政府の備蓄米放出によって落ち着いたかに見える令和の米騒動、品薄はある程度解消された一方で、高級路線の銘柄米はそれほど価格が下がっていない。最近は2025年の新米が話題に上るようになり、猛暑や水不足の影響によるお米の獲れ高、お米のできばえを心配する報道もある。

お米に関する関心の高まりとともに、炊飯器にも注目する人が増えた。炊飯器はコロナ禍の巣ごもり需要で出荷台数が伸び(特に高級モデル)、需要が一巡したあとは前年割れが続いていたが、底打ち感が出てきている。ここでは、パナソニックがメディア向けに開催した体験セミナーから、炊飯器のフラッグシップ新モデルと炊いたごはんの試食、パナソニックの専門チームが予測する2025年の新米事情を紹介しよう。

  • パナソニックの最新フラッグシップ炊飯器となる、可変圧力IHジャー炊飯器 ビストロ「SR-X910D」

  • お米にまつわる近年のトピック。炊飯器については高級モデルへの注目度が高まっている

  • 出荷台数の前年割れが続いていた炊飯器の市場も、ここのところ増加に転じている

炊飯中のお米や水の状態に合わせた加熱/加減圧がかしこくなったIH炊飯器

炊飯器の新モデル「SR-X910D」は、パナソニックのさまざまな調理家電の上位モデルとなる「ビストロ」シリーズの一員。9月上旬の発売、5.5合炊きで想定価格は9万9,000円前後だ(1升炊き「SR-X918D」は10万5,000円前後)。分類的には可変圧力IHジャー炊飯器となり、炊飯時の圧力や対流を制御してお米の実力を引き出しておいしいごはんを炊く。

イメージとしては、内釜の中でお米を激しく動かして一粒一粒にムラなく熱を行き渡らせる。粒立ち、弾力、食感、甘みなど、「おいしいごはん」とされる要素を満たすために開発、進化してきた技術であり機能だ。この炊き技には2013年のモデルから「おどり炊き」という愛称が付いており、聞き覚えのある人も多いと思う。

  • SR-X9Dシリーズが備える「Wおどり炊き」のイメージと、SR-X9Dシリーズにおける進化ポイント

最新のSR-X910Dは、炊飯中のお米の状態をセンシングして、おどり炊きをコントロールする「ビストロ匠技AI」が進化。新たにリアルタイム赤外線センサーを追加することで、内釜のお米や水の状態をすばやく細かく把握できるようになり、おいしいごはんを炊くための加熱や圧力加減の最適化が進んだ。

  • SR-X910Dのリアルタイム赤外線センサーと、釜底温度センサー

  • これまでは釜底温度センサーのみ搭載しており、温度変化を比較的ゆっくり検出していた。新しいリアルタイム赤外線センサーは温度変化をすばやく検出し、より適切な加熱/加減圧が可能となった

SR-X910Dで炊いた政府備蓄米と2024年の新米コシヒカリを試食

試食に用意されたごはんは、「2022年産の政府備蓄米(ブレンド米)」と「2024年産の会津産コシヒカリ新米」の2種類。前者はSR-X910Dのビストロ匠技AIあり/なしで炊いたごはん、後者はビストロ匠技AIありで炊いたごはんを食べ比べた。なお、ビストロ匠技AIなしは今回の試食用として特別に設定されたものであり、製品では常に有効となる。

ごはん(白米)というのは好みがけっこう分かれるものだが、パナソニックが用意したチャートを参考に試食してみた。

  • パナソニックの食味評価チャート。ごはんの「おいしさ」を表現する言葉は多彩だ

  • SR-X910Dで炊いた「2022年産の政府備蓄米(ブレンド米)」。左が「ビストロ匠技AIあり」、右が「ビストロ匠技AIなし」

「2022年産の政府備蓄米(ブレンド米)」でビストロ匠技AIあり/なしを比較すると、パナソニックの調べでは「あり」のほうが8%ほど固さが改善されてふっくら感がアップ、そして9%ほど甘みがアップしたという。

「あり」のごはんは一粒一粒がはっきりしていて弾力があり、口の中ですんなりほどける。かむほどに味が染み出てくるような印象だ。一方「なし」のごはんは、ごはん粒表面のねばりが強く感じ、粒立ちや弾力は「あり」とははっきり異なる。ただ、「あり」のごはんはやや硬質、「なし」のごはんは柔らかく感じるということで、後者を好む人も多そうだ。

  • SR-X910Dで炊いた「2024年産の会津産コシヒカリ新米」、まさに銀シャリ!

続いて「2024年産の会津産コシヒカリ新米」のビストロ匠技AIありを試食。こちらもパナソニックの調べだと、「なし」よりも「あり」のほうが約8%、ごはんの甘みがアップしているという。上記の備蓄米「あり」と比べると、粒立ちや弾力はそのままに、口当たりが優しくなったような食感だ。べとつきではない適度なねばりがあり、お米のよい香りが立ち上ってくる。単純に、新米と古米では明らかに違う。

と、述べてはみたものの、計3種類のごはんを並べて集中して食べ比べたから分かった違いとも言える。新米は確かにおいしい。そして備蓄米も普通においしかった。好きなおかずと一緒に食べれば、ごはんが進むこと間違いない。味に対してネガティブな声も聞かれる備蓄米だが、これだけおいしく炊けるSR-X910Dの実力を垣間見た。

炊飯器はなかなか買い換えるものではないだけに、自分や家族の好みに合うかどうか気になる人は多いだろう。メーカーやモデルによって炊き上がりの傾向がけっこう違うのだ。

特定の炊飯器で炊いたごはんを試食する機会もなかなか少ないのだが、パナソニックは今回、SR-X9Dシリーズで炊いたごはんを試食できる「食べ比べ亭」を全国7都市で実施する。お近くの人はぜひ体験してみてほしい。詳細はパナソニックのWebサイト「食べ比べ亭」を参照のこと。

  • 9月4日からスタートする「食べ比べ亭」

2025年の新米予測

パナソニックは社内に「Panasonic Cooking@Lab」という研究部門を設けており、調理科学を修めたさまざまな「食」の専門家が製品のハードウェアやソフトウェアを研究開発している(ごはんや炊飯器の専門チームはかつて「ライスレディ」と呼ばれていた)。

そんなPanasonic Cooking@Labは、お米の動向についても常に最新の状況を追いかけている。今回のセミナーでは、Panasonic Cooking@Labによる2025年の新米予測も紹介された。正直、良好とは言えないだろうとのことだ。

  • Panasonic Cooking@Labは社外でもさまざまな活動を行っている

  • Panasonic Cooking@Labが予測する2025年の新米。予測が外れてほしいものだ

収穫量は低下が見込まれ、できばえ(品質)の見通しも明るくない。価格面でも、最近は平均値こそ下がっているが、これは備蓄米の大量放出によるもの。銘柄米の価格は下がっておらず、2025年も同じ傾向が続き、銘柄米は5kgで4,000円以上と予測する。

流通量も不足する可能性を指摘。現在は2024年産のお米を前倒しで消費しているとし、2026年の夏ごろに再び不足する可能性があるという。

最後に暗い話題となってしまったが、我々のような一般消費者はおいしいごはんを適切な価格で食べられることが理想。お米に対する関心が高まっているいま、炊飯器の役割も大きくなっている。改めて、ごはんを中心とした食生活や、おいしく炊ける炊飯器というものを考えてみるといいかもしれない。