インフレ、人手不足、外国人投資家の参入……。さまざまな要因で、現在、不動産価格は高騰しており、もはや東京のマンションは庶民の手に届かないぜいたく品になってしまいました。そんな「不動産・格差時代」において重要なのは「不動産の教養」。これがあるかないかで、格差が決まるのが、令和の新常識なのです。
そこでこの記事では、大手ディベロッパー×メガバンク×J-REIT元代表というキャリアがあり「不動産×金融」のすべてを知り尽くす牧野知弘氏の新刊『不動産の教室 富裕層の視点が身につく25問』の中から一部を抜粋してご紹介します。
今回のテーマは『億万長者が「2倍以上」に増えている』
億万長者が「2倍以上」に増えている
「お金持ち」がどの程度存在感を増しているのか、野村総合研究所のデータをもとに過去との比較で指数化してみましょう
2015年から18年間の世帯数でみると、超富裕層(純金融資産5億円以上)は2.27倍、富裕層(同1億円以上)は1.89倍もの高い伸びを示しています。全体世帯数の伸びは1.14倍ですから、いかに急伸したかが鮮明です。
資産額でみても同様の傾向がみてとれ、超富裕層に至ってはなんと2.93倍、富裕層も2.0倍の増加。全体額は1.56倍の増加なので、多くの金融資産が「お金持ち」に集積しているさまが窺えます。いっぽうアッパーマス層及びマス層は全体の伸びを下回る状況にあります。
ここで注目されるのが、2013年以降、「お金持ち」が急増していることです。
2013年といえばそれまでの民主党政権から自民党政権に代わった翌年です。
リーマンショック後の景気の低迷からの回復を目指した第二次安倍政権は、三本の矢と呼ばれる経済政策を発表します。
具体的には、
(1)大胆な金融政策(デフレ脱却を目指し、2%のインフレ目標が達成できるまで無期限の量的緩和を行うこと)
(2)機動的な財政出動(東日本大震災からの復興、安全性向上や地域活性化、再生医療の実用化支援等に充てるため、大規模な予算編成を行うこと)
(3)民間投資を喚起する成長戦略(成長産業や雇用の創出を目指し、各種規制緩和を行い、投資を誘引すること)
というものでした(SMBC日興証券HP「初めてでもわかりやすい用語集」より抜粋)。
このうちの(1)に該当する日本銀行による大規模金融緩和は、大量のマネーをマーケットに供給しました。
ところが国内企業の資金需要は乏しく、先述したようにこのマネーが株式や債券あるいは不動産といった投資マーケットに流れました。
相場は上昇基調に転じ、従前から株式や債券などの金融資産を保有していた富裕層の財布は膨らむ一方となり、この波に乗って積極的に投資を行った一部の人たちが、富裕層の仲間入りを果たすことになります。
日本銀行はさらにETF(Exchanged Traded Fund 上場投資信託)に投資資金を出し続け、JREITに関しても一定の投資を行うことで、マーケットの上昇を助けます。
いわば官を挙げての全面支援体制が結果的に富裕層の更なる富裕化と新たな富裕層の増殖を助けたのでした。
『不動産の教室 富裕層の視点が身につく25問』(牧野知弘/大和書房)
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