長野県軽井沢の老舗ホテル「万平ホテル」。130年以上の歴史をもつクラシックホテルは、これまで様々な賓客をもてなしてきた。
2024年10月にはリニューアルオープンし、伝統のクラシックさを残しながらも、より快適な滞在ができるように。新しく生まれ変わった万平ホテルの魅力に迫る。
クラシックな和洋折衷を継承するアルプス館
正面玄関をくぐると、改修以前の面影が色濃く残ったロビーが広がる。改築時には「印象の変わらない美しさ」を意識したといい、長年ホテルに通うファンからも、新しくホテルを訪れる人からも愛され続ける空間に仕上がった。
この日滞在したのは、アルプス館の「クラシックプレミア」という客室。万平ホテルはアルプス館のほかに、愛宕館と碓氷館に客室を構えており、それぞれ異なるコンセプトや雰囲気でしつらえている。
3棟の中で最も古くから存在するアルプス館は、万平ホテルを象徴する「和洋折衷」のインテリアを最も受け継いだ空間で、存分にクラシックな魅力に浸れる。
バスルームには、改修前から使用している猫脚バスタブを設置。気になるアメニティは、洗面台の上に設置した、ステンドグラスの亀をモチーフにした専用ケース内に。英国王室御用達のモルトン・ブラウン社で揃えたハンドソープやシャンプー類など、一部は1階の売店でも購入可能だ。
ホテルの中を散策して歴史を体感する午後に
客室を一通り楽しんだ後は、ホテルを散策。改築後は、3棟をつなぐ廊下にホテルの昔の資料やポスター、ラゲッジタグのレプリカを展示している。昔ながらのレトロな雰囲気に、思わず立ち止まって見入ってしまう。
ホテルの1階に降りると、メインダイニングルームに到着。立派なステンドグラスは江戸期から昭和初期の軽井沢の様子を描いており、まるでホテルの古記のようだ。
夕食前には、カフェでホテル名物の「ロイヤルミルクティー」を楽しむ。ビートルズのジョン・レノンがレシピを伝えたのだそうで、もう一つの名物、アップルパイと一緒に注文している人も多い。運が良ければ、ジョン・レノンが実際に座ったテーブルでカフェタイムを過ごせることも。
夕食はすき焼きコースで、文化人たちの“社交文化”を追体験
万平ホテルといえば、アルプス館でサーブされる伝統的な洋食が有名だが、実は4月から鉄板焼きとすき焼きの店がオープンしたことをご存じだろうか?
明治時代に建てられた古民家を改装した「檜」は、4月29日~10月26日までの期間限定で営業。軽井沢の食材を活かした鉄板焼きとすき焼きの2種類のコースを提供している。
昭和30年代には、文豪たちがゴルフを楽しんだ後、ホテルに戻ってすき焼きを楽しんでいたそうで、今回はその“社交文化”に思いを馳せながら、コース料理をいただく。
メインのすき焼きは、信州牛プレミアム和牛を季節野菜や豆腐と一緒にいただく。肉の焼き方にもこだわっており、通常の作り方とねぎの上で柔らかく仕上げた2通りで食感の違いを楽しめる。
夕食後には、アルプス館1階のバーに向かうのがおすすめだ。落ち着きがありつつ気負わない空間で、シグネチャーカクテルとともに談笑に花を咲かせてみるのも。
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ホテルオリジナルカクテル「軽井沢の光」(左・130周年カクテル)、「軽井沢の夕焼け」(右)、「緑さす」(中央)。「緑さす」は5月に行われた「東京インターナショナル・バー・ショー2025」でファイナルに選ばれている
一泊では足りない、ホテルの魅力に心奪われる
チェックアウト時には、ホテルのスーベニアショップでお土産を購入するのも忘れずに。一つ一つ手作りの限定クッキー缶は、ホテルを表すような色とりどりのクッキーが敷き詰められている。
聞くところには、親子3代でのリピーターもいるという万平ホテル。実際に泊まってみると、ホテルの魅力に心奪われること間違いなしだ。是非一度訪れてほしい、名ホテルである。