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日産のBEVセダン「N7」が中国で大ヒット! クルマの特徴と好調の理由

JUN. 06, 2025 07:45
Text : 安藤康之
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日産自動車の中国における合弁パートナー「東風日産乗用車公司」が4月27日に発売した新型車「N7」が売れている。N7とはどんなクルマで、中国ではどんな売れ行きとなっているのか。日産のオンライン説明会で聞いた。

  • 東風日産の新型「N7」

    5月15日から中国で納車が始まった新型「N7」

電気のセダンが中国で売れた理由

日産は2027年夏までに、中国で9車種の新エネルギー車(NEV:ニューエナジービークル)を発売するという計画を掲げている。同計画の第1弾となるのが新型「N7」だ。N7のグレードは「Max」「Pro」「Air」の3種類。価格は11万9,900元(約240万円)からとなっている。

  • 東風日産の新型「N7」

    「N7」はセダンタイプの電気自動車(BEV)。「Max」と「Pro」は58kWhと73kWhからバッテリー容量を選択できる。最大航続距離は635km

発売開始から5月30日までの35日間で、新型N7の受注台数は1万7,215台に到達。ちなみに、同じ価格帯(10万元~20万元)のBEVセダンの販売台数を見ると、4月の第1位はXPENG「MONA M03」の1万3,302台となっている。単純な比較は禁物だが、N7の出だしは好調だと見て間違いない。

東風日産 商品企画部部長/N7 CPSの呉越さんによると、新型N7の開発が始まった2022年ごろのBEVセダン市場では、10万元以下の低所得層向けと20万元以上の高所得向けが主流で、10万元~20万元の中間所得層向けのクルマはほとんどなかった。一方で、BEVの静粛性、メンテナンスのしやすさ、使い勝手のよさなどの一般認知は進んでおり、ユーザーの購買力が最も高い「10万元~20万元の価格帯の市場が今後、増えてくるのではと予想していた」(呉さん)という。

実際に、BEVセダン台数分布(取引価格ベース)の推移では現在、10万元~20万元の価格帯が約1/3を占めるまでに成長している。呉さんの予測が的中した形だ。成長が見込める市場に対し、的確に商品を投入するのは商売の基本。その意味で、日産には先見の明があったと言える。

N7の何がそんなによかったのか

新型N7のターゲットカスタマーは30歳から35歳の子持ち家庭で、「Tier2~Tier3都市に住むセンスのいい父親」なのだという。中国の都市はTier1からTier6に分類されていているそうで、Tier2~Tier3は経済が割と発展しており、人々の収入も高い都市と定義されている。

ICE(内燃機関搭載車)からBEVへの買い替え層でもある「センスのいい父親」のエモーショナルなニーズは、「家族のケア」「トレンドと品質へのこだわり」「マイハッピーモーメント」であると呉さん。これをクルマに当てはめると、「快適性の体験」「知能化の体験」「アイキャッチなデザインエレメント」「目を引く感覚品質」になるという。

そんなターゲット層に対する訴求ポイントとして呉さんは、「コンフォート(快適性)」「インテリジェンス」「リライアビリティ(信頼性)」の3つを挙げる。

最も重視したという「コンフォート」のコンセプトは、「リビングをそのままクルマに持ち込む」だ。

なかでも注目なのは、「AI ゼロプレッシャー・クラウド・クッション・シート」と呼ぶシート。49個の個別センサーを内蔵しており、入力情報に基づいてシート位置を調整し、体型や運転時の姿勢に合わせた「ゼロプレッシャー」のドライビングポジションを提供できるという触れ込みだ。

  • 東風日産の新型「N7」

    20年の歴史を持つ東風日産が作るクルマはもともと、シートの評判が高かった。それをAI時代にどう進化させるかを考えて開発したのが「AI ゼロプレッシャー・クラウド・クッション・シート」だ

「インテリジェンス」では、8295Pプロセッサを搭載するスーパー車載システム「NISSAN OS」を新開発。加えて、中国の自動運転技術のリーダーであるMomentaと提携し、「Navigate on Autopilot」と呼ばれる高度なエンドツーエンドの運転支援システムを搭載した。

  • 東風日産の新型「N7」

    15.6インチ、2.5Kの高解像度のディスプレイを搭載

「リライアビリティ」では、合弁会社の優位性とも言えるグローバルブランドの品質管理を強化した。さらに、ユーザーが最も気にするというバッテリーの安全問題に対しては、日産が長きにわたり培ってきたノウハウをつぎ込んだという。

新型N7が背負う大きな役割とは

そんな新型N7は、「NEV市場におけるアウェアネスの確立」という大きな役割を担っていると呉さんは説明する。

  • 東風日産の新型「N7」

    横軸左が伝統的(Traditional)、右が新しい(New)。縦軸は上が現地の合弁会社(JV)、下がローカルメーカーやスタートアップ(LCL/Start-up)。中央を縦に通るのは、東風日産が「ブランドイメージの川」と呼ぶ境界だ(東風日産の提示資料をもとに作図)

上図は東風日産が提示したブランドイメージ図。中央の「ブランドイメージの川」を挟んで左側が従来のICEマーケット、右側がNEVマーケットを示す。NEVマーケットで代表的なのはテスラで、ICEメーカーからNEVのリーディングカンパニーに転身したBYDは、川を挟んで左から右に移動したメーカーだと言える。

東風日産の従来のブランドイメージはICEマーケット側。今後に向けては、「ブランドイメージの川」を超えていくことが課題となる。

初動を見る限り、ひとまず日産の期待通りの評価を獲得しているように思える新型N7。5月15日から納車が始まった中国市場において、走りや快適性で東風日産のイメージを刷新していけるかに注目だ。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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