部下指導において、「教え方の最適解」を知っていますか? 部下のやる気を引き出し、主体的に動けるようになる指導法を、「一流・二流・三流」の比較を通じて解説する『教え方の一流、二流、三流』(北 宏志/明日香出版社)から一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは「【ルーズな部下】三流は、評価を自動的に下げ、 二流は、無理やり時間管理をさせて、 一流は、どうする?」
【ルーズな部下】三流は、評価を自動的に下げ、 二流は、無理やり時間管理をさせて、 一流は、どうする?
時に、ルーズな人というのもいます。
上司からすると、時間にルーズな部下というのは困りものです。
時間の管理ができないということを理由に、評価を自動的に下げるという対応をする方 もいますが、それでは根本的な解決にはつながりません。
では、時間の管理ができるよう、細かく指導をし、上司流のやり方を押し付けるという のはどうでしょうか。
例えば、月曜日に資料を作成し、火曜日に上司がチェックし、水曜日に修正し……といった風に、上司のやっている時間管理術をそのまま、部下にも当てはめるというわけです。
このやり方で部下も時間の管理ができるようになれば、それはそれでよいのですが、そのやり方が部下に合ったスタイルなのかという点では疑問を感じます。
人にはそれぞれ、得意不得意や自分のペースというものがあります。
文章を書くのが得意な人もいれば、計算が速い人もいます。
上司にとって資料作成は簡単な仕事、1日でできるものであっても、部下にとっては苦手分野で2日必要かもしれません。
逆に、上司にとって面倒でつい後回しにしてしまう経理業務が、部下にとってはすいすいと進められる得意分野の可能性もあります。
上司流のやり方を押し付けてしまっては、部下の特性や個性を生かせないのです。
せっかくであれば、部下の得意や好きを生かしつつ、時間の管理ができるよう、育てたいところです。
では、どうするのか。その方法はシンプルそのもの。
部下がやりきるまで、上司がフォローし続けることです。
「フォローし続ける」といっても、難しいことをする必要はありません。
例えば、1週間以内に提出する提案書がある場合、それぞれのプロセスで次のような声かけ、アクションができるでしょう。
「提案内容で迷っているところはない?」
「過去の提案内容を参考にするといいよ。前年のデータは共有フォルダに格納してあるからね」
「提案書を使って、一緒にロープレをしようか? その方が流れを汲んだ提案書がつくれるよ」
「明後日が提出日だね。一緒にチェックをする時間を前日に設けよう」
「今日が提出日だね。よく頑張って、時間内につくったね」
一つひとつはささいなことばかりですが、その言葉には上司から部下へ「つねに気にしているよ」「時間通りに提出できるかを見守っているよ」というメッセージが込められています。
そして無事時間通りに提出できたら、しっかりとほめることをお忘れなく。
一流は、部下がやりきるまでフォローし続ける
『教え方の一流、二流、三流』(北 宏志/明日香出版社)
本書は、次のように悩むすべての上司に向けて書きました。部下に仕事を教えても、なかなか動いてくれない / やる気のない部下に、どう指導すればいいかわからない / 仕事の任せ方が難しい / 部下に接する時、つい感情的になったり、ハラスメントが怖くて指摘できなかったりする――部下指導において、「教え方の最適解」を知っていますか?本書では、部下のやる気を引き出し、主体的に動けるようになる指導法を、「一流・二流・三流」の比較を通じて解説。元中学・高校教師であり、現在はZ世代向け研修で人気の著者だからこそ書ける、職場で即実践できる教え方のコツを紹介します。