「東京オートサロン2025」のマツダブースでは、2.0Lエンジンを搭載する2台の「ロードスター」が注目を集めていた。「マツダスピリットレーシング」から2025年秋にも発売となる予定のロードスターは、はたしてどんなモデルなのか。マツダブースでじっくり取材した。
200台限定の「12R」は何がスゴい?
最初の1台は「マツダ スピリットレーシング・ロードスター12R(イチニーアール)」だ。
搭載する排気量2.0リッターの直列4気筒SKYACTIVEエンジンは、チームが出場する「スーパー耐久」シリーズで獲得した技術や知見を活用し、専用のカムシャフト、ピストン、シリンダーヘッドなどをハンドメイドで組み込むとともに、冷却性能を向上させたラジエーターを装着することで最高出力を200PS(147kW)までアップさせている。ヘッドカバーはブラックの結晶塗装で仕上げ、トップには200台限定の証となるシリアルナンバーを刻印。エキゾーストマニホールドは「FUJITSUBO」(フジツボ)の専用開発品だ。それを囲むエンジンルームにはアルミのタワーバーを組み込んだ。
シートはレカロ製のフルバケット。足回りではビルシュタインのCリング式車高調、ホイールはRAYSの鍛造アルミ(切削加工仕様)、ブレーキはフロントにブレンボ製対向4ピストンレッドキャリパーで固めている。
ボディカラーは12R専用となる「エアログレー」を採用。専用デカールや新開発のエアロパーツで引き締まった印象になっている。
インテリアはステアリングやシフトノブ、サイドブレーキ、センターコンソールなど、乗員が見たり触ったりする部分の多くがアルカンターラ仕様になっている。余計なテカリ部分を極力排除するとともに、操作性を向上させて運転に集中できる仕上げとした。いかにも走り出しそうなその姿は、ステージ上で輝きを見せていた。
もう1台も魅力は十分
もう1台は量販モデルの「マツダ スピリットレーシング・ロードスター。12R専用のエキマニやバケットシートではないものの、足回りやブレーキなどは同等品を採用している。パワートレインはノーマルRFモデル用と同じ出力184PS(135kW)の2.0リッターエンジンだ。
ボディカラーは薄いブルーグレー系で、赤のステッチとパイピングが入ったブラックのバケットシート、同じく赤のシートベルト、各部のアルカンターラ化が特別感を醸し出している。こちらは来場者も乗り込み可能だったので、多くの人がシートに座ってその感触を確かめていた。
これら2台のクルマは2025年秋にも予約可能となる。発売は年内の見込みだ。価格は12Rが700万円台、ノーマルモデルが500万円台とのことだった。
こだわりのアイテムがマツダ販売店に並ぶ?
また会場には、マツダスピリットレーシングの匠エンジニアが推奨するさまざまなアイテムが展示してあった。サーキットでのスポーツ走行に適したチタン製のフジツボスポーツマフラー、ヨコハマADVAN NEOVA A009スポーツタイヤ、スポーツタイヤの性能を引き出す強化ブッシュとショートバンプストッパー、ブレンボ製スリットローター&スポーツパッド、Sabelt(サベルト)製4点式ハーネス(MAZDA SPIRIT RACINGロゴ入り)などだ。これらはマツダの販売店で購入、装着できるよう検討中だという。
マツダのプレスカンファレンスには毛籠勝弘社長が登壇。「カーボンニュートラル時代にあってもマツダはエンジン開発を諦めず、ロータリーエンジンについてもさらに技術検証を重ねることで開発ステップを進んでいきたい」と話した。
また、マツダスピリットレーシングの前田育男代表は、「マツダのサブブランドである当社は、メーカーが製造する市販モデルからもう少し幅を広げたスペシャルモデルを開発していきたい」とし、「今回の2台のマツダ スピリットレーシング・ロードスターがそれを体現した第1弾」だと紹介した。
ブースではこのほか、スーパー耐久シリーズに参戦中の「ロードスター」やハッチバックの「マツダ3」、クロスカントリーラリーの経験から開発した「マツダスピリットレーシングCX-60ラリーコンセプト」、トーヨータイヤとのコラボで「XCRスプリントカップ北海道」に参戦したブルーカラーの「TOYO TIRES マツダCX-5」などを展示していた。