米Hewlett-Packard (HP)は10月22日(現地時間)、Windows 7搭載の同社初のタブレットデバイス「HP Slate 500」の米国での発売を開始した。同社のタブレットは今年1月に米ネバダ州ラスベガスで開催されたCESで米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏によって初めて公開され、1年近くの歳月をかけてようやく陽の目を見ることになった。HP Slate 500はビジネス市場をターゲットとしており、販売価格は799ドルが設定されている。

HP Slate 500

HPのタブレット登場までにはいろいろ紆余曲折があった。CES終了直後に同社ではタブレットデバイスの動作動画を一般公開し、iPad発売日に先駆ける形でスペックの一部や戦略についての幹部へのインタビュー動画を公開している。だが肝心の発売日や価格については長らく伏せられたままで、さらには3つあったタブレット製品の計画が1つを除いてキャンセルされ、webOSタブレットに一本化されるという話題が伝わっていた。

だが後に、webOS以外にWindows 7を搭載したタブレットが継続開発されており、10月11日にMicrosoftがWindows Phone 7ローンチを行ったタイミングでBallmer氏より改めてタブレット戦略について説明が行われるという話が伝えられた。結局、PalmPadの商標出願の話題が出た際に漏れ伝わってきた「HP Slate 500」という名称でこのWindows 7タブレットが製品化され、今回のリリースに至っている。

HP Slate 500は現在HPのオンラインストアで販売が行われており、ここで詳細スペックを確認できる。搭載OSは32ビット版Windows 7 Professionalで、プロセッサは当初言われていたAtom Zシリーズの1.6GHzではなく、Atom Z540 1.86GHzとなっている。本体サイズは23.40×15.00×1.47cmで、重量は最低構成で0.68kg。メモリはDDR2 SDRAM (800MHz)が2GB、ストレージは64GB SSDとなる。

ディスプレイは8.9インチのWSVGA (1,024×768ドット)で、液晶サイズはiPadの10.1インチより若干小さい。GPUはGMA 500がベースになっているほか、BroadcomのCrystal HD Enhanced Video Acceleratorが利用されている。外部端子はUSB 2.0×1、イヤホンジャック、SDカードスロット、クレイドル用端子が用意され、これらを利用して機能拡張や外部機器との接続を行う。このほか、300万画素カメラとマイクを内蔵し、IEEE 802.11b/g/nとBluetooth 3.0に対応。HP Slate Digital Penという専用ペンが付属する。

ようやく登場といった印象だが、冒頭でも触れたように一般コンシューマ向けの製品ではない。価格が799ドルと他のタブレットデバイスと比較しても高く、Windows 7をベースとしているため、タブレット利用で対応するアプリケーションやインターフェイスに制限がある。Windows 7とタブレットを組み合わせた企業システムを構築したい、というニーズを持った顧客が対象になると考えられる。