飲食店やホテル運営などを手がけるカトープレジャーグループ(KPG)は、「KPG最新事業紹介セッション2025」を6月30日に開催。2025年12月24日開業予定の「ふふ 東京 銀座」や、2025年8月27日開業予定の「GLAMDAY STYLE HOTEL&RESORT KYU-KARUIZAWA」について発表した。
代表取締役グループ代表 加藤友康氏が約5年ぶりに、代表取締役社長 兼 グループCEOの加藤宏明氏が初めて、メディアの前に登壇した本発表会。同社が手がける東京・大手町のイタリアンレストラン「TRATTORIA CREATTA」を会場に、グループ全体の今後の事業展開なども語られた。
KPGはレジャーを軸にホテル・旅館・スモールラグジュアリーリゾート、スパやフードサービスなど多岐にわたる事業を展開するトータルプロデュースカンパニー。
2023年4月に代表取締役社長兼グループCEOに就任した加藤宏明氏は、「マーケティングからコンセプトの開発。そして事業計画とオペレーションと、開発からオペレーションまで一気通貫で行っていくトータルプロデュースを行っています」と挨拶した。
「昨今はさまざまな資材が高騰しているなかでも、業態開発・オペレーションによってしっかりと価格を超えるブランド価値を創造していくことが、今後のレジャー市場で非常に大切なポイントです」(宏明氏)
「ふふ 東京 銀座」「ふふ 城ヶ島 海風のしらべ」を開業へ
続いて、KPGの2025年から2026年にかけての新規事業を説明した。2025年12月24日に「ふふ 東京 銀座」を、来年2月に「ふふ 城ヶ島」を、それぞれ開業することを発表した。
スモールラグジュアリーリゾートのブランドとして2007年に開業した「ふふ」は、2024年にアジア圏で初めて開催された、優れた宿泊施設を選出する「ミシュランキー」で、ブランドとして最多となる7施設が受賞。インバウンド戦略においてもプレゼンスを高めている。
すべての客室に天然温泉を備え、地の恵みを味わえる料理やプライバシーが保たれた空間、心地よい距離感のおもてなしなどが特徴とのことで、現在「ふふ」は全国に8施設を展開する。
「ふふ 東京 銀座」は東京メトロ銀座一丁目駅直結の銀座一丁目交差点という立地。34室のビル型の都心の施設でありながら、四季と自然、日本の伝統と現代の感性が静かに交差する、開放的な空間を用意するという。
「今回、初のチャレンジとして銀座で都市型の『ふふ』が開業するということなります。国内で名だたるインターナショナルブランドの展開が進むなか、銀座一丁目にオープンする『ふふ 東京 銀座』はホテルが比較的少ないエリアでのオープンとなります。同地にどのような賑わいを創出していくか、ぜひ注目していただければ」(宏明氏)
「ふふ 東京 銀座」の食事は四季折々の食材と各地の恵みを活かした日本料理のコースを用意。館内のレストランだけでなく、一部のフロアでは客室内でも楽しめるという。
また、全34室の客室すべてに「ふふ」ブランド発祥の地・熱海から運ばれた天然温泉を楽しめる客室風呂も用意。国内客だけでなく、2030年に6,000万人を超えるとも言われるインバウンド客の中でも富裕層が主なターゲットだという。
「また、来年2月を開業予定の『ふふ 城ヶ島 海風のしらべ』(神奈川県三浦半島)は34室から富士山が一望できる施設で、とくに今回は"海風のしらべ"をテーマに据えました。東京から約2時間のエリアで、豊かな表情を見せる城ヶ島の海を一望できるオーシャンビューのリゾートです。海鮮を中心に堪能いただけるお料理をご用意します」(宏明氏)
軽井沢エリアで多彩なホテル事業を展開
KGPは2024年に開業した2つの「GLAMDAY STYLE HOTEL SUITE 山ノ麓・川ノ音」をはじめ、「ふふ軽井沢陽光の風」「ふふ旧軽井沢 静養の森」など、軽井沢エリアでも多数のプロジェクトを展開中。
ライフスタイルホテル「TWIN-LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN」を今年オープンしたほか、信州の食材で作るスペイン王室御用達のレストラン 「José Luis (ホセ・ルイス) 軽井沢」や、「つるとんたん UDON NOODLE Brasserie 軽井沢」も運営している。
2026年春には、「GLAMDAY STYLE(グランディスタイル)」シリーズより、軽井沢で4棟目となる「GLAMDAY STYLE TEITAKU 浅間ノ詩(アサマノウタ)」を開業予定。この7月1日から分譲を開始した。
すでに軽井沢で3棟を展開しているセカンドハウスブランド「GLAMDAY STYLE TEITAKU」は、KPGが分譲と運営管理を行い、1棟の別荘を24名のオーナーで共有持分として所有する不動産資産。コンシェルジュなどの専属スタッフが、各オーナーの要望に寄り添ったホスピタリティを提供する。
「GLAMDAY STYLE TEITAKU 浅間ノ詩」は、浅間山を眼前に望む約200m2のテラスを設置し、温泉なども完備するという。
さらに今年8月27日には、沖縄県読谷村の「GLAMDAY STYLE HOTEL & RESORT OKINAWA YOMITAN」に続き、「GLAMDAY STYLE HOTEL & RESORT KYU-KARUIZAWA」の開業も控えている。
軽井沢のメインストリートである「旧軽井沢銀座通り」沿いで、徒歩圏内で軽井沢の歴史、文化、アートの体験やグルメを堪能しやすい立地となっているようだ。
「客室数は65室で全室スイートとなります。こちらのホテルも温泉を完備しており、併設レストラン『TRATTORIA CREATTA』もオープンします。大手町で2018年に開業したブランドで、軽井沢では地元の食材を提供していく予定です。『GLAMDAY STYLE TEITAKU』シリーズ、『ふふ』『つるとんたん』『TWIN-LINE HOTEL』『GLAMDAY STYLE HOTEL』により、軽井沢でマーケットを作っていきたいと思っています」(宏明氏)
-
2025年8月27日開業予定の「GLAMDAY STYLE HOTEL & RESORT KYUKARUIZAWA」に併設するレストラン「TRATTORIA CREATTA 軽井沢」では地元信州の食材を使った料理が提供される
訪日観光客を取り込みブランド認知拡大へ
1987年に父の事業を継承し、一代で総従業員数約5,000人の企業に成長させた代表取締役グループ代表 加藤友康氏は、「ふふ東京・銀座」の開業について次のようにコメントした。
「『ふふ』というブランドができ上がったのが2007年12月でした。リゾートホテルをつくるにあたっては、景観やアクセスなどいろんな要素があるんですが、その場所に応じて時間をかけて、コンセプトワークとブランディングに時間をかけていることが、『ふふ』の特徴です。素晴らしい場所で、きちんとしたクリエイティブとオペレーションを投入するということが軸にあります」(友康氏)
これまで国内客を中心に事業を拡大してきた「ふふ」だが、「ふふ 東京 銀座」ではさらに訪日観光客を銀座に呼び込み、ブランドの認知度を広げていきたいという。
「『ふふ 東京 銀座』の開業に向けて、我々の料理チームの中でも精鋭部隊を編成し、お寿司の業態にもチャレンジするということで、非常にいいオペレーションを提供できると感じています。また、軽井沢でも様々なプロジェクトの展開させていただいております。2020年、『GLAMDAY STYLE TEITAKU 空の庭』というワンゲストのリゾートをつくりましたが、非常に好評を博しました。『GLAMDAY STYLE TEITAKU 浅間ノ詩』は、もともと結婚式場があった場所にできますが、旧軽井沢の中でも最高の場所にご縁をいただけたと思っています」(友康氏)
KPGは7月1日、天保五年(1834年)に創業した190年の歴史を持つ焼酎の蔵元である宮崎県日南市の京屋酒造の経営権を取得したことも発表した。運営するホテルやレストランで提供するオリジナルのアルコールブランドの開発・展開を強化することに加え、EC事業部のオンライン販売強化や流通販売を図り、宮崎・日南の地域社会活性化に寄与していくという。