メルシャンは21日、新商品「メルシャン・ワインズ フルーツスキップ レッド/ホワイト」の取材会を開催した。26日に発売となる500ml紙パックワインで、イタリアのテッレ・チェヴィコ社と共創したフルーティで飲みやすい味わいが特徴だ。軽量で携帯しやすい容器特性を生かし、アウトドアや行楽など多様な飲用シーンを想定。ワインのイメージをよりカジュアルに気軽に楽しめるものへとアップデートすることを目指している。想定価格は740円前後。
取材会では、開発の背景や狙いの説明に加え、試飲と日本の食事とのペアリング検証も実施された。どのような味わいで、どんな飲み方がおすすめなのか。ワイン好きの視点からレポートする。
「自分らしさ層」をターゲットにワイン市場の活性化を狙う
はじめに、マーケティング部マーケティング戦略グループの杉山浩達氏が登壇し、メルシャンのワイン事業戦略を紹介した。
杉山氏によれば、酒類市場を取り巻く環境は顧客価値観の多様化により大きく変化している。これまでワイン業界はその変化に対応しきれておらず、ワイン業界はその変化への対応が遅れ、結果としてワイン飲用人口が減少。2024年12月累計では、ワイン市場全体で前年比約95%と振るわなかったという。
こうした状況を踏まえ、メルシャンは「ワインの魅力を伝え、市場を活性化する」を活動方針に、二つの戦略を打ち出した。一つはプレミアム化による市場の魅力化、もう一つは「新規ユーザーの獲得」による裾野の拡大である。
では、どうすれば裾野が広がるのか。これまで同社はワイン市場におけるターゲット層を「ライトユーザー」「ミドルユーザー」「ヘビーユーザー」といった関心度で分類してきた。しかし、これからはそうした従来の考え方を見直し、新たに「価値観」や「ライフスタイル」を基準とした4つのセグメントで整理し直したという。
- 「自分らしさ層」:自分の感性やライフスタイルに合うかを重視。流行に敏感で限定品や新商品を好む。
- 「こだわり層」:自分にとって価値があるかを重視。産地や原材料を吟味する。
- 「健康志向層」:健康的かどうかを重視。健康意識が高く、食事にも配慮。
- 「やりくり層」:価格の求めやすさや簡便性を重視。
今回メルシャンが着目したのは「自分らしさ層」だ。この層は酒類ではRTD(Ready to Drink/栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料)やクラフトビール、ハイボールを好み、新規性や個性的を打ち出した商品に関心が高い。
一方でワインは「洋食と一緒にナイフとフォークでおしゃれに食べながら飲むもの」という固定観念が残りがちで、これを払拭し、「自分の好きなシチュエーションで気軽に楽しめる」存在へ転換する必要があるという。
そこで同社が提案するのが、「メルシャン・ワインズ フルーツスキップ レッド/ホワイト」である。
3か国で連携し、イタリアのパートナー企業と共に開発
「メルシャン・ワインズ」は、世界のワイナリーと共創し、日本の顧客に向けて商品を開発するワインブランド。これまでにもスペイン、イタリア、フランスといったワイン大国のワイナリーと提携し、幅広い商品を提案してきた。
最新作のフルーツスキップは、500mlの紙パックで赤・白をラインナップ。パートナーはイタリアの生産者協同組合テッレ・チェヴィコ社だ。同社はイタリア各地に製造拠点を持ち、紙パックを含むサステナビリティの取り組みに定評がある。
紙パックはワイン好きに必ずしも好印象とは限らないが、容器としての利点は多い。瓶と違って割れず、軽くてコンパクト。コルク栓の開栓も不要で、キャップも閉め直しやすい。また、日本の顧客には特に「捨てやすい」点が支持されるという。フルーツスキップでは環境に配慮したFSC認証紙を使用しており、サステナビリティを重視する顧客層のニーズにも対応している。
開発は、イタリアのテッレ・チェヴィコ社、フランスのメルシャン欧州拠点、日本の3拠点が連携。テッレ・チェヴィコ社はネットワークを生かして最適なぶどうの組み合わせを検討し、日本では官能評価や分析を通じて「日本の食卓に合う味わい」を研究、フランス拠点ではイタリアに近い地理的特性を生かし、現地での製造立ち会いなどを担当した。
気になる味わいはどうか。中身開発担当の渡邉理紗子氏は、「果実味豊かで、親しみやすい味わい」を目指したと説明。赤ワインはイタリアを代表するぶどう品種・サンジョヴェーゼ主体で、チェリーやプラム、ラズベリーのような赤系果実の香りが広がる。白ワインはトレッビアーノ主体で、ライチや花のようなアロマが特徴だ。
また、赤・白いずれも、「ホッとするような甘み」をわずかに残している。これは日本の料理との親和性を考慮したものだという。
欧州は砂糖を使う料理が比較的少なく、甘みを担うのは主にデザートだ。一方、日本の家庭料理や煮物など甘い味付けが一般的。そこで、日本の食事に合わせてわずかに甘さを残すよう味わいを設計したわけだ。
ソース焼きそばやだし巻き卵など日本の食事に合わせやすい味わい
実際にフルーツスキップの赤と白を試飲した。赤ワインはサンジョヴェーゼらしい赤系果実の香りが中心で、フルーティー。渋味は抑えられており、赤ワインが苦手な人でも受け入れやすいだろう。残糖からくる甘さも感じるが、酸味が効いていて"だれない"点も好印象だ。
白はトレッビアーノらしくクセのない中庸な味わい。香りが華やかで、こちらも若干の甘さを残している。ただ、白ワインらしいフレッシュな柑橘系の酸味があるため、バランスが取れている。
日本の食事とのペアリングも試してみた。
例えばお祭りの定番であるソース焼きそばは、フルーツスキップの赤と好相性。油っぽさを流しつつ、ソースの果実味と甘さがフルーツスキップの甘味・酸味と調和する。ほんのりと甘いフルーツスキップだからこそのペアリングだ。
意外性があったのはシュークリームと赤ワインの相性の良さ。クリームの色からなんとなく白ワインが合うのではと思いがちだが、実際にはクリームの濃厚感が赤ワインのコクにマッチする。通常、甘いデザートと辛口ワインは合わせるのが難しいが、ほどよく甘さを残したフルーツスキップなら問題なく合わせられた。
白ワインで好相性だと感じたのは、だし巻き卵との組み合わせ。ワインの甘みと卵の甘みが調和し、ワインの酸が立ちすぎることなく楽しめた。
試飲して感じたのは、甘さの残し方が絶妙ということだ。完全な辛口では前述したように日本の食事に寄り添いにくいし、酸味を強く感じるので初心者にも薦めづらい。かといって甘すぎると、食中酒には使いにくい。フルーツスキップはそのちょうど中間で仕上げており、幅広い料理やシチュエーションにマッチするだろう。飲み方は、赤も白も冷蔵庫で軽く冷やしてやるといい。夏場のアウトドアなら氷を入れてキンキンにしてもおいしいだろう。
8月26日より発売となるメルシャン・ワインズ フルーツスキップ レッド/ホワイト。紙パックならではの手軽さと、日本の食事に合わせやすい味わいで、ワイン市場の裾野拡大に貢献してくれそうだ。










