光岡自動車の「M55」は外装、内装ともに往年のクルマ好きのツボを押さえた見事な出来栄え。それなら、走りはどうなのか? 千葉、横浜、新宿にまたがる計300kmのロングドライブに連れ出してみた。

  • 光岡自動車「M55 ゼロエディション」

    光岡自動車「M55 ゼロエディション」でいろんな道を走ってみた(本稿の写真は撮影:原アキラ)

まずはワインディングで試してみた

M55で最初に訪れたのは、千葉県かずさ周辺のワインディング。このあたりは交通量が少なく、大小のコーナーとアップダウンがあるので、MTモデルの走りの性能を試すのにぴったりの道路が多いのだ。

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    千葉県内のワインディング路や直線路で走りを確かめた

結論から言うと、ゴクゴクと節度感のある6速MTの左手の操作感覚と、ミートポイントがつかみやすいクラッチを踏む左足の踏みごたえ、さらにはアクセルペダルとブレーキペダルの踏み込み量に車速が思いどおりにリンクしてくれて、2速、3速、4速を多用する“作業“がとても楽しいのだ。もしベースモデルがホンダ「シビック」の「LX」ではなく、最新型の「RS」だったならば、この時の回転落ちが鋭くなってより楽しいのかもしれないが、それは今後の展開に期待しよう。

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一方で、ステアリングに対する回頭性と言う意味では、シビックとはちょっとだけ異なる動きを見せる。

まずコーナー入り口では、頭の重さからくるアンダーステアが顔を出す。そしてエイペックスを過ぎると、後ろの重さが効いてスーッと回り込むようなオーバーステアに転じるのだ。前後アクスルより外側部分が長く重くなっているのだから、そこは当然といえば当然。さらに、高い位置に取り付けた重いボンネットフードのせいで、コーナリング中のロールの量もわずかに増えている気がする。それがM55のクセといえばクセなのだが、クラシカルなエクステリアに見合った味といえば味の部分ともいえる。お化粧直しによるトレードオフの部分であり、決してマイナスイメージとはならない。

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1,360kgとわずかに重くなった高剛性ボディに182PSのホンダ製1.5L VTECターボの組み合わせは、必要十分な加速感を提供してくれる。見た目の通り、アメリカンマッスルカーのようなゴロゴロというV8サウンドと豪快な加速を期待されてもさすがに困るのだが、タコメーターの針を真上より右側(4,000rpm以上)に入れてやれば、あのホンダサウンドを聴きながら走ることができるので、これはこれでよし、なのだ。

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    最高出力134kW(182PS)/6,000rpm、最大トルク240Nm/1,700~4,500rpmを発生するホンダのL15C型1.5L水冷直列4気筒DOHCターボエンジンと6速MTトランスミッション。当然、クラッチを備えた3ペダルだ

夜の西新宿で異様なまでの存在感を発揮するM55

お次はアクアラインから首都高、ベイブリッジを通って横浜へ。海の景色を求めてだ。

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    好天に恵まれた7月某日の横浜。「M55」には海と青空がよく似合う

高速では5速と6速を使うのだが、MTといえば5速世代(?)の筆者は6速に入れるのをついつい忘れてしまう。80km/h時には5速で2,000回転とちょっと、6速で1,800回転。ホンダエンジンは低い回転域からフレキシブルに回るので、何速に入っているのか体感的によくわからないほど。シフトインジケーターが欲しくなる。

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最後は1970年代の景色を求めて西新宿へ向かう。

M55が想起させる「1970年代」の西新宿といえば、1971年の京王プラザホテルから始まって、住友三角ビルや新宿三井ビル、安田火災ビルや野村ビルなど超高層ビルが立ち並び始めた時代。明かりが灯った高層ビル群をバックにすると、またまたいい“絵”が撮れるのだ。

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ただ、ここに向かう途中の首都高「初台南」出口はいつものように渋滞中。長く、ダラダラと続く上り坂(ご存知の方も多かろう)で半クラッチを使い続けるのは、左足にとってはかなりの苦行だ。さすがに昔のMTモデルのように、クラッチをつなぐのとサイドブレーキレバーのリリースを併用するわけではないので(M55はホールド付きの電動スイッチ式)、クルマが急にバックする心配がないのはありがたいのだが……(当たり前か)。

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    夜の西新宿の高層ビル群をバックに1970年代の景色を再現

燃費は、303kmを走ってハイオクガソリンを23.3L使用。満タン法でちょうど13.0km/Lだ。ベースモデルのWLTCモード燃費が16.3km/Lだから、ワインディング走行や、あちこちで遭遇した長時間の渋滞の通過などを考えたら十分に許容範囲といえるものだろう。

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    「M55」が使用するのはハイオクガソリン。燃費はちょうど13.0km/Lだった

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    ちょっと“ワル”な雰囲気も似合う「M55」