奥深いワインの世界。興味はあるし、レストランやビストロでは飲むことも多い。でも詳しいわけではなく、どこから学べばいいかもわからない――。
そういった方におすすめなのが、まずはスパークリングワインから入ってみることです! そう、あのシュワッと泡の出る、さわやかなヤツ。これからの暑い季節にぴったりですよね。
なぜスパークリングワインから入るといいのか。スパークリングワインを知るとどんなメリットがあるのか。そもそもスパークリングワインって何?
そんな疑問にお答えする超初心者向けの解説です。案内役は『ワインの半分は物語でできている。』著者の山田井ユウキが務めます。
スパークリングワインを知ると得する3つの理由
ワインをざっくり3つに分けると、赤ワイン、白ワイン、そしてスパークリングワインとなります。このうち、入口としておすすめなのがスパークリングワイン。でもどうして? その理由は3つあります。
一杯目で飲むことが多い
飲み会でよく聞く「とりあえずビール」。今はもうあまり言わないんでしたっけ。ともあれ、一杯目はだいたい「炭酸」ですよね。
スパークリングワインを飲むタイミングも一杯目が多いんです。炭酸が胃を刺激して、食欲が増す効果があるのだとか。
乾杯での登場率が非常に高いということは、スパークリングワインの知識は「覚えておいて絶対に無駄にならない」のです。
全体像がとらえやすい
ワインの種類は無限大です。大げさではありません。ワインは世界中で造っていて、ぶどう品種だってものすごい数があります。入口もたくさんあるので、「どの扉から入ればいいの? 」と戸惑ってしまいます。
その点、白ワインや赤ワインと比べてスパークリングワインは種類が少ない! そりゃあ細かいことを言い出せばたくさん出てきますが、普通に日本で飲まれているスパークリングワインのカテゴリは数種類も押さえれば十分です。
スパークリングワインは赤ワインと白ワインと比べて全体像がつかみやすく、勉強のしがいがあると言えます。そう、この特集を最後まで読むだけで、ほぼ把握できてしまうんです!
学習効率が良い
全体像がとらえやすいということは、学ぶ内容が少ないことを意味します。スパークリングワインは学習効率が非常に良いジャンルなんです。
スパークリングワインを理解して、一旦満足するもよし。スパークリングワインから入って、もっと本格的にワインを知りたくなったら白ワインや赤ワインの世界に入っていくもよし。
スパークリングワインは飲み会の入口でもあり、ワインの入口としても最適なんです!
「発泡」と「微発泡」
スパークリングワインには大きく2つのカテゴリがあります。「発泡」と「微発泡」です。前者は一般的なスパークリングワイン。後者は通常よりも少し泡立ちが弱めのスパークリングワインです。
発泡といえば真っ先に想像するのはビールだと思います。ただ、実はスパークリングワインの泡立ちはビールよりもかなり強め。気圧でいうと、ビールの炭酸は2.5気圧くらいなのに対して、スパークリングワインはEUの規定で3気圧以上と決まっているんです。
さらに、炭酸が強いスパークリングワインの場合、ガス圧は5~6気圧にも達します。つまり、特にガス圧の強いスパークリングワインには、ビールよりも2倍以上強い炭酸が含まれています。
ちなみに微発泡のスパークリングワインのガス圧は、EUの規定では1気圧以上~3気圧未満となっています。
発泡と微発泡は、好みやシチュエーションで選ぶと楽しいです。たとえば、暑い日の飲み会でシュワッと景気よく乾杯するなら、しっかり発泡するスパークリングワインもいいでしょうし、自宅でおつまみを片手にリラックスした時間を過ごすなら、ほんのり微発泡の飲みやすいスパークリングワインを開けるのもいいでしょう。
製法、産地、甘辛度でスパークリングワインの味わいがわかる
スパークリングワインと一口に言っても価格も味わいもまったく違います。テキトーに選ぶだけだと、「思ったより酸っぱい! 」とか「高かったのに好みじゃなかった! 」みたいになりがち。
お店にソムリエがいるなら質問すればいいのですが、それでも「そもそもスパークリングワインにどんな種類があるのか」を知らないと、質問自体が思い浮かばなかったりしてしまいます。
スパークリングワインの価格や味わいの決め手になるのは、大きく3つ。「製法」と「産地」と「甘辛度」です。
それぞれの詳しい内容については、次回以降の記事で解説します。ここでは簡単に押さえておきましょう!
「製法」は、泡の強さや香り、風味といった味わい、そして価格にも影響します。たとえば「シャンパーニュ方式」という製法で作ると、強くて繊細な泡、複雑な香りと風味を持つスパークリングワインができますが、手間がかかるため価格も上がります。もっと簡単な製法のスパーリングワインだと低価格で買えますが、味わいもシンプルなものになります。
「産地」も味わいと価格の両方に影響を与えます。スパークリングワインは世界中で造られていますが、中には「この製法でなければダメ」と法律で定めている産地もあるのです。
たとえば、フランスのシャンパーニュ地方で造られる有名なスパークリングワイン「シャンパーニュ(シャンパンとも呼ばれます)」。このシャンパンは先ほど紹介したシャンパーニュ方式で造ることが義務付けられています。ということは、味わいは複雑で、価格は高価になりやすいというわけです。
最後に「甘辛度」ですが、これは主に味わいに影響します。スパークリングワインには甘口から超辛口まで、さまざまなスタイルがあります。「どれくらい甘口なのか、辛口なのか」という情報はラベルに表示されているので、知っていれば飲みたい甘辛度を選べるというわけです。
たとえば、「Brut(ブリュット)」と書かれているスパークリングワインは辛口ですし、「Demi-Sec(ドゥミ・セック)」と書かれているスパークリングワインは甘口です。
ビールやハイボールなど辛口のお酒に慣れていれば辛口、サワーやカクテルなど甘いお酒が好きなら甘口から入ってみるというのもおすすめです。
おすすめワイン2選
いろいろと解説してきましたが、ワインは「百聞は一“飲”にしかず」です。本特集では毎回記事のテーマに合わせておすすめのスパークリングワインも紹介するので、気になったらぜひ購入して飲んでみてください。
ここでご紹介するワインはスーパーやデパートといった実店舗で購入できるものもありますが、確実に購入するならネット通販を利用するのがおすすめです。いずれも冷蔵庫でしっかり冷やしてどうぞ!
グラハム・ベック ブリュット
知る人ぞ知るワインの銘醸地、南アフリカ産の辛口スパークリングワイン。シャンパーニュ方式で造られていて、強い炭酸がとてもさわやか! 泡と共にレモンやグレープフルーツのようなフレッシュな香りが弾けます。
シャンパンと同等以上の品質でありながら、3000円くらいで購入できるコスパの良さは世界最強といっても過言ではありません。家庭料理からコンビニのおつまみ、腕によりをかけて作った週末のごちそうまで、あらゆる料理とマッチします。
余談ですが、グラハム・ベックは元アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマが選挙に勝利した日の祝杯に選んだスパークリングワインとしても知られています。
サラッコ モスカート ダスティ 2023
辛口の強炭酸スパークリングワインに続いてご紹介するのは、微発泡かつ甘口のスパークリングワインです。ぜひスパークリングワインの幅の広さを知ってほしい!
ビールよりもちょっと弱めくらいの炭酸で、マスカットや白桃、グレープフルーツといった芳醇なフルーツの香りが口いっぱいに広がります。甘口ですが、微炭酸の爽やかさとしっかりと酸味のおかげで、意外とすっきり飲めるのがポイント。アルコール度数も5.5%とワインにしてはかなり低め。デザートと一緒に飲んでもいいし、単品でゆっくり飲むのもおすすめ!
次回は「製法」を解説!
スパークリングワインのあの泡って、そもそもどうやって生まれるのか、気になりませんか? 次回はスパークリングワインの泡を生む秘密、「製法」を解説します!