スパークリングワインの栓はちょっと特殊です。普通のワインのようにコルク抜きを使ったり、パキッと手でひねって開けたりする栓ではありません。開け方には少しコツがありますが、知ればすぐにできるようになります。
また、飲むときの温度やグラスに気をつかうと、よりいっそうおいしく飲めます。今回は自宅でスパークリングワインを飲む際のワンランク上の楽しみ方を解説します。
コルクをスマートに抜く5ステップ
スパークリングワインと普通のワインのコルクの最大の違い。それはスパークリングワインのコルクは「危ない」ということです。スパークリングワインはガス圧が高く、開ける際に注意しないとコルクが飛び出してきて怪我をするおそれがあります。ここで紹介する開け方を守って挑戦してみてください。慣れれば余裕で開けられるようになるのでご安心を!
それでも怖いという場合は、記事後半で便利なツールを紹介します。
ステップ1:よく冷やして揺らさない
スパークリングワインは開ける前の準備が大事です。重要なのは冷蔵庫などでよーく冷やしておくこと。冷えが足りないと、ワインが吹きこぼれてしまうことがあります。高価なスパークリングワインが吹いてしまったらやりきれませんからね……。
また、炭酸なのでなるべく揺らさないことも大事。コーラと同じです。シャンパンファイトでは思い切りスパークリングワインを振りまくっていますが、真似してはいけません。
ステップ2:シールをはがす
スパークリングワインの口を覆っているキャップシールをはがします。すると中からコルクと留め金が出てきます。ここで、できればコルクが飛び出した場合や吹きこぼれの対策として、ふきんやタオルなどをかぶせましょう。ここでは見やすくするためかぶせずに行います。
ステップ3:留め金をゆるめる(注意!)
留め金が輪のようになっている箇所があるので、指でつまんで回し、ゆるめていきます。このとき、必ずもう片方の手でコルクの頭をしっかり押さえるようにしてください! 同じ手で、コルクを側面から握り込むようすると安定します。
たまに、コルクを押さえずに留め金をゆるめる人がいるのですが、留め金をゆるめたその瞬間から、コルクが飛び出す可能性があります。
コルクを押さえたままだと留め金が外せませんが、外す必要はありません。輪の部分を回してゆるめるだけです。
ステップ4:瓶の底を回す
いよいよコルクを開けます。絶対にコルクを人に向けないようにしてください。
コルクの頭を親指で押さえ、握り込むように持ったまま、もう片方の手で瓶の底を持ちます。そして、コルクではなく瓶を回します。すると、少しずつコルクが上がってくるので、押さえ続けてください。
ステップ5:コルクを抜く
最後のポイントです。コルクがだいぶ上がってきたと感じたら、少しだけコルクを握っている手を倒すようにして、コルクを傾けます。瓶とコルクの間に隙間をつくるイメージです。思い切り倒すとコルクが折れるかもしれないので、慎重に行ってください。
そして、コルクを傾けながら、コルクと瓶の間から空気を抜きます。「シュッ」という小さな音がして、コルクが抜けます。
慣れないうちは、コルクを倒す感覚がつかめずに、「ポン! 」という大きな音を立ててしまうと思います。でも音は別に構いません。パーティーなどでは、あえて音を立てて開けたほうが盛り上がる場合もあります。
どうしても開けられない場合は……
どうしてもコルクを開けるのが怖い、あるいはコルクが固くて開けられないという場合は、専用のオープナーを使う方法もあります。
おすすめはサルートのシャンパンオープナー。留め金を外してもコルクが飛び出さないことを必ず確認した上で、コルクにかぶせるようにして使用します。力をかけずに簡単に開けられます。一つ持っておくと便利ですよ。
くれぐれも、一般的なワイン用のオープナーを使わないように注意してください。
温度とグラス
スパークリングワインを楽しむのに重要なのが、温度とグラスです。特に温度は大事。基本的にスパークリングワインはよく冷やしたほうがおいしいし、吹きこぼれ対策にもなります。
ベストな温度についてはいろいろな意見があります。でも自宅で飲むような場合は、どのスパークリングワインであっても、冷蔵庫でキンキンに冷やしてしまっていいと思います。
高価なシャンパンなどは少し温度を上げたほうが香りが立つこともあります。その場合でも、とりあえずキンキンから始めて、あとはゆっくり飲んでいれば自然といい感じの温度になってくれます。
細かいことは気にせずに、冷やしてしまいましょう!
一方、グラスについては、フルートグラスと呼ばれる細長い形のグラスか、もう少し膨らみのある白ワイン用グラスがおすすめです。
スパークリングワインといえばフルートグラスをイメージする人が多いと思いますし、たしかにフルートグラスは泡がきれいに見えて気分がアガります。
ただ、フルートグラスは基本的にスパークリングワインにしか使わないので、赤ワインや白ワインも同じグラスで楽しみたいなら、万能型である白ワイン用グラスをひとつ購入するといいでしょう。
ほかにもいろいろな形のグラスがあります。もし、ワインにハマったら……ようこそグラス沼へ!
スパークリングワインはどんな料理と合う?
ワインを飲むときに気にしがちなのが、どんな料理と合うのかということ。結論からいえば、スパークリングワインはどんな料理にも合います!
身も蓋もないのですが、これがスパークリングワインをおすすめする大きな理由でもあります。
日本の食卓は、いろいろな料理が並びます。肉にはこれ、サラダにはこれ、みたいに細かくワインを選ぶのは現実的ではありません。ビールみたいに、ひとつでだいたいの食事に合わせられるスパークリングワインは、家庭の食事にぴったりなんです!
もちろん、赤ワインだって白ワインだって、好きな料理に好きなように合わせてください。家なんだから、気にする必要はありません。
おすすめワイン4選
本特集も最終回ということで、個人的によく飲んでいるハイコスパスパークリングワインを3つ、そして記念日などにおすすめのシャンパンを紹介します!
クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュット エティエンヌ ロウムール
世界に誇るワインの銘醸地、フランス・ブルゴーニュ地方で生産される辛口のスパークリングワイン。シャンパンと同じぶどう品種、同じ製法を用いているのに2,000円程度で購入できるコスパの良さが最高です。味わいはシャンパンよりはすっきりしていますが、価格を考えるとすばらしいクオリティ。シャンパンが飲みたいけれど、ちょっとお財布が厳しいときにもぴったり!
バートン・ヴィンヤーズ ファウンド・ストーン ブリュット キュヴェ
スパークリングワインは飲みたいけれど、コルクを開けるのはやっぱり怖い。そしてツールを買うのもまだハードルが高い。そんな人におすすめなのがコレ。なんと、スクリューキャップのスパークリングワインです。珍しい! スクリューキャップなのでコルク抜きも不要。パキッとひねれば開けられます。1,000円ちょっとと安いのに、味わいもちゃんと本格的で泡立ちもしっかりした辛口。すっきり爽やか。これぞデイリースパークリングワイン!
サンテロ ピノ・シャルドネ
ネットでも購入できますが、この銘柄はスーパーや量販店など、わりとどこでも買えます。オレンジラベルで見た目もおしゃれ。1,000円台で手に取りやすい。フルーティーでさっぱり。ヘンな甘みや雑味もなく、この価格にしてすばらしい安定感です。さすがは大ヒット商品。知らなかった方はぜひ見かけたら飲んでみてください。
ドゥラモット・ブリュット
最後に紹介するのはシャンパンから、ドゥラモット・ブリュット。
シャンパンの中でも、トップクラスの価格と人気を誇る「サロン」という銘柄がありますが、実はこのドゥラモット、そのサロンと同じチームが手がけるシャンパンなんです。
1万円近くと、これまでに紹介してきたおすすめスパークリングワインの中でも飛び抜けて高価です。ですが、うっとりするような香り、複雑で多層的な味わい、グラスからあふれ出る品格……これぞシャンパンといえる完成度の高さで、価格にも納得感があります。
スパークリングワインを楽しもう!
5回にわたり、スパークリングワインについて解説しました。製法や産地、ラベルの読み方など、ちょっとした知識を持っておくだけで、スパークリングワインをもっと楽しむことができます。
さあ、さっそくスーパーやワインショップに足を運んで、今夜飲むスパークリングワインを探しましょう!