざまな情報を整理し、長期記憶あるいは短期記憶のいずれかに振り分けるなどの作業を行っているとされています。
その際の情報の断片が、さまざまな想念やイメージとなって夢の中に現れるわけです。
ちなみにこのとき、脳は活動をしていますが、肉体は弛緩している状態です。寝返りなどの体を動かすことはほとんどありません。ですから、レム睡眠は肉体を休ませる睡眠だと指摘する人もいます。
対してノンレム睡眠は、比較的深い眠りとされていて、脳の活動は一気に弱まります。脳細胞自体を休息させる役割があり、したがってノンレム睡眠時の深睡眠期ではほとんど夢を見ることはありません。
同時に、この間に成長ホルモンが分泌され、脳と体が成長し、体の免疫機能が整えられる時間でもあるとされています。
逆に、肉体の方は少し活動をはじめるようになります。寝返りを打つのもこの睡眠時で、寝相が悪い人が布団の中でしきりに暴れる時間帯だと言えます。
一晩の睡眠の中で、何度かこのレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。
こうしてみると、いかに睡眠が脳と身体にとって重要かがわかってもらえると思います。
『仕事の「判断ミス」がなくなる脳の習慣』(加藤俊徳 著/クロスメディア・パブリッシング 刊)
AかBか? 迷ったときの頭の使い方がわかる1冊! 判断が速くて正確な人が「決める前」に考えていること
判断することも判断ミスも、すべては人間の脳が行っている活動です。脳の構造と働き方を紐解いていけば、判断ミスがどのようにして起こるか、そのメカニズムを解き明かすことができるのではないか。それによって判断ミスをどう防ぐか、あるいはミスをしたときのリカバリー法がわかるのではないか。著者の脳研究者という独自の立場と、医師として数多くの臨床に当たる中で、致命的な判断ミスを避けるために最大限注力してきた体験を踏まえて、その詳しい内容と具体的な方法を提案します。
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