日産自動車の「スカイラインGT-R」といえば、R34まで(1969年~2002年)は基本的に国内専用モデルとして販売されていたため、海外では知る人ぞ知る、という程度の存在であったはず。その人気が一気に世界中に広まったのは、カーアクション映画『ワイルドスピード』に“主役級”として登場したからだろう。

R34の人気に火がついた!

R34 GT-Rの相場は今やウナギ登りで、程度にもよるが1台1億円~3億円で取り引きされているとも聞く。その人気を決定づけたのがご存知、映画『ワイルドスピード』(ワイスピ)だ。

  • 5代目BNR34型スカイラインGT-R

    5代目BNR34型スカイラインGT-R(本稿の写真は撮影:原アキラ)

2003年の『X2』の冒頭では、故ポール・ウォーカー演じるブライアンがシルバー×ブルーラインの「R34 GT-R」(スパルコのバケットにRAYSのホイール、TOYO TIRES、アンビエントライトはブルー)を駆り、ゴールドの「スープラ」、オレンジの「FD」、ピンクの「S2000」とともに各々3,500ドルをかけて行うマイアミの市街地レースに登場する。

最終コーナーでインから抜いてアタマを取ったものの、ストレートで抜き返されたブライアンのR34は、ゴール前のリフトしたブリッジのジャンプシーンでスープラの頭上をNOS(ニトロ)パワーで飛び越え、トップでゴールして賞金を獲得するのだ。

シリーズ屈指となるチューニングカー文化の象徴的マシンとしてファンの記憶に強く刻まれたR34 GT-Rは、米国では「25年ルールの規制解除後、絶対に手に入れたいクルマ」として人気が急騰し、欧州でも「いつか輸入して乗ってみたいクルマ」として憧れの対象になった。

R34以外のGT-Rは?

シリーズの主役にはならなかったものの、R33 GT-Rは第1作の『X1』に登場。イエローの個体がS15シルビアとともに度々画面を駆け抜けた。R32 GT-Rは、映画ではほとんど登場していない(後方のチューニングカー群に紛れているかも?)。さらに、現行モデルのR35 GT-Rは2013年の6作目『EURO MISSION』の冒頭、ブライアンが白の個体に乗り、ドミニクがドライブする新型ダッジ・チャレンジャーと海沿いのワインディングを豪快に駆け抜けるシーンが印象的だ。

  • 3代目BNR32型スカイラインGT-R

    3代目BNR32型スカイラインGT-R

  • 4代目BNR33型スカイラインGT-R

    4代目BNR33型スカイラインGT-R

  • R35型GT-R
  • R35型GT-R
  • R35型GT-R

    R35型GT-R

そして、あの「ハコスカGT-R」も映画に登場するのをご存知だろうか。2011年の第5作『MEGA MAX』の冒頭で、ブライアンがリオデジャネイロのスラム街「ファベーラ」を訪れる際に乗っていたのが2ドアハードトップのKPGC10型で、ボディカラーは珍しいブラックだ。路面状態が悪いのと固められた足のせいで、助手席のミアの体が絶えずユサユサと上下左右に揺れているシーンはまさにそのもの。しかもダラダラ坂を登っていくので、クラッチを踏むのも大変そうだ。

  • 初代KPGC10型スカイラインGT-R

    初代KPGC10型スカイラインGT-R

この個体にはフロントグリルのGT-Rバッジやフェンダーの赤バッジがきちんと取り付けられていて、リアのオーバーフェンダー(黒ボディのためあまり目立たない)やレース用リアウイング、ワタナベのホイールとともにちょっとやれた感じの外観が、映画のシーンにうまく溶け込んでいる。駐車したGT-Rを見つめるボーイズがもしこのクルマの価値を知っていたなら、大人に知らせてあっという間にどこかに持っていかれそうで心配になる。

R35 GT-Rはグローバルモデルとして開発されたため、世界50カ国で正規販売されるとともに、左ハンドル車も当然ながら製造されている。一方、それ以前のGT-Rは基本的に国内専用車だったため、海外で見ることができたのは数少ない右ハンドルの並行輸入車や中古車だけだ。高性能ながらも日本専用で、手に入れることのできなかった「幻の1台」であり、「憧れ」の対象だったGT-R(特にR34)が、映画に登場したことで大人気となったのは当然だろう。

GT-R以外の日産車は?

走りの舞台を東京(渋谷や銀座?)に移し、主役をルーカス・ブラックが務めた2006年の『X3 TOKYO DRIFT』では、タイトル通りドリフトシーンが数多く登場する。使用されたクルマは、「D.K.」ことドリフトキングのタカシが乗る「Z33型フェアレディZ」と、それに対決を挑む主人公の高校生ショーンが駆る「S15シルビア」だ。R34用のRB26DETTに換装したエンジンやC-WEST製エアロ、ヴォルクレーシングのホイールでチューンしたシルビアだったが、腕の差は圧倒的で、コテンパンにやり込まれる。立体駐車場の螺旋をドリフトで駆け抜けるZ33のドライビングは、ちょっと凄い。

  • Z33型フェアレディZ

    Z33型フェアレディZ

この映画には、ドリキンの愛称をもつレーシングドライバーの土屋圭一氏が釣り人役で登場。「レディ・セット・ゴー!」で始まるレースのスターター役(ワンシーンのみ)に妻夫木聡さん、メカニックのレイコ役にはまだ少女の面影を残す北川景子さんがほぼノーメイクと思われる姿でハリウッドデビューしている。その若くてみずみずしい容姿に驚かされたのは余談かもしれないけれど。