CtoC取引における不安を一掃し、“信頼が当たり前の社会”の実現を目指す。スニーカーやストリートファッションの売買プラットフォーム「スニーカーダンク」を展開する株式会社SODAは、7月31日、新組織「スニダン鑑定研究所」の設立を発表した。

  • 左から執行役員COO鍛 哲史氏、取締役CEO内山 雄太氏、執行役員CBO神 義詞氏

偽造品が巧妙にすり替わり、ユーザーの不安が日々増す今、「見抜く力」だけでなく、「流通そのものを止める力」が求められている。発表会に登壇したCBOの神義詞氏は、「私たちが目指すのは、偽物を排除するだけでなく、偽物が存在し得ない社会の仕組みをつくること」と語った。

偽造品のない社会へ向けて「スニダン鑑定研究所」設立!

スニダンは創業以来、すべての取引商品に真贋鑑定を行い、正規品だけをユーザーに届けるべく、独自の鑑定付き流通モデルを築き上げてきた。この仕組みによって、偽造品の流通や個人間取引でのトラブルが多発する昨今においても、安心して利用できるプラットフォームとして高い信頼を得ている。

  • 執行役員CBOの神 義詞氏

発表会で登壇した執行役員CBOの神氏は、「フリマアプリやリサイクルショップを介した偽造品の流通が急拡大しており、すり替え詐欺や返品トラブルといった悪質な手口も年々巧妙化している」とし、「こうした背景の中で“本物しか流通しない社会”をどう実現するかが、いまやCtoC市場全体のテーマになっている」と語った。

「偽物かもしれない」という不安があるだけで、人は買うことも売ることも躊躇してしまう。そんな心理的な障壁を取り除くため、スニダンは新たな研究組織の設立に踏み切った。それがこの日立ち上がった「スニダン鑑定研究所」だ。

  • スニダンベースに設置された「スニダン鑑定研究所」と所長の中村渉氏

設立場所は、スニダンの物流・鑑定の中枢拠点である「スニダンベース」(東京都江東区)。ここに研究所を常設し、日々の鑑定業務と並行して、偽造品の最新動向を捉える調査・研究、ナレッジの蓄積、そして外部機関との連携による提言活動を進めていく。

神氏はその意義について、「偽造品を見抜くことにとどまらず、偽造品をなくす社会の実現を目指す。鑑定だけでは足りない。社会全体が仕組みとして対応できるように広げていきたい」と説明する。

5つの取り組みで偽造品ゼロを目指す

スニダン鑑定研究所の活動は、5つの柱を中心に展開される。

1つは「偽造品の調査研究」。偽造品の手口は日々進化しており、昨日までの常識が通用しなくなるスピードで変化している。スニダンはすでに、鑑定精度99.97%という実績を持つが、神氏は「この数字に満足せず、さらに精度を高めるため日々研究を重ねている」と強調する。

  • 研究所内にはリアルとフェイクを対比した資料も

  • 鑑定士は定期的にこうした資料を用いたクイズ形式の試験に挑み、知識をアップデートしていくのだという

調査には、1000万件を超える鑑定データを活用。モデルごとの特徴、素材、発色などの違いを科学的に解析し、勘や経験に頼らない再現性のある鑑定を追求している。

2つめが「鑑定技術の向上」。スニダンではすでにX線透過装置や赤外線カメラ、マイクロスコープ、UVライトなどの先端機器を導入し、鑑定の精度と客観性を高めている。また、属人性を減らすため、鑑定士の育成においてもデジタル技術を活用。いわゆる“職人技”を再現可能なプロセスへと昇華させていく。

  • ロゴが不自然な裁縫になっていないかルーペで確認する鑑定士

3つめが「企業・ブランドとの連携」。返品すり替え詐欺をはじめとする問題は、日本国内だけでなく、海外EC市場でも深刻化している。米国では返品全体の15%がすり替え詐欺によるとされ、その被害額は年間約1000億ドルにものぼるという。

この問題に対処するため、スニダンはブランドや一次流通企業、他のCtoCプラットフォームとも連携し、業界全体での対策強化に乗り出す。

4つめが「情報発信」だ。偽造品の見分け方や最新情報は、SNSやウェブメディアなどを通じて積極的に発信。ユーザーが自らの手で正規品・偽造品を見分けられるようにすることも、長期的な目標のひとつに設定した。

最後が「レポートの公開・提言活動」。現場で得られた知見や分析結果を定期的にレポートとして公開。外部機関や専門家との協力のもと、CtoC市場全体の透明性と信頼性の向上に貢献することを目指す。

“信頼のインフラ”を社会の当たり前に

研究所の現場を統括するのは、鑑定歴15年以上の大ベテランである中村氏。そのほかスニーカーやアパレル、ジュエリーなど、各分野に特化した専門の鑑定士が100名以上在籍しており、実践と研究の両輪で真贋判定の最前線を支えるという。

  • 中村所長

「スニーカーやアパレルといった領域では、もはや“信頼のインフラ”があって当然の時代です。私たちはそれを、社会の当たり前にしていきたい」と神氏は語る。

今回の設立は、SODA創業から7年かけて積み上げてきた「安心・安全」という信頼の証の“次のステージ”とも言えるだろう。

  • スニダンベースには毎日数千個もの商品が出品者から届くという

神氏は、「1件1件の取引を丁寧に鑑定して届ける。その積み重ねが今のスニダンを作ってきました。今回、私たちはもう一歩踏み出します。安心を仕組みとして終わらせず、社会に根付く文化として定着させていきたい」と締めくくった。

スニダン鑑定研究所の挑戦は単なる真贋判定の枠を超え、偽造品のない社会の実現に向けた社会的インフラづくりに及んでいる。デジタル時代のCtoC市場において、「本物だけが流通する世界」を当たり前にする。SODAが描く未来は、新たに立ち上がったスニダン鑑定研究所から始まる。

  • スニダン鑑定研究所の中にはあらゆるジャンルの偽造品が展示されている

  • 左のデニムジャケットがsupremeの正規品で、右が偽造品。素人目には見分けがつかない

  • 左手のTシャツがステューシーの偽造品で、右手が正規品。パッと見ただけでは違いなどなさそうだが……

  • マイクロスコープで正規品と偽造品を比較すると……

  • 正規品のほうが複雑な塗料を使用していることがわかる

  • ナイキ ダンクの堀米雄斗モデル。左が偽造品、右が正規品

  • ナイキ ダンクを赤外線カメラで見てみると……

  • 正規品と偽造品では塗料がまるで違うことを見抜ける。上が正規品、下が偽造品

  • こちらはX線透過装置

  • 大人気、POPMARTの「The Monsters: Big into Energy」シリーズを機器の中に入れると……

  • 箱を開けなくても中身が確認できる。フィギュアにワイヤーが入っている左のほうが正規品で、右が偽造品

  • ナイキとシュプリームのコラボスニーカーの真贋をUVライトで確認する鑑定士