夏のボーナスの時期が近づき楽しみになる一方、手取りがどれくらいになるのか気になる方も多いでしょう。手取りの額がある程度わかれば、ボーナスをどう使うか計画を立てやすくなります。今回はボーナスから控除される税金や保険料を解説し、手取りの計算方法をシミュレーションします。
ボーナスから引かれる税金・保険料の種類
ボーナスから控除されるのは、大きく分けると所得税と社会保険料の2つです。
所得税
所得にかかる税金で、通常の給与だけでなくボーナスからも引かれます。所得税率は最大45%で、所得が多いほど税率も高くなる仕組みです。
ボーナスにかかる所得税率の計算式は以下のとおりです。
- 所得税(源泉所得税)=(ボーナスの支給額-社会保険料)×源泉徴収税率
ボーナスに対する源泉徴収税率は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で規定されています。以下の2つの要素で控除率が決まる仕組みです。
- 前月の給与から社会保険料を控除した額
- 扶養親族の人数
なお、給与から引かれる税金といえば住民税をイメージする方もいると思いますが、ボーナスに住民税はかかりません。
社会保険料
社会保険は、病気やケガ、失業などの理由で生活が苦しくなったときに、支援を受けられる制度です。社会保険料は厳密には税金でないものの、所得から強制的に引かれるという面では、税金と類似したものといえます。
ボーナスにも社会保険料はかかり、保険料率の例は以下のとおりです(令和7年時点)。
- 厚生年金保険料:18.3%
- 健康保険料:都道府県によって異なる(東京都所在、介護保険第2号被保険者に該当しないなら9.91%)
- 雇用保険料:0.145%
上記のうち、厚生年金保険料と健康保険料は労使で折半するため、労働者が実際に負担するのは半分です。
雇用保険料は折半ではなく、一般の事業であれば会社が0.9%、労働者は0.55%の負担です。
ボーナスからどのくらい税金が引かれる?
目安として、ボーナスから引かれる控除額は、額面の20~30%程度です。ボーナスの手取りがどれくらいになるのかを予測する際に、この目安を使うとよいでしょう。
具体的な金額は扶養人数、健康保険組合の種類、居住地などによって異なります。一般的には前月の給与やボーナスの額面が多いほど控除率は高くなり、扶養人数が多いほど控除率が低くなります。
ボーナスの手取り額をシミュ―レーション
ボーナスにかかる所得税や保険料について解説しましたが、ここからは実際の手取り額を計算していきます。
東京都在住、会社で協会けんぽに加入しており、前月の社会保険料控除後の給与が30万円の方を例に、手取り額を計算しました。
東京都在住・32歳・独身の方の場合
独身で扶養親族がいない方の場合で計算すると、以下のようになります。
- ボーナス額面:60万円
- 所得税:4万1,866円
- 健康保険料:2万9,234円
- 雇用保険料:3,300円
- 厚生年金保険料:5万4,900円
- 控除額の合計:12万9,300円
- 手取り額:47万700円
東京都在住・32歳・扶養親族2人の場合
扶養親族が2人いる方の場合のシミュレーションは以下のとおりです。
- ボーナス額面:60万円
- 所得税:2万933円
- 健康保険料:2万9,234円
- 雇用保険料:3,300円
- 厚生年金保険料:5万4,900円
- 控除額の合計:10万8,367円
- 手取り額:49万1,633円
独身の場合に比べて、手取り額がやや多くなっています。これは、扶養親族が増えると、所得税が低くなるためです。
東京都在住・43歳・扶養親族2人の場合
43歳で扶養親族が2人いる方の場合のシミュレーションは以下のとおりです。
- ボーナス額面:60万円
- 所得税:2万741円
- 健康保険料:3万3,925円
- 雇用保険料:3,300円
- 厚生年金保険料:5万4,900円
- 控除額の合計:11万2,866円
- 手取り額:48万7,134円
32歳の方の場合に比べて、健康保険料が高くなっています。40歳以上になると、介護保険料を支払う義務があるためです。
ボーナスの手取り額を把握しておこう
ボーナスからは所得税や社会保険料が控除され、手取り額は額面の70~80%程度が目安です。手取り額を大まかに把握しておくことで、以下のようなボーナスの使い道を決めやすくなります。
- 住宅や車のローン返済
- 大きな旅行
- 家電の買い替え
- 資産運用・投資
実際の額は健康保険組合の種類などによって異なるため、ご自身が加入している組合の情報を調べてみましょう。