物価高や円安の影響で値上がりを続ける自動車市場。特に輸入車の新車価格はここ数年でグッと上がっている。そんな今だからこそ、中古車市場に目を向けてみたい。意外と手の届く車種があったり、なかなかお目にかかれないレアモデルに出会える可能性もあるはず。
そこで今回は自動車評論家の伊達軍曹さんにインタビュー。2024年、ヤフーオークションで売買された人気輸入車ブランドの動向をもとに、近年の自動車トレンドについて話を聞いた。
最終回はドイツの名車「アウディ」をピックアップ!
2024年1月~11月までに最も高値で取引されたアウディTop3はこちら
今回はオークファンプロPlusにて調査したデータを参照した。2024年1月~11月の期間、ヤフーオークション上で取引されたアウディの商品を価格順にランキング化している。なお、文中の商品名は基本的に出品時の表記に沿っている。
1月から11月までに取引されたアウディの中で、年間トップ3位を記録した商品は「RS7スポーツバッグ 4.0 22AW RSスポエグ SR B&O カーボンセラミックB」「EV アウディ e-tronGT」「R8 4.2 FSI クワトロ 4WD 7速Sトロニック 後期モデル 左H レザーPKG」だった。
周りとは被りたくない、自分だけの1台を求める傾向にアリ
ドイツの「プレミアムブランド御三家」にして、ポルシェ、ランボルギーニ、ブガッティ、ベントレーなどを展開するフォルクスワーゲングループにも属する自動車メーカー、アウディ。4つのリングが重なったエンブレム「フォーシルバーリングス」が象徴的な世界的高級車である。
当然、新車で手にしようとすればなかなか立派なお値段ではあるが、中古車市場をリサーチしてみると、“頑張ればなんとかなりそう”な価格帯の車もチラホラ……。
「アウディもベンツやBMWと似たようなもので、マニアックではなく、比較的新しい車種がお金持ち層に刺さりやすい傾向があります。しかしもう少しミクロに見てみると、ベンツやBMWよりも“ありふれていない”といいますか、若干ながら少数派ではあるので、『みんなベンツやBMWに乗っているから、自分はちょっと違った選択をしたい』という人からの人気が高いです」(伊達軍曹さん)
それでは一体、どんなモデルが人気なのか。伊達軍曹さんに尋ねてみると……
「うーん……実は、“アウディといえばコレ! ”というモデルがないんですよね。強いていえばスポーツタイプの『TT』かもしれませんが、ベンツのGクラスのような“圧倒的に売れる代表作”のようなモデルはあまりない気がします。趣味やライフスタイルに応じて、小さめのSUVを買ったり、中くらいのステーションワゴンを買ったり、スポーツタイプを選んだり……といった具合かと」(伊達軍曹さん)
900万円オーバー! 2024年最高落札額のアウディ「RS7スポーツバック」ってどんな車?
逆にいえば、「おしなべて人気が高いブランド」だともいるアウディだが、ヤフーオークションでは10月、「RS7スポーツバック 4.0 22AW RSスポエグ SR B&O カーボンセラミックB」が908万9,091円で落札された。アウディとしては年間最高落札額となる車だが、どんな特徴を持つモデルなのだろうか。
「アウディの『RS』というのは、BMWのMシリーズのようなもので、通常のモデルをさらに超高性能にしたシリーズです。『RS7スポーツバック』は『A7スポーツバック』の超高性能版で、その性能ゆえに高い人気があるということですね。あまり数がある車でもないので、希少価値もある。逆にいうと、製造数が少なく、人気のない車ともいえますが、好きな人はすごく好きなタイプですね」(伊達軍曹さん)
とはいえ、「RS7スポーツバック」の新車価格は約1,800万円。今回の908万9,091円という落札額については「コンディションがどうかわかりませんが、順当に値下がりしていったといえます。お得に買いたい人にはすごくいいんじゃないでしょうか」と伊達軍曹さんは分析した。
周囲の人と被りにくく、かつプレミアムな魅力を備えたオールマイティーブランド、アウディ。まずは自分の好みに合う1台を見つけ、販売価格をチェックしてみよう。意外と頑張ればいける……かも?