都市型から冒険型に転身? スバルがクロスオーバーSUV「レヴォーグ レイバック」の新たなCMを作成した。撮影の舞台は北海道。都市型SUVとしてデビューした2年前とは対照的に、新CMは自由と冒険をアピールする内容だ。撮影の舞台になった道東をレイバックで走りながら、プロモーション一新の理由を考えた。
今も忘れない「レガシィ ランカスター」のCM
クルマのテレビCMの中で、個人的に記憶に残っている車種のひとつに、スバル「レガシィ ランカスター」がある。
英国の都市の名前をそのまま車名にしたランカスターは、今年の春まで日本でも販売されていた「レガシィ アウトバック」の前身にあたる車種だ。
海外では当初から「アウトバック」と呼ばれていたが、日本では2代目「レガシィ ツーリングワゴン」をベースとした初代が「グランドワゴン」を名乗って登場し、途中でランカスターに車名を変更。3代目からは世界共通のアウトバックとなっている。
このうち、2代目の登場に合わせて放映されたCMでは、海外の雄大な景色の中をゆったりとクルージングするランカスターが写し出されていたのだが、その時のBGMに惹きつけられた。イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリとイギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトマンがデュエットした「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」だったからだ。
今ではクラシック・クロスオーバーの代表曲として、日本でも多くの人が知っているが、当時はそこまで有名ではなかった。たがらこそ楽曲のすばらしさに圧倒されたし、クロスオーバーSUVの元祖と言えるランカスターとマッチしていると感心したものだ。
今年の夏、筆者はそれに近いシーンを、自分でステアリングを握りながら体験した。我が国でのアウトバックの後継車的な位置づけとして、2023年に登場した「レヴォーグ レイバック」で、北海道の道東地方をドライブすることができたのだ。
この夏からスバルでは、レイバックの新しいCMを放映している。すでに見た人もいるかと思うが、北海道の道東地方で撮影された。その舞台で実際にドライブを体験しませんか? という粋なお誘いがあり、申し込んだのである。
コミュニケーション戦略再定義の理由は?
レイバックと言えば、デビュー当初は「都市型SUV」というキャッチコピーだった。しかし今回のCMは、「都市型」とは対照的な景色が広がる道東が撮影地に選ばれた。
この点が気になってスバル広報部に聞いてみたところ、今年になって「フォレスター」のフルモデルチェンジ、アウトバックの国内での販売終了があり、ラインアップが変化したことから、コミュニケーション戦略の再定義を図ったとのことだった。
具体的には、これまでは都市型SUV意向層にターゲットを絞っていたものを、都市、アウトドア、スポーツの3つの意向層にバランスよくアピールするようにしたそうだ。
確かに、新型フォレスターにはストロングハイブリット車もあるので都市型とも言えるし、アウトバックが販売終了となれば、それに代わる受け皿は必要だ。なので、レイバックの立ち位置をシフトしたのは理に叶っている。
日本自動車販売協会連合会の統計によると、2025年1~6月のレイバックを含むレヴォーグの登録台数は7,795台で、クロストレックを含むインプレッサの約1万5,983台、フォレスターの約1万3798台より少ない。しかし今後は、6,129台を売ったアウトバックがなくなるので、レイバックの役割は重要だ。
さらにスバル広報部の話では、レヴォーグ/レイバックの中ではレヴォーグ「STIスポーツ」の販売が全体の約半分を占めているそうで、レイバック目当てで来店した客の一部が、検討の結果、レヴォーグを選ぶケースもあるそうだ。
レヴォーグにはレガシィツーリングワゴン譲りのスポーツワゴンとしての顔もあり、それがSTIスポーツ人気につながっているのだろう。スバルとしても今後は、レヴォーグについてはスポーティー要素のアピールを強化していくという。
レイバックはアウトバックの後継車的存在で、レヴォーグとは異なるキャラクターなのだから、もっとその面をアピールしたほうが良いと筆者も思っていた。
だから、CMの舞台として道東を選んだことは納得だし、実際にその地でレイバックをドライブして、果てしなく続く大地をクルージングするシーンが似合っていると思った。
濃霧の中でレイバックのすばらしさを知る
とはいえ、筆者が道東を訪れた日は、夕方近くまで濃霧に悩まされた。釧路は霧が名物であることは知っていたが、ここまでとは思わなかった。
CM撮影が行われたのは、釧路市の東にある浜中町の霧多布湿原の近くだという。地名の語源は霧とは関係ないそうだが、字面のとおり霧がたっぷりで、目の前の路面は見えるものの、周囲は真っ白だった。
ただ、こういう状況だからこそ、レイバックに助けられた部分もあった。
まずは、スバル伝統の視界の良さだ。上下に薄い水平対向エンジンを積むおかげで、インパネが一段下にあるような感覚であり、前方視界がとにかく開けている。濃霧だったからこそ、しっかり見えることが重要だと思い知らされた。
これもスバル伝統の左右対称AWDが生み出す、盤石の直進性と安定したコーナリングも、こうしたシーンでは味方になった。しかもシュアな身のこなしは、背の高いSUVとは明らかに違っていて、走る楽しさもしっかり体感できた。
レヴォーグに比べて高めの車高と大径のタイヤは、舗装路では穏やかな乗り心地を届けてくれる。一方で未舗装路では、200mmの最低地上高と経験豊かなAWDシステムによる確実な駆動力が、信頼感をもたらしてくれる。
とはいえ濃霧の中では走りを満喫することはできないので、釧路湿原に向かった。こちらは幸いにして霧に悩まされることはなく、見渡す限り平らな湿原の中を、まっすぐ進んでいくのが気持ちいい。
水平対向エンジンならではの滑らかな吹け上がりや、ターボらしいトルクの盛り上がりが頼もしく、飽きずにドライブできることも安全につながるはずだ。
あらゆる道を安全快適にこなし、ドライビングの楽しさも味わわせてくれるレイバックに、道東という舞台はドンピシャだった。ふとランカスターのCMで流れていた、あの名曲を思い出した。
このクルマはやはり、今のスバルでダントツのグランドツーリングカーであることがしっかり理解できたし、新しいCMはそれを絶妙に語りかけていると思った。









































