国内で150万以上の個人投資家に支持されているmoomoo証券は、日本取引所グループ(JPX)と共に、新NISAが始まって1年目を振り返るアンケート調査を実施。6月6日に、アンケートから得られた成果や、今後の課題解決に向けた共同の取り組みについて、発表した。
新NISAの現在地、投資枠の活用状況と傾向は?
2018年に米国・シリコンバレーで生まれた投資アプリ「moomoo」。投資ツールの提供のほか、アプリ内で全世界2,500万人以上の個人投資家が情報を共有し合う掲示板サービスを運営している。日本では2022年10月に「moomoo証券」としてサービスを開始し、2024年末には国内150万ダウンロードを実現した。
「新NISAが始まってから1年余りが経ち、その間に米国ではトランプ氏の二次政権が誕生するなど、相場は大きく上下しました。」と振り返ったのは、moomoo証券の伊澤社長。
同社はこの日、日本取引所グループと協力して実施したアンケート「新NISA1年目の現在地」の調査結果を発表した。本調査は、moomooアプリの利用者、日本取引所グループの北浜投資塾、moomoo証券と日本取引所グループの公式Xで実施されたウェブアンケートで、5月21日~26日の期間に1,315人が回答したという。
「過半数の回答者が投資初心者(投資経験がない、あるいは3年未満)で、新NISAの目的である、『これまで投資してこなかった方に投資を始めてもらう』ということには成功しているとも言えます。また、新NISAによって投資により関心を持つようになった方が57%とのことで、影響力の大きさがうかがえました。」
新NISA活用の度合いについては、成長投資枠(年間240万円)の過半を使った人が49%。一方つみたて投資枠(年間120万円)に関しては、65%の人が半分未満の利用に留まった。
投資商品のNo.1は投資信託。以降に日本と米国の個別株と続き、今後NISAを活用して投資していきたい分野では、個別株が投資信託よりも人気で、米国株への関心の高さも目立った。
「相場が大きく上下した場面もありましたが、新NISAでの投資成績は利益を出せた方が56%。今後の投資活動に対する自信を聞くと、米国の関税政策など、相場を読みにくい状況のなかで、50%の方が中立的(投資額は現状維持で様子見)です。ただ、悲観的な(投資額を減らしたい)方は7%と非常に少なく、楽観的(投資額を積み上げたい)という方が42%となっています。
『ドル・コスト均等法』で、毎月一定額を入れて平均購入単価を抑えるつみたて投資枠のコンセプトが、買い時の判断が難しい初心者の方にうまく当たり、功を奏した結果かと思います。」(伊澤社長)
さらに伊澤社長は結果をこう振り返っている。
「成長投資枠・積み立て投資枠いずれも過半の人が半分以下の枠しか活用できておらず、投資の対象商品も日本株と投資信託、米国株に集中しています。
もっとも、家計資産の中でそれなりの枠が活用されていると考えられ、投資初心者が過半数以上のなか、安定志向のつみたて枠よりも成長投資枠の活用度合いが高いことから、より高いパフォーマンスを求めている傾向も見て取れます。」
新NISA2年目に向けた投資アドバイス
アンケート結果について、大阪取引所デリバティブ市場営業部課長の冨田氏は、「NISAの枠は結構な額のため、相場を見通しにくい状況では当然慎重になります。そのことが活用度合いや、今後の投資活動に対する自信についてのアンケート結果に現れているのではないでしょうか。」と、コメント。
日本取引所グループを代表し、新NISAが2年目を迎えるにあたっての投資アドバイスを行った。
「新NISAが始まって一番取引されたのは、流行語にもなった『オルカン』です。投資は時間や銘柄で分散投資することが基本なので、全世界株式型の投資信託の積み立て投資は非常に理に適っています。
そこから次の投資ステップに進む際の考え方として、投資初心者の方に意識していただきたいのが、『コア・サテライト戦略』です。」
コア・サテライト戦略では、コアとなる守りの資産を極力リスクを抑えた安定的な運用からスタートし、収益性の向上などの観点から、サテライト部分では高いリスクを取ってでも高いリターンのために運用する。
今回はサテライトの一例として、株式市場に上場している投資信託「東証ETF」を紹介。投資信託と株式それぞれのメリットを兼ね備えた商品で、取引所立会時間内であればリアルタイムで変動する市場価格での売買できる。
株式や債券、REIT(不動産)などに投資できる多様な商品性も特徴で、指数の構成銘柄に分散投資する効果もあるため、株式個別銘柄への投資に比べてローリスク。東証に上場するETFの7割が2万円以下と、少額からの投資もしやすいという。
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指値・成行といった形で注文できることに加え、保有中にかかるコストの信託報酬が投信より一般的に安いこともメリット。東証には300銘柄を超えるETFが上場しており、米や小麦、ゴムや原油などの現物商品に投資するコモディティ投資も取引可能だという
続いて、先のアンケート結果も踏まえて冨田氏が個別株投資に関心のある個人投資家向けに紹介したのが「個別株オプション」取引(JPXグループでは「かぶオプ」)だ。
オプション取引は、あらかじめ定められた期日と価格で、株などの商品の買う権利(コールオプション)や売る権利(プットオプション)を売買する取引。リスクを抑えながら、保有株の配当金などにプラスアルファの収益が追加されることで、利回りを高められたり、お得に株を買えたりする。
「東証のプライム市場上場銘柄のうち、一部銘柄は個別株オプションが大阪取引所に上場しています。プライム市場の個別株が202銘柄、ETFが12銘柄、REITが15銘柄の計229銘柄で、株やETFを対象としたオプション取引であるかぶオプは、足元で取引規模が急拡大しています。」
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昨年9月から個別株10銘柄とETF2銘柄の計12銘柄を対象に、マーケット・メイクが再開されたことや、昨年11月、13年ぶりに個人向けに「かぶオプ」を取り扱う証券会社として、moomoo証券が新規参入したことなどが拡大の要因
「かぶオプを使った4つの戦略の中で、『カバード・コール』と『ターゲットバイイング』はローリスクな戦略とされ、海外では現物株投資の次のステップとして位置づけられていることがほとんど。海外個人投資家にはとてもポピュラーな取引です。」
日本の個別株オプション取引は海外取引所と比較すると、まだまだ小規模で現物株式市場の取引規模から言っても、日本におけるかぶオプ市場の今後の飛躍に期待が高まっているようだ。