一口にスパークリングワインといってもさまざまな種類、銘柄があります。辛口もあれば甘口もあり、スッキリ爽やか系もあれば、コクのあるタイプもあります。
そうした情報は、スパークリングワインのラベルを読み解くことでわかるようになります。今回はスパークリングワイン選びで失敗しないようになるための、ラベルの読み方について解説します。
ラベルのどこを見る?
スパークリングワインに限らず、ワインのラベルは表面と裏面に分かれています。フロントラベルはそのワインの銘柄名や生産者名、どんなワインなのかといった基本的な情報が記載されていることが多く、バックラベルにはより詳細な情報が書かれています。
とはいえ、そういった情報は英語やフランス語など、そのワインの生産国の言葉で書かれていることが多いので、見ても意味がよくわかりません。
そこで、注目してほしいのが特定のキーワード。今回解説する言葉をラベルから探すことで、どんなタイプのスパークリングワインなのかがわかるようになります。
甘辛度の表記をチェック!
まず、スパークリングワインの味わいを決める甘辛度を確認しましょう。甘辛度は文字どおり、そのワインが「甘口」なのか「辛口」なのかを表す表記です。
甘辛度は国によっても表記や基準が若干異なるので、細かく覚えようとすると大変です。
ただ、いくつかの表記をざっくり覚えておくだけでも十分スパークリングワインを選べるようになります。
まず、知っておきたいのは「BRUT(ブリュット)」です。
BRUTは「辛口」。
すっきり系からボリュームがあるタイプまで、さまざまなタイプのBRUTがありますが、とにかくBRUTと書かれていたら辛口なのは世界共通です。
このBRUTに似た表記として、「Brut Nature」や「Extara Brut」もあります。ただ、いずれにしても辛口です。というか、Brut NatureやExtara Brutは、単なるBRUTよりもさらに甘さ控えめの極辛口です。
なので、BRUTとついていれば辛口。そう覚えておけば間違いありません。
では、甘いスパークリングワインを選びたいときは? キーワードは「Sec(セック)」です。味わいの感じ方は個人差がありますし、同じ表記でも甘さには幅があります。ただ、Secと書かれてあれば甘口と捉えていいでしょう。イタリアでは「Secco(セッコ)」、スペインでは「Seco(セコ)」と表記が変化します。
甘辛度については、甘みの強さによって他にもいろいろ表記があるのですが、圧倒的に多いのは「BRUT」なので、とりあえず「BRUT=辛口」だけ覚えておけばOK。
もうひとつだけ押さえるなら、プロセッコに多い「Extra Dry(エクストラ・ドライ)」。これは、辛口と甘口の間くらいの甘さ。“ほんのり甘口”くらいのイメージです。
ヴィンテージとノン・ヴィンテージ
よく「2020年産のワイン」みたいに言いますよね。これは「2020年に収穫されたぶどうをメインにして造った」ということ。このワインの年号のことを「ヴィンテージ」と呼びます。赤ワインや白ワインには、ほぼ確実にヴィンテージが表記されています。
ところが、スパークリングワインはちょっと事情が違います。特にシャンパンでは、ヴィンテージが書かれていないことが多いのです。
ヴィンテージがない場合、「ノン・ヴィンテージ」と呼ばれます。頭文字をとって「NV」と書いたりもします。
ノン・ヴィンテージってどういうことなのか。ヴィンテージがない。つまり、いろいろな年に収穫したぶどうを混ぜて造っているんです。
この造り方の背景にあるのは、シャンパンを生産するシャンパーニュ特有の事情です。
シャンパーニュ地方は非常に寒く、天候によってはぶどうの出来が良くない年もあります。でも、だからといっておいしくないシャンパンを造るわけにはいきません。
そこで、シャンパーニュ地方では、いろいろな年のワインをブレンドすることで、毎年一定の品質を保つようにしているんです。だから、特定のヴィンテージを記載せず、ノン・ヴィンテージとして販売されるわけですね。
一方で、全体から見ると少数ですが、ヴィンテージが記載されたシャンパンもあります。ヴィンテージが記載されているということは、当然その年のぶどうだけで造られています。選びぬかれた良いぶどうが使われており、希少性も高いので、ヴィンテージ物のシャンパンはノン・ヴィンテージよりも高価になります。
シャンパンと同じように、ノン・ヴィンテージで造られているスパークリングワインは世界中に数多くあります。スパークリングワインのラベルを見たら、ぜひヴィンテージの有無に着目してみてください。
製法、格付けなど、その他の注目キーワード
その他、ラベルに書かれていることの多いキーワードをいくつか解説します。
たとえば、本連載でも解説した「製法」。シャンパーニュ方式であれば、「Methode traditionnelle」のように記載されていたりします。国によって多少表現が異なることもあります。
もうひとつは「格付け」、つまりそのワインのグレード表記です。
国や産地でさまざまな表記があるので、代表的なものだけ紹介します。
まず、シャンパンで見かける「Grand Cru(グラン・クリュ)」。これは、特級と呼ばれる特別な畑のぶどうだけで造ったワインを表します。当然、価格は非常に高価になります。記念日などに選びたいですね。
他にもプロセッコなら「Superiore(スペリオーレ)」、カヴァなら「RESERVA(レセルバ)」などのキーワードが付いているものは、ノーマル品よりも高品質で高価です。
そして、少しマニアックですが、「Blanc de Blancs(ブラン・ド・ブラン)」と「Blanc de Noirs(ブラン・ド・ノワール)」も知っておくとラベルを読む解像度が高まります。
シャンパンは白ぶどうと黒ぶどうをブレンドして造ることが多いのですが、中には白ぶどうだけで造ったシャンパンや、黒ぶどうだけで造ったシャンパンもあります。前者をブラン・ド・ブラン、後者をブラン・ド・ノワールと言います。
ブラン・ド・ブランとブラン・ド・ノワールでは味わいのキャラクターがかなり異なるので、もし飲む機会があれば違いを意識してみても面白いですよ。
おすすめワインのラベルを読んでみよう!
では、実際にラベルを読んでみましょう! 今回はおすすめワインの「カバ レセルバ デ ラ ファミリア ブルット ナトゥレ 2021 マス デ モニストロル」を取り上げます。
ラベルを見ると、「BRUT NATURE」とあるので、味わいは極辛口です。食事に合わせるとよさそうですね。「2021」ということは2021年産のぶどうを中心に造られており、「RESERVA」なので通常よりもグレードの高い銘柄なのでしょう。価格を考えるとコスパはよさそう。「Blanc de Blancs」表記もあるので、白ぶどうだけで造られたスパークリングワインだとわかります。すっきりしていそうですね。
ラベルを読めるようになるだけで、これだけの情報がするすると入ってきます。産地などの知識と合わせれば、もうスパークリングワイン選びで迷うことはなくなるはず!
スパークリングワインをおいしく飲むコツは? 次回は「楽しみ方」を解説!
せっかく購入したスパークリングワイン、できれば最高においしく飲みたいですよね。また、スパークリングワインを自宅で楽しむ場合は、栓の開け方も知っておきたいところです。次回はスパークリングワインをおいしく飲むポイントについて解説します。