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( Life ) スパークリングワインを楽しむ

「なぜシャンパンは高価なのか」スパークリングワインの4大製法と、製法の違いを楽しむオススメ2銘柄

JUL. 02, 2025 11:00
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泡の出るワイン、それがスパークリングワイン。ただ、スタイルは多様です。泡が強いものもあれば微発泡もあり、辛口もあれば甘口もあります。複雑な香りや味わいの高級スパークリングワインもあれば、フレッシュなフルーツの香りが弾けるシンプルでコスパのいいスパークリングワインもあります。

こうした違いはどこから生まれるのか。最大の理由は「製法」です。

スパークリングワインの泡や香り、味わいの決め手となる製法について詳しく、でもわかりやすく解説します。

味と価格を決める4つの製法

スパークリングワインには、大きく4つの製法があります。どの製法を使うかで、泡の強さや香り、味わいの傾向が決まると言っても過言ではありません。つまり、製法を知るだけで、ワインショップやレストランでスパークリングワインを選べるようになるんです。 では、その4つの製法とは?

シャンパーニュ方式

4つの製法の中で、もっとも手間がかかり、その分高価になりがちなのがシャンパーニュ方式です。伝統方式とか、トラディショナル方式とか言ったりもしますが、ぜんぶ同じです。

名前の元ネタは、フランスの北部に位置するシャンパーニュ地方。この製法を生み出したとされる産地です。シャンパーニュ地方で、シャンパーニュ方式で造られたスパークリングワインだけが、銘柄としてシャンパーニュ(シャンパン)を名乗れます。

逆にいえば、シャンパンは必ずシャンパーニュ方式で造る必要があります。そうしないと、ラベルや商品名にシャンパンと表示できないのです。手間のかかる製法で造る必要があり、しかもフランスは人件費も高い。そして、シャンパンという名前には圧倒的な知名度とブランド力があります。だから、あらゆるスパークリングワインの中で、シャンパンはずば抜けて高価というわけです。

もちろん、単に高いだけではありません。シャンパーニュ方式で作られるスパーリングワインは、他の製法で作られるスパーリングワインよりも香りや味わいが複雑です。さらに、泡立ちも非常にきめ細かくて上品です。一言でいえば高級感のあるスパーリングワインになるので、高くても納得感があります。

  • シャンパーニュ方式でつくられた泡はきめ細かく持続性があります

シャンパーニュ方式はどんな製法なのか。ほかと何が違うのか。ポイントになるのは「泡」です。

ワインに限らずお酒に含まれるアルコールは、糖分と酵母による「アルコール発酵」という現象で生まれます。ワインの原料はぶどう果汁で、果汁には糖分が含まれますよね。この「糖分」に「酵母」という菌を加えてやると、ぶどうジュースがワインになるというわけです。

このとき、副産物として生成されるのが「二酸化炭素」、つまり炭酸ガスです。これがスパーリングワインの泡の元なんです。ただ、炭酸ガスは放っておくと空気中に逃げていって消えてしまいます。スパーリングワインを作るなら、どうにかしてこの炭酸ガスをワインに溶け込ませる必要があります。

そこでシャンパーニュ方式は、泡を作るためにこのアルコール発酵を二段階に分けて行います。まず、普通にアルコール発酵を行ってワインを作ります。このとき生まれる炭酸ガスは抜けてしまいますが、構いません。

次に出来上がったワインを瓶に詰めて、そこにもう一度、糖分と酵母を入れてやるんです。で、瓶には王冠で蓋をしてしまいます。この状態で放置すると、糖分と酵母により2回目のアルコール発酵が起きますよね。同時に炭酸ガスも生成されます。……しかし、今度は先ほどとはちょっと事情が違います。瓶には蓋がされてあるので、炭酸ガスは空気中に逃げられないんです。

もともと炭酸ガスは水に溶けやすい性質があります。瓶の中で生まれた炭酸ガスは、時間をかけてゆっくりとワインに溶け込んでいき――そしてスパーリングワインになるのです。いや~よく考えられた方法ですよね!

このシャンパーニュ方式だと、泡を作るための2回目の発酵を瓶ごとに行わないといけません。だから、ものすごく手間がかかるんです。そりゃあ、シャンパンも高価になるってもんですよね。

シャルマ方式

シャンパーニュ方式のように瓶の中で2回目の発酵を起こすのではなく、もっとバカでかいタンクの中で2回目の発酵を起こして炭酸ガスを溶け込ませてしまおう、というやり方がシャルマ方式です。タンク方式と呼ばれたりもします。

やり方はシャンパーニュ方式の「瓶」が「タンク」になるイメージ。最初にワインを造り、タンクに入れます。そして糖分と酵母を入れて、2回目の発酵を起こします。タンクは当然、密閉されているので、生成された炭酸ガスが空気中に逃げずワインに溶け込み、スパークリングワインになるわけです。

シャンパーニュ方式と違って、大きなタンクで一気に大量のスパークリングワインを造れるので、価格を抑えやすいのがメリット。しかも、タンクだと造っている間、空気に触れることがないので、ワインが酸化せず、フレッシュな香りに仕上がります。

メトード・アンセストラル

アンセストラルとは、「先祖代々」といった意味。その名のとおり、シャンパーニュ方式が発明されるよりも昔からスパークリングワインの製法として用いられたとされています。「田舎方式」と呼んだりもします。多くの場合、微発泡のスパークリングワインです。

メトード・アンセストラルの製法の特徴は、シャンパーニュ方式やシャルマ方式のように発酵を2回行わず、1回で済ませること。

まず、アルコール発酵でワインを普通に造ります。アルコール発酵が起きると、果汁の中にある「糖分」が、「アルコール」と「二酸化炭素」に変換されるのは説明したとおり。メトード・アンセストラルでは、このアルコール発酵の途中で、ワインを瓶に詰めて栓をします。

すると、瓶に詰める前の発酵で生じた炭酸ガスは空気中に逃げているわけですが、瓶に詰めた後の発酵で生じた炭酸ガスは瓶の中に残ります。この炭酸ガスがワインに溶け込み、スパークリングワインとなります。

ただ、シャンパーニュ方式やシャルマ方式と違って、ワインに溶け込むのは発酵の途中で生じた分の炭酸ガスだけ。つまり、シャンパーニュ方式やシャルマ方式よりも、泡立ちが弱いスパークリングワインになることが多いのです。

この方法は現在、「ペット・ナット」と呼ばれる微発泡のスパークリングワインで主に使われます。ペット・ナットは、いわゆる自然派やナチュラルワインにカテゴライズされるスパークリングワイン。やさしい泡立ちで、ふくよかな味わいが世界中で大人気です。

炭酸ガス注入方式

もっともイメージしやすい方法が炭酸ガス注入方式。まずワインを造り、そこに炭酸ガスを外から入れてスパークリングワインの一丁上がりです。めちゃくちゃわかりやすい!

お察しのとおり、もっともコストがかからない方法です。そのため、安いスパークリングワインを大量生産するのによく使われます。

出来上がるワインはフルーティーでフレッシュな味わい。シャンパーニュ方式やシャルマ方式に比べると泡が抜けやすいので、サクッと飲んでしまいましょう。

おすすめワイン2選

製法の違いでまったく異なる雰囲気に仕上がるスパークリングワイン。今回はシャルマ方式と、メトード・アンセストラルのおすすめスパークリングワインを紹介します。

ザルデット プロセッコ エクストラ ドライ NV

  • ザルデット プロセッコ エクストラ ドライ NV

シャルマ方式で造られるスパークリングワインでもっとも有名なのが、イタリアの「プロセッコ」です。フルーティーでフレッシュ、弾けるような果実の味わいと、さわやかな酸味のバランスがよく、価格も控えめ。世界で一番飲まれているスパークリングワインとして知られています。

とりあえずプロセッコを選んでおけば間違いはないのですが、個人的によく飲むのがザルデットという生産者のプロセッコ。中堅規模の生産者で、日本でもECサイトなら通年手に入ります。

以前、BBQに持っていきましたが、大好評でした。暑い夏にキンキンに冷やして飲むと最高ですよ!

タケダワイナリー サン・スフル 白

  • タケダワイナリー サン・スフル 白

今や世界中で造られているメトード・アンセストラルのスパークリングワイン。個人的におすすめしたいのは、「タケダワイナリー サン・スフル 白」。タケダワイナリーという山形県の生産者が造るスパークリングワインです。ペット・ナットとは付いていませんが、ペット・ナットと言っていいでしょう。

山形県産のデラウェアというぶどうを100%使って造られたこのワイン。レストランで飲んでおいしさに衝撃を受け、それ以降何度も購入して愛飲しています。華やかな香りと、やさしい味わい。体にじわっと染み入るようなすっきりしたスパークリングワインです。

日本のワインだけあって、日本食にはとてもマッチします。野菜料理や白身魚の料理とぜひ合わせてください。

ネットで購入する際は、必ず「クール便」で! 3日間くらい冷蔵庫で冷やして、キンキンで開けてください。

次回は「産地」を解説!

スパークリングワインは世界中で造られています。産地によって味わいやスタイル、価格が大きく変わるため、スパークリングワインを選ぶときは「産地」を基準にするのが確実です。次回は代表的な産地について解説します!

『ワインの半分は物語でできている。』(山田井ユウキ/三才ブックス)

読めば、飲む前から〝推しワイン〟ができる! 〝物語からワインが好きになるタイプ〟の著者(ワインエキスパート)が、自身をワイン沼に引きずりこんだ数々のワインストーリーから、41本をセレクトして語った一冊です。物語を知ればありがたみが増し、ありがたみが増せば、そのワインはもっとおいしくなる! ワイン教本の〝読み物系〟副読本にもぜひどうぞ。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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