この数年、つぎつぎと新製品が登場している分野に「セカンド冷蔵庫」がある。日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)が2022年に発売した小型冷蔵庫「Chiiil(チール)」も、そんなセカンド冷蔵庫のひとつ。Chiiilは今までにないデザイン性の高さで「家電という家具」のように配置できることが特徴だ。

このChiiil、木製家具で人気のカリモク家具とタッグを組み、「小型冷蔵庫+木製家具」という異色の組み合わせとなる「Chiiil MINIBAR(チール ミニバー)」を発売した。

  • 小型冷蔵庫「Chiiil」の上に木製家具「MINIBAR」を配置した「Chiiil MINIBAR(チール ミニバー)」

「生活スペースに冷蔵庫を置く」という選択肢

冷蔵庫といえば、かつては(今でも?)「キッチンに置く大きな白物家電」というのが当たり前だった。ここ数年はリモートワークやライフスタイルの変化を背景に、リビングや寝室、書斎といった生活空間にもう1台の冷蔵庫を置くというスタイルがじわじわと浸透している。

  • 「Chiiil MINIBAR」も、「生活空間に馴染む冷蔵庫」をコンセプトとして作られた

こうしたセカンド冷蔵庫の需要にあわせて、各社から小型冷蔵庫の新製品が続々と登場しているのだが、どうしても「家電感」のあるたたずまいから脱却しきれていない製品が多い。いくらコンパクトでも、ツヤのあるプラスチック素材や大きなロゴマークなどが存在感を出してしまい、生活感を隠しきれない。

日立GLSが2022年に発売した小型冷蔵庫「Chiiil(チール)」は、「家電の冷蔵庫」から一線を画す製品として登場した。高さ約75cmという手ごろなサイズに、ムダを削ぎ落としたミニマルデザイン。

冷蔵庫の象徴ともいえる操作パネルやロゴを目立たせず、質感にもこだわることで、まるで高級家具の一部のような雰囲気を持たせている。カラーバリエーションも10色と豊富で、置く場所や好みにあわせて自由に選べる点も、従来の家電にはなかった視点だ。

  • 一見すると冷蔵庫に見えないオリジナルのChiiil。2台のChiiilを縦置きや横置きすることも可能

  • ライフスタイルストアのACTUSとコラボレーションし、Chiiilはニュアンスカラーを含めた10色のカラー展開

家電の便利さに木材の温かみを。

もともと家具のようなデザインで注目を集めていたChiiilを、さらに進化させたのが今回の「Chiiil MINIBAR(チール ミニバー)」だ。日立GLSは木製家具メーカーとして歴史あるカリモク家具と開発に取り組み、冷蔵庫の上に天然木の棚を組み合わせることに成功している。

木製棚は空間を広く使える2段式を採用。お気に入りのグラスやボトル、小皿や雑貨などを飾ることで、ディスプレイの一部としても便利に使えそうなデザインだ。本体カラーはChiiilとしてすでに10色を展開しており、そこに天然木棚ユニットを4色(オーク、スモークオーク、ウォールナット、メープル)から組み合わせ可能。組み合わせによって多彩な印象を作り出せるため、シンプルモダンな部屋はもちろん、ナチュラルで温かみのある空間にも合いそうだ。

  • メディア向けの体験会で用意されたChiiil MINIBAR。Chiiilの本体カラーはノルディック、MINIBAR部分の本体カラーはスモークドオーク。写真の部屋にはスモークオークを使ったカリモクの家具を配置。サイドテーブルは大理石の天板にスモークオークの脚、チェアは皮の座面にスモークオークを組み合わせたもの。異素材のなかに統一した素材を組み合わせることで全体がまとまって見える

メディア向けの体験会では、そんなChiiil MINIBARの多彩な活用シーンが展示されていた。場所は東京・港区にある日本酒ラウンジ「tpb(Tokyo Port Brewery)」。江戸の酒造文化を現代に受け継ぐ、都内でも珍しい都市型の醸造所併設ラウンジだ。この空間に、グラスや酒器、小皿を組み合わせたMINIBARが自然に溶け込んでいたことが印象的だった。

  • 手前は「モス」カラーのChiiilと「メープル」木材のMINIBARを組み合わせた例

棚には日本酒を注ぐための片口(かたくち)や盃などが並び、冷蔵庫部分には実際に東京港醸造の日本酒「江戸開城」が冷やされていた。シンプルな錫製の片口だが、Chiiil MINIBARに並べるだけでオブジェのように見える。

  • 錫製の片口や盃が並ぶChiiil MINIBAR

機能面でもChiiilは柔軟だ。庫内は「冷蔵」と「セラー」のモードを切り替えて使用できる仕組み。冷蔵モードは約2℃〜6℃、セラーモードは約8℃〜16℃の温度設定が可能。キリッと冷やした日本酒や白ワインはもちろん、赤ワイン、冷やしすぎないことが望ましいコーヒー豆やチョコレートなどの保存にも適している。

  • 庫内の内部にある操作パネル

  • 庫内のレイアウトも柔軟に変更できるため、一般的な小型冷蔵庫では保管が難しい一升瓶も立てて収納できる設計

暮らしにちょっとの贅沢を添える家電

今回、実際にChiiil MINIBARを体験したが、冷蔵庫と天然木という異素材の組み合わせながら、最初から設計されていたかのような自然な一体感がもっとも印象的だった。家電は精密な寸法管理が求められるため、本来家具になってもサイズが変化し続ける木材とは相性が悪い。Chiiil MINIBARは、家電のプロである日立と木材のプロであるカリモクが手を取り合うことで初めて生まれる製品なのだ。

ただの機能家電でもなく、飾るだけの家具でもない。「使うたびにちょっとうれしくなる」という豊かさが、この小さな冷蔵庫には詰まっているように感じた。

Chiiil MINIBARは直販価格が17万6,000円。高級家具としては珍しくない価格だが、小型冷蔵庫としては高額だ。このあたりは、Chiiil MINIBARを家電と考えるか、ライフスタイルやインテリアにこだわるアイテムと考えるかで、人によって価値が変わりそうだ。

お気に入りのグラスと、冷やした日本酒、ほんの少しのおつまみ。自分らしい時間を贅沢に過ごしたいとき、Chiiil MINIBARはくつろぎ時間をそっと支える道具として暮らしに寄り添ってくれるはずだ。