「フィードバック」と聞くと、多くの人が耳の痛いことや上司からのダメ出しというイメージを抱くのではないでしょうか? しかし、そんなフィードバックも伝え方を見直すだけで、関係性が良くなるコミュニケーションとなるのです。
この記事では戸田久実著『すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!』(かんき出版)から、管理職だけではなく、誰もが知っておくといいフィードバックの考え方や技法、効果を、豊富な事例とともに解説していきます。
今回は「同じミスを繰り返す人に根気強くネガティブフィードバックをする」です。
責める言葉ではなく、伝え方を変えてみる
一度注意したミスを何度も繰り返されると、指導する側は疲弊してしまうものです。
昨今は、やりとりする際にイラっとする、無力感を感じる、落胆する、がっかりする......といった繰り返しのなかで、精神的に追い詰められた人から、
「やってられない!」
「どう指導したらいいでしょうか?」
という相談を受けることが増えてきました。
ミスが続くと、フォローする側にもストレスがたまり、
「普通、一度注意されたら直すよね」
「先輩や上司に言われたら改善するのが当たり前だよね」
と言いたくなるものです。
でも、「普通」や「当たり前」という意識でいると、つい相手を責めるような口調になってしまいます。加えて、そのようなフィードバックでは、指示が曖昧になり、ミスの改善自体も難しくなります。
- 「すみません、すみません」と謝られるだけで、後味の悪い思いをする
- 丁寧に説明しても「怒られた、責められた」という認識しか持たれていない
- 委縮して何も考えられなくなってしまう
もし、これらのケースが思い当たる場合は、伝え方を変えてみましょう。
ミスしたときのまわりへの影響を理解してもらう
例えば、経理や経営に関わる部署では、ひとつの数字入力のミスが大きなトラブルにつながる可能性があります。
書類の数字に0がひとつ足りなかったら、後工程の部署から、
「こんなミスをするなんてありえない! あの担当者は大丈夫なの?」といったクレームになるケースもあるのです。自分のミスがどのような影響を与えているかをしっかり伝えましょう。
【上司】
数字入力のミスが5回続いているから、直してほしいので改めて伝えますね。
金額に関わることは、数字をひとつでも間違えてしまうと、書類を受け取るお客様(取引先)の信頼を失ってしまいます。また、この部署全体がほかの部署から不信感をもたれてしまうことにもなります。
ひとつの入力間違いで、間違った情報が伝わってしまうこと、ほかの人にも迷惑をかけてしまうことをわかってほしいんです。
今後このようなミスをなくすためにも、業務の方法を一緒に検証したいので、どのような手順で進めているのか教えてもらえますか?
ミスを繰り返す人の多くは、自分の担当範囲しか見ていないケースがほとんどです。
まずは一度、注意したミスが繰り返されているというところから認識をすり合わせ、ミスがほかの人にどのような影響を与えているのか理解してもらい、必要であればミスの要因の確認も一緒に行いましょう。
これがミスを起こしやすい人への一番基本となる対応策です。
さらにフィードバックは、ただ「ミスをしてはいけない」ということを相手に認識させるのが目的ではありません。
「今後はこのようなミスをしないように、こう改善してほしい」ということを相手に理解してもらい、改善につなげることが重要です。
『すごいフィードバック~心が動き、行動が変わる!』(戸田久実 著/かんき出版 刊)
「フィードバック」と聞くと、どんなイメージを抱きますか? 上司から部下へのコミュニケーション手法、ダメ出し、耳の痛いことを言われる……。フィードバックするのもされるの苦手、という人が多いのではないでしょうか。
フィードバックは、管理職のためのコミュニケーション手法ではありません。働くみんなが身につけておきたいコミュニケーション手法です。
「ここがすごくよかった」「ここを変えたらもっとよくなるはず」--立場の上下に関係なく、相手の成長を願うフィードバックは、ポジティブであれ、ネガティブであれ、いい空気をつくるし、いいコミュニケーションをつくります。相手を勇気づけ、楽しくさせます。心が動いて、成果を出すプロセスをつくります。相手の視点と行動が変わるフィードバックは、組織、チーム、仲間との「信頼関係」の結束点になるのです。
本書は、「アンガーマネジメント」「アサーティブ・コミュニケーション」「アドラー心理学」をベースに、相手と対等に向き合い、建設的な対話を大切にする独自のコミニュケーションメソッドを長年にわたって提唱してきている著者ならではの「フィードバック」の考え方、技法、効果を、豊富な事例とともに解説しています。
対面、複数名相手、オンラインの画面越し……あらゆる環境で、上司から部下、部下から上司、先輩から後輩、後輩から先輩、同僚同士といった社内で、また取引先の人を相手に、さらにプライベートでパートナーと、友人と、信頼関係を築き、互いにしっかり成長し、成果につなげていくために、どう伝えたらよいか、コツ、実践例、言葉がけを紹介。フィードバックに苦手意識を持っている人、より効果的なコミュニケーションの方法を身につけたい人の必読書です。
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