エクステリアではベースモデルであるホンダ「シビック」のイメージを見事に消し去り、往年の名車たちの面影を素敵なバランスで取り入れつつ、唯一無二のデザインを実現した光岡自動車「M55」。では、インテリアはどうなっているのだろうか。「M55 ゼロエディション」の実車で詳細チェックを実施した。
ハトメで思い出す往年の名車たち
ドアを開けると、まず目に飛び込んでくるのは「ハトメ」加工が施されたブルーの専用本革シートだ。ハトメシートの主な機能は、通気性の向上(ベンチレーション)である。
現在のように上質で耐久性のあるパンチングレザーが存在しなかった1970年ごろは、皮の表面に穴を開けて、その周囲を金属の輪(鳩目金具)で補強したシートを採用することで、運転中の蒸れや汗を軽減していた。ハトメシートはクルマの快適性向上に非常に効果的だったのだ。
当時、これを採用していたのは、輸入車ではポルシェ「911」のSやT、カレラRS、アルファロメオ「ジュリア」などのスポーツモデル。国産車では日産自動車「ハコスカ2000GT-R」(PGC10/KPCG10)や「フェアレディZ」(S30)のオプションシート、ホンダ「S800」のレース仕様RSCモデル、ダイハツ工業「コンパーノスパイダー」のオープンモデルなど。サーキットやワインディングでハードな走行に臨むスポーツカーには必須のシートでもあったのだ。
スポーティーかつクラシカルな雰囲気の演出にはぴったりのデザインで、M55が採用したのもそれが理由。と、こんな話をしているのも、1970年代をイメージさせようとするM55の“ワナ”にハマってしまっている証拠なのだが。
M55のシートは、センターとサイドにイエローのステッチが入り、その左右に2個ずつのシルバーのハトメが座面と背面にずらりと並んでいる。後席も同様だ。また、シート上部とヘッドレストには、「M55 Zero Edition」の文字とミツオカエンブレムの刺繍が施されている。
ハトメの輪の間からはベースシートの表皮が見えているように思ったのだが、聞けばこれ、純正シートの上から被せるシートカバーのような取り付け方ではなく、表皮を剥がしたのちに新たなものを貼り付けるという面倒な作業を伴う、時間とお金のかかったシートなのである。「工場では、元のシートをきれいに剥がす作業がなかなか大変だったと聞いています」と広報さんは説明してくれた。
カーボン“調”ではなく純粋ドライカーボンを使用
シート以外のインテリアは基本的にシビックと共通だ。9インチワイドディスプレーの使い勝手やtypeAのみのUSBポート(2個)などの装備には、ちょっと古さを感じてしまう。
異なるのは、ステアリングセンターに「M55 MITSUOKA」のエンブレム入りバッジが取り付けられている点。また試乗車は、センターコンソールにある6速シフトノブ周囲のパネル、ダッシュボードの横長エアコンアウトレット周囲のパネル、ドアのパワーウインドスイッチパネル、足元の前後スカッフプレートなど、各所にカーボン柄のパネル(どれにもM55のロゴが入っている)が取り付けられていた。
聞けばこちら、よくある「~調」の加飾パネルではなく、純粋なドライカーボン製なのだという。ディーラーオプション品のため、さすがにお値段も39万9,500円となかなかのものだが、あるとないとでは印象が大きく違ってくると思うので(シビックの名残を払拭するという意味でも)、ぜひ取り付けをお勧めする。
ハトメ加工のドライバーズシートに収まると、フロントウインドー越しに大きく盛り上がったボンネットが見える。ここはシビックと大きく違うところだ。また、バックミラー越しに見える後景にはあのルーバーが映り込むので、ここもちょっと気分が上がる。
M55でまず目指したのは、千葉県内陸部のワインディングだ。





























