秋風がほのかにぶどうの葉を揺らす9月、サントリー登美の丘ワイナリー(山梨県甲斐市)で新たなツアーが敢行される。テロワールと洗練されたワインづくりを五感で味わう、より豊かなエクスペリエンスとは――。

ワイナリーの新醸造棟を巡る新見学ツアー

約150ヘクタールの広大な丘にある「サントリー登美の丘ワイナリー」。丘からは雄大な富士山、眼下には甲府盆地という絶景を臨むこの場所では、100年以上前からワインづくりが行われてきた。

こだわりは、ぶどう畑を約50区画に分けた細かい栽培管理。それぞれの畑の区画の日当たり、水はけなど細かな特徴を見極め、最適な手法でぶどうを育てている。近年では「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」がデキャンター・ワイン・アワード2024でBest in Showを受賞するなど、その取り組みが評価されている。

9月からは新しい醸造棟「FROM FARM 醸造棟」が本格稼働し、26台の小容量サーマルタンクでぶどうを醸すことが可能に。それぞれの畑の区画で育ったぶどうを、最適なタイミングで収穫し、醸造することで、さまざまな魅力を持つワインの原酒づくりができるという

収穫シーズンのぶどう畑からパワーをもらう

今回、リニューアルした部分を中心に、一部ツアーを体験させていただいた。まずバスで向かったのは、甲府盆地を見渡せる眺望台。眼下には広大なぶどう畑、左手には富士山、右手には南アルプスや八ヶ岳を臨み、しばし時を忘れる贅沢な景色だ。

高い山々に囲まれ年間1100ミリ程度と降水量が少ないこと、畑が南向き斜面に広がり日当たりがいいこと、寒暖差があることなど、地形の特性から凝縮感のあるぶどうを育てることができるという。

ツアーでは、プチ・ヴェルドとメルロ、そしてリニューアル後に見学可能となった、甲州のぶどう畑を間近で見ることができた。それぞれのテロワールで、暑さに負けず力強く育つぶどうを眺めていると、なんだかこちらまで、元気をもらえる。

これらのぶどうは、栽培スタッフが種ごと噛みしめ、種まで完熟していることを確かめてから収穫を迎えるのだそうだ。

  • プチ・ヴェルドがたわわに実っていた

    プチ・ヴェルドがたわわに実っていた

  • ほのかにピンクがかった甲州。独特の渋みとほろ苦さを持ったワインができる

    ほのかにピンクがかった甲州。独特の渋みとほろ苦さを持ったワインができる

  • 日光がバランスよく当たるよう葉の枚数も細かく調整されているのだとか

    日光がバランスよく当たるよう葉の枚数も細かく調整されているのだとか

ワインづくりのこだわりを目で見て感じる

ぶどう栽培を見学した後は、新しい醸造棟「FROM FARM醸造棟」へ。2階のフロアに入ると早速現れるのが、繊細な温度調整を可能にする26台の小容量サーマルタンクだ。ここでは、除梗(じょこう)、選果、圧搾、発酵、瓶詰までの作業が一貫して行われる。

  • 「FROM FARM醸造棟」

    「FROM FARM醸造棟」

同ワイナリーではワインづくりにあたって、ぶどうとワインを丁寧に扱う"ジェントルハンドリング"を大切にしているが、まさにこの施設はその理念を実現するための場所。グラヴィティフローシステムを採用した高品質なプレス機、ぶどうに合わせた最適な仕込みができる小容量タンク、酸素接触を低減した瓶詰ラインを備えている。

  • 2000リットルの小容量タンク

    2000リットルの小容量タンク

  • 1000リットルの移動可能なタンクも備えられていた

    1000リットルの移動可能なタンクも備えられていた

3階にのぼると、窓からは従来より稼働している醸造棟も臨むことができる。新旧の設備のコントラストも見ものだ。

  • サーマルタンクの背後には、従来から稼働している醸造棟

    サーマルタンクの背後には、従来から稼働している醸造棟

ここで作られた区画・畑の個性が活きたワイン原酒はアッサンブラージュされ、より登美の丘らしさのある、さらに高品質なワインへと仕上がっていくという。

ワインの栽培・醸造・熟成――そして味わいも、五感で楽しめる大満足のツアー

そして最後に訪れたのが、熟成庫。年間にわたって18度以下の気温が保たれているという熟成庫の中は暗く涼しく、まるで異空間。扉を開けると豊潤なぶどうの香りが広がり、幸せな気持ちになる。

今回のリニューアルで左側に通路が設けられ、近くで熟成樽を目にすることができるように。いつどんなぶどうが醸され、眠っているのだろう……印字を見ながらそんな想像をするのも楽しい。

クライマックスはテイスティングとなり、ワインが作られる過程を体験してからの1杯は格別だ。帰りはショップに立ち寄って、お気に入りのワインを手に取ってみるのもいいだろう。

リニューアル後の見学ツアーは、9月4日に予約開始、19日から一般公開。下記2つのツアーがリニューアルの対象だ。9月27・28日には「FROM FARM ワイン フェスティバル 2025」、11月8日には「登美の丘ワイナリー 収穫感謝祭 2025」も予定されている。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー〈プレミアム〉
・所要時間 120分
・参加費  8,000円
・主な内容
甲府盆地を見渡せる眺望台からの景色や、ぶどう畑を訪れた後、「FROM FARM醸造棟」や熟成庫で、実際の仕込工程の現場を間近で見学。見学後は、「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2022」「同 登美の丘 赤 時のかさね」など、計4種のワインを楽しめる。

FROM FARM登美の丘ワイナリーツアー
・所要時間 80分
・参加費  3,000円
・主な内容
ショップからほど近いぶどう畑を訪れた後、「FROM FARM醸造棟」や熟成庫で、実際の仕込工程の現場を間近で見学。見学後は、熟成庫内にあるテイスティングルームで、「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2022」「同 登美の丘 赤 時のかさね」の計2種のワインを楽しめる。