猛暑が続く季節となり、熱中症には十分に気を付ける必要がある。いろいろな報道で熱中症に対する注意がうながされているが、毎年、熱中症で救急搬送されたり亡くなったりする人が後を絶たない。それだけ近年の日本の夏は厳しいということだ。
ここでは、パナソニックが開催した『エオリア「熱中症対策」セミナー』から、熱中症にまつわる内容を中心にお伝えする。セミナーで講師を務めてくださったのは、一般社団法人 臨床教育開発推進機構の理事、および日本救急医学会の評議員・専門医・指導医の三宅康史氏だ。
まず熱中症とは、高い気温や湿度によって身体の体温調節機能が低下し、体内の熱をうまく外へ逃がせなくなること。重症化すると内臓や脳がダメージを受け、命にかかわる。身体の内部器官で特に熱に弱いのは、心臓、肝臓、腎臓、脳とのことだ。
日本の統計では、重度の熱中症で搬送される人、命を落とす人がもっとも多くなるのは、6月~9月。これは感覚的にも腑に落ちるかと思う。
熱中症は高い気温だけでなく、高い湿度によっても発症の危険度が増す。気温はそれほど高くなくても、湿度が高い環境で発症する熱中症を「梅雨型熱中症」と呼び、身体を動かす仕事をしている人や、スポーツをしているときに発症することが多いという。湿度が高いと身体が発した汗が蒸発しにくくなり、つまり汗が乾くときに身体から熱を奪う「気化効率」が落ちるため、身体に熱がこもりやすくなるのだ。
対策としては、屋外では「休憩」「冷たい水分補給」「水浴び」、屋内では「除湿」「休憩」「シャワー」などが挙げられている。なお「高齢者の日常生活」という環境においては、湿度が高くても気温が低ければ、熱中症になる可能性は下がるという。
若者の熱中症と高齢者の熱中症
三宅先生の話を聞いて筆者が恐ろしく感じたのは、若者と高齢者では熱中症になるまでの過程や症状に違いがあることだ。
一概には言えないが、若年層~中年層は身体を動かすことによる「労作性熱中症」が多く、発症するのは男性が大多数を占める。炎天下の屋外で急激に発症し、基礎疾患のない健康な人ならば、適切な処置をすれば回復が早く予後も良好。
対して高齢者がかかりやすい「非労作性熱中症」は、発症の多い少ないに男女差なし、発生場所は屋内、数日かかって徐々に悪化、基礎疾患の有無にもよるが予後が悪く重症化しやすい――といった傾向がある。自覚に乏しいまま熱中症が悪化するというのは、とても恐くないだろうか。
「歳を取ると暑さに鈍感になる」「高齢者はエアコンを使わない」など耳にしたことがあると思うが、筆者の周りにもこうした高齢者はいる。たとえ暑く感じなくても、身体は熱中症の危険、ひいては命の危険にさらされていると、そうした高齢者に対して危機感をもって伝えようと思ったしだいだ。
2025年夏、エアコンと暮らしのトレンドは?
パナソニックのエアーマイスターとして活躍する福田風子氏は、エアコンに関する最新のトレンドと、パナソニックのエアコン「エオリア」最新モデルの特徴を解説してくれた。
- 長く、暑い夏へ(2024年の統計において、平均気温や猛暑日の日数、熱中症による救急搬送者数が過去最多)
- エアコンの稼働時間が長く(ペットがいるなど家庭によっては24時間フル稼働)
- 光熱費は気になるがエアコンの運転は止めない
- エアコンの長時間運転を続けると、内部にカビが発生しやすくなる
エアコンのトレンドについては、ざっと紹介すると上記のようなもの。そしてこれからのエアコンに求められる方向性と購入重視ポイントとして、福田氏は「省エネ・清潔・快適性」を挙げた。パナソニックのエオリアに限らず、各メーカーのエアコンがしのぎを削っている要素でもある。
そんな中、2025年度のエオリア ハイグレードモデル Xシリーズは、部屋が冷えたあとの室温と湿度をキープする安定運転(低負荷~中負荷運転)の消費電力に着目。エアコンの消費電力で約80%~90%を占めるというコンプレッサーを新規に開発することで、安定運転自の省エネ効果を高めた。
清潔機能については、運転を停止したときに毎回、自動で内部クリーンを行う。除菌効果が見込めるパナソニックの「ナノイーX」(イオン成分)を放出し、内部を40℃以上で加熱乾燥、再びナノイーXを内部に充満させる。かかるコストは1回あたり約1.7円、時間は約80分~95分とのこと。
この機能を搭載しているエオリアを導入しているなら、普段はエアコンをつけっぱなしだったとしても、1日に1回は運転を停止して自動クリーンを働かせてほしいとした。なお、Xシリーズはフィルターの自動おそうじ機能も搭載している。
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清潔機能のないエオリア(左)と、清潔機能を搭載するエオリア(右)の比較。数年間の運転で内部のカビにこれだけの差が。ちなみにカビが生えた左のエオリアは、社内で見つけて、このような比較のため大事に保管しているそうだ
この機会に、自宅のエアコンの取扱説明書を見返して、省エネ機能や清潔機能を確認してみてほしい。夏は特に、エアコンを使わないという選択肢はまずないため、エアコンが備える機能はうまく利用して、少しでも省エネで清潔に使いたいものだ。