サントリーは20日、「赤玉プレミアムブレンデッドワイン」を9月16日に発売すると発表した。本品は、サントリーの原点である赤玉ポートワインに始まる赤玉ブランドの最新作。「日本の食を引き立てる」ことを追求した味わいに仕上げ、ワイン文化の裾野拡大を目指すとしている。想定販売価格は1,320円前後。
本稿では20日に開催された発表会の模様をレポートし、赤玉プレミアムブレンデッドワインが生まれた背景や狙いを解説する。
成長を続ける800~2,000円のスタンダード価格帯ワイン
1907年の赤玉ポートワインから始まったサントリーのワイン事業は、「日本ワイン」「輸入ワイン」「国産ワイン」の三本柱で展開されている。
混同しやすい「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いも押さえておきたい。
「日本ワイン」は国産ぶどうのみを原料として国内で醸造されたワインを指す。一方の「国産ワイン」は原料ぶどうが必ずしも日本産とは限らず、海外産のものも使っているが、国内で醸造されるため「国産ワイン」を名乗れる。
「国産ワイン」という単語そのものはサントリーの社内呼称であり、正式な法定呼称としては「国内製造ワイン」となる。本記事では便宜上「国産ワイン」に統一して記す。
常務執行役員ワイン本部長・吉雄敬子氏によれば、サントリーのワイン事業は昨年に引き続き市場トレンドを上回る形で好調に推移している。特に成長しているのは日本ワインと国産ワイン市場で、対前年比105%の伸びを見せているという。
価格帯別の市場構造も興味深い。同社では800円以下を「デイリー」、800円~2,000円を「スタンダード」、2,000円以上を「プレミアム」と分類しており、近年はスタンダード価格帯の伸長が目立つ。
なぜスタンダード価格帯が選ばれるのか。背景には「ワイン選びで失敗したくない」という消費者心理がある。
特に輸入ワインはラベルから味わいを読み取りにくく、同社調査でも約9割が「ワイン選びに自信がない」と回答している。そこで消費者が頼るのが価格である。「極端に安いワインは避け、1,000円台を選べば外しにくい」という考えが働き、スタンダード価格帯を選びやすいのだ。
一方で、この価格帯のワインは他の価格帯に比べて国産+日本ワインの比率が低く、約1割にとどまっている。逆に言えば、スタンダード価格帯における国産+日本ワインのビジネスには大きな伸びしろがあるということだ。
こうした状況を踏まえ、同社がスタンダード価格帯の"新たな定番"として投入するのが、赤玉プレミアムブレンデッドワインである。
本品は、サントリーの原点「赤玉ポートワイン(現:赤玉スイートワイン)」に始まる赤玉ブランドの新商品だ。同社の主力商品である「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」にも負けないほどの高い認知率があり、現在でも年間出荷数は18万ケースと、国産ワイン内でも上位に入るヒット商品である。
これまで長く愛されてきた赤玉ブランドを土台として、新たな定番ワインの確立に挑むのは理にかなっている。
ワインを飲みたい人は多いのに、実際にはあまり飲まれていない理由
赤玉プレミアムブレンデッドワインは、これまで多くの人がワインに対して抱いてきた「合わせる食事に気をつかう」という悩みを解消するワインだと話すのは、ワイン本部国産ワイン部長・石井勝氏だ。
ワインは食中酒であり、ビールと並んで「食事に合う」イメージが強い酒である。にもかかわらず、日本の食卓ではビールほど定着していない。
サントリーが行った実態調査では、ワインが並ぶ食卓は洋食に偏っており、和食や中華にワインを合わせるケースは少ないことがわかったという。
「ワインと言えば洋食だろう」という消費者のイメージも影響しているが、それだけではない。実際のところ、ワインと日本の食事を合わせるのは簡単ではないのだ。
理由の一つは、日本の家庭料理に多い砂糖や醤油、みりん、味噌などを使う「甘みのある味付け」だ。料理の甘みや旨味は、ワインの渋味や酸味を相対的に強調してしまう。加えて、フルボディの赤ワインともなると、余韻や渋味が口中に長く残り、日本の食事に合わせるには強すぎるのである。
もともと海外産のワインは、砂糖をあまり使用せず、ボリューム感のある味わいが多い欧米の食事に合わせられていたもの。味付けの傾向が異なる日本の食事にぴたりと合わせるには、調味料や味付けを変えるなどの工夫が求められるのだ。しかし、そうした工夫は知識もコストも必要で難易度が高い。そこで"解決策"として登場したのが赤玉プレミアムブレンデッドワインである。
「日本の食事に合う」をコンセプトに生まれた赤玉プレミアムブレンデッドワインの味わいは?
スピリッツ・ワイン開発生産本部 スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長・生木大志氏は、赤玉プレミアムブレンデッドワインで「日本の食を引き立てる味わい」を目指したと話す。
味わいの体験は三段階で設計されている。立ち上がりは新鮮で華やかな香り、中盤で熟成感や複雑さが広がり、最後は心地よい余韻で締めくくる。フルボディの輸入ワインに比べ、余韻はあえて穏やかに設計されている。これは、前述したように日本の食事とのバランスを考えた結果だ。
一般的にワインはぶどう果汁100%で造られるが、赤玉プレミアムブレンデッドワインはさまざまな原材料をブレンドする。しっかりした骨格のベース赤ワインに、国産ぶどうを使用したワイン、シェリー用ワイン、ブランデー、ハーブスピリッツ、和ボタニカルスピリッツ、スパイススピリッツなどが加えられている。
発表会では赤玉プレミアムブレンデッドワインとベースワインの比較試飲も実施。多様な原材料を加えることで、香りの華やかさや味わいの複雑さが増していることを体感できた。
飲み口は軽やかでフルーティー。渋味・酸味は一般的な海外産のワインに比べて抑えられており、飲みやすい。スパイスやハーブなどの香りがアクセントとなっており、単調にならないのも特徴である。
発表会では、さばの味噌煮、すき焼きといった日本の食事とのペアリングも試すことができた。
単体で飲むとおいしいフルボディの輸入ワインだが、さばの味噌煮に合わせるとやや魚の風味/生臭みが強調される。一方で赤玉プレミアムブレンデッドワインは違和感なく寄り添う印象だった。すき焼きも同様で、甘い味付けには赤玉プレミアムブレンデッドワインが同調する。
もちろん、調理や味付けの工夫次第で輸入ワインに合わせることもできるが、「いつもの食事」に難しく考えず赤ワインを合わせたい場面では、赤玉プレミアムブレンデッドワインは有力な選択肢になり得るだろう。特に肉じゃがや角煮、うなぎなどとは好相性が期待できる。
赤玉プレミアムブレンデッドワインは、2025年9月16日より全国発売。750ml瓶で想定価格は1,320円前後。赤玉ブランドとしては41年ぶりとなるテレビCMも投入する。2025年に24万本(2万ケース)、2026年以降は早期に年間120万本(10万ケース)の達成を目指す。
2027年に120周年を迎える赤玉ブランド。赤玉プレミアムブレンデッドワインの登場もあり、さらなる盛り上がりを見せそうだ。












