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海外の酒アワードで最高賞、山形・庄内「白露垂珠」の酒蔵が世界中の日本酒ファンを魅了するワケ

Updated AUG. 18, 2025 14:58
Text : 滝口智子
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山形県・庄内地方のパワースポット、出羽三山の麓にたたずむ酒蔵、それが 「竹の露酒造場」。創業は江戸時代(1858年)、以来160年以上にわたり、地元に根差した酒造りを続けてきました。看板銘柄「白露垂珠(はくろすいしゅ)」や「竹の露」といった銘柄を醸し、全国新酒鑑評会で通算17回も金賞を受賞した地酒の名手。さらに1994年から全国の中小の酒蔵に先駆け、海外輸出もスタート。昨年は海外の酒アワードも受賞して世界的な評価も高まっています。

  • 7代目蔵元の相沢こづえさん(中央)と蔵人さんたち

イタリア、モナコ。海外の酒アワードで最高賞を受賞!

2024年、竹の露酒造場はイタリアで開催された「ミラノサケチャレンジ」の酒テイスティング部門で、最高賞であるプラチナ賞を受賞しました。栄えある受賞酒は「白露垂珠 純米大吟醸 BUONO!(ボーノ!) 雪女神50」(参考価格2,035円)。山形の酒造好適米「雪女神」を精米歩合50%まで磨いて醸した、透明感と旨みの調和が光るお酒です。

  • 日本の国旗・日の丸や太陽をイメージしたという「BUONO!」(左)と「ULTRA DIAMOND」(右) 

さらに同年、モナコ公国で開催された「モナコ サケ アワード」では「はくろすいしゅ 出羽燦々33 ULTRA DIAMOND 純米大吟醸原酒」(参考価格 5,850円/化粧箱入り)が大吟醸の最高級部門で金賞を受賞。公益財団法人やまがた農業支援センター認証の特別栽培米である、山形の酒造好適米「出羽燦々」の最高級を使った入魂のお酒です。

  • 2025年1月から蔵元を務めている7代目の相沢こづえ代表。

これらの受賞酒は、現在スペイン、ポルトガル、シンガポール、香港など、ヨーロッパ・アジア方面に輸出され、世界中の日本酒ファンを魅了しています。国内はもちろん、なぜ海外でも注目されているのでしょうか?

米・水・人・酵母――全てが地元のもので唯一無二

同蔵の代表で、7代目蔵元の相沢こづえさんはこう語ります。「私たちの酒造りは、米、水、人、酵母のすべてにおいて、他にはないこだわりがあります」。

使用している酒米は出羽燦々・出羽の里・美山錦など9種で、そのほとんどが、相沢さんたち蔵元や杜氏、蔵の関係者が栽培したもの。生産者の顔の見える、100%鶴岡産の米のみを使用しているのです。

  • 修験道の聖地である羽黒山と言えば五重塔と修行僧・山伏。(五重塔の画像:竹の露酒造場)

「酒米の栽培から自分たちで着手しているので、同じ米品種でも年によって微妙に異なる米の生育状態を熟知できます。それを加味した上で洗米や浸漬の時間など、細やかに調整しながら最高の酒造りになるように精一杯努力を重ねます」。

霊峰・出羽三山の岩清水で栽培される米は、低窒素水で栽培されるのでたんぱく質の含有量が低く、雑味のない透明感のある酒質に仕上がるのだとか。

  • 蔵の周辺は一面に田んぼが広がる。天気が良ければ、羽黒山や月山が一望できる

また米の栽培に使われる水と酒の仕込み水が同じで、いわば「育醸同源」だからこそ表現できる、お酒の自然なおいしさも魅力。

2002年に蔵の地下300mから掘削に成功した月山深層水は、天然の弱アルカリの超軟水で、シリカを含んだ高水素の無菌水。国内で唯一、生水充填販売許可瓶詰場の認定を受けており、希少な生水をそのまま瓶に詰めて酒蔵内の物販店で販売中です。

  • 2024年10月にオープンした蔵SHOP。酒粕を使ったスイーツや仕込み水などを販売中

江戸時代に建造されたと伝えられている同蔵の「宮本坊」はじめ、昔から出羽三山神社のお神酒造りに使われた酵母もいまだに「蔵付き酵母」として蔵の至るところに存在しているのだそう。

現在は協会酵母なども使用していますが、醸造中に約6週間にわたって蔵付きの「出羽三山神社 御神酒酵母」が自然とタンクに降り注ぐので、独自の味わいに仕上がると言います。

伝統的な職人の手仕事「一升盛麹蓋法」とは?

さらに作り手もまた、地元の人々。蔵人は皆、地元のご近所の人々で、晩酌をともにすることもある間柄。そして冬場に20名近くの蔵人が実践しているのが、伝統的な手造り製法「一升盛麹蓋法」(いっしょうもりこうじぶたほう)。

  • 24時間、交代しながら行なう「一升盛麹蓋法」の様子(画像:竹の露酒造場)

酒造りには「一麹、二酛、三造り」という有名な言葉がある通り、日本酒の品質を決める要は麹造り。同蔵では今なお伝統の「一升盛麹蓋法」を採用。蔵人が2名ずつ、7班編成の交代で宿直業務に当直し、「箱麹」(はここうじ)と呼ばれる木製の箱を使って、連続生産で繊細な麹処理を行なっています。

一度に「一升盛」、つまり少量ずつ仕込むので非常に手間がかかり、出品用の一部の酒でしかこの方法を採用しない酒蔵が多いのですが、同蔵は普通酒と本醸造酒以外の純米酒以上の酒すべてでこの方法を採用。昼も、夜も、24時間体制で蔵人たちが心を込めて麹を世話しているので完全発酵でき、澄んだ旨みとキレを併せ持つお酒に。まさに職人技の結晶です。

  • 蔵SHOPには12種類の日本酒を1杯100円で試飲できるコーナーも

伝統的製法で、昔ながらの蔵付き酵母の影響も受けながら、山岳信仰の精神性までもがそのまま酒に溶け出したような神秘的な酒造り。こうしてできあがったのが「白露垂珠」で、やわらかな旨味が広がる後味のすっきりした芳醇辛口の酒。蔵SHOPで試飲して著者が特に気に入ったお酒はこちら。

  • 夏らしいデザインの「Jelly fish」(左)、美山錦を55%磨いた純米大吟醸(右)

地元では生牡蠣や白身魚など、庄内浜の新鮮な魚介が食されていますが、お造りなどの味を引き立てるのが「純米大吟醸 白露垂珠 Jelly fish」(720ml 2,200円)。とろめく舌触りで、クラゲのボトルデザインも涼やかで夏らしい1本。

そして、ANA国際線ファーストクラス&ビジネスクラスの搭載酒にもなった「純米吟醸 白露垂珠 美山錦55」(720ml 1,870円)は、透明感がありながら、やわらかな旨みで必ず味わって欲しい1本。蔵ではこのお酒に白身魚のお造りや冷奴などをオススメしています。どちらも今年の猛暑に合いそうなきれいなお酒。

  • 不定期でイベントが開催される蔵SHOPの2階。鳥居の形の柱の前で記念撮影もできる(参照、冒頭写真)

山形・庄内地方は食の宝庫。ユネスコ「想像都市ネットワーク」食文化分野に日本国内でいち早く、加盟が認定され、農林水産省の「食と農の景勝地」にも認定された観光スポット。

竹林に囲まれながら美酒を醸すゆえに「竹の露」と呼ばれるようになった竹の露酒造場では、2025年9月27(土)と28(日)に、「白露垂珠」と鶴岡のグルメを楽しむイベント『こらふぇす』が開催されるようです。きっと訪れれば、地元食材と地酒が織りなす極上のマリアージュを体験できるでしょう。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。